きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

アフリカで見つかった新種の「古代ライオン」 そもそもこれはライオンなのだろうか

新種の「ライオン」の化石

昨日ちょうど絶滅した古生物をよみがえらせるというまるでジュラシックパークのような技術について書いたばかりですが……。

このたびなにやらまたしても新種の古代生物が見つかったようです。

www.afpbb.com


こちらはAFP通信さんの記事なのですね。

それによると、今月19日付で「古脊椎動物ジャーナル」という学会誌に論文が投稿されたようで、その内容はなんとアフリカのケニアで2300万年前の新種の肉食動物の化石が見つかったというのですね。

この動物、「超大型ライオン」などと呼ばれているらしく、スワヒリ語「Simbakubwa kutokaafrik(アフリカの大きなライオン)」という名前が与えれたのだそうです。


………これ、学名でしょうか……ぽいのですが。

スワヒリ語で名づけられた」とありますが、学名だとしたらスワヒリ語由来のラテン語扱いになるのですね。

学名は一応ラテン語命名するという決まりがありますが、実際はギリシア語に始まり英語やドイツ語、果ては中国語や日本語まで、いろいろな言語に由来する名前が付けられたりします。

そういう場合は「〇〇語由来のラテン語という扱いになるので、おそらく今回もそのパターンなのでしょう。


なんにせよ、この巨大ライオン、一説にはどうやらホッキョクグマよりも大きかったのではないかと言われているようです。


……見つかったのはごく一部の歯や骨だけであり、全身骨格ではないらしいのですが……きっと大きかったのでしょう。


……たぶん……。


古代ライオン

さて、巨大ライオン……既に復元図まで描かれているのですね。

……きっと発見された時期そのものはもうずいぶん昔で、今の今までの間に論文を執筆するのと並行して絵師さんが一生懸命復元図を描いていたに違いありません。


毎回「体の一部しか見つかっていない動物」の復元図を見る度に思うのですが、一体どうやって一部だけで全身の復元図を描いているのだろうか……。


………この際そういうことは気にしないでおきましょう。


きっとイロイロな科学的見地から判断した結果、こんな風な姿だということがわかったのでしょう。

ネコ科動物は既に現存種だけでもかなりの数が知られていますし、また同じネコ科なら体のつくりも大体似たようなものですから、そこからある程度類推できるものと思われます。


なんにせよかなり精巧なイラストなのですね。きっとこれを描いた絵師さんならびに研究チームの皆さんがものすごく頑張って仕上げたに違いありません。


ですが……こ、これは………そもそも「ライオン」なのだろうか……。


いちおう巨大ライオンと呼ばれており、また学名にもライオンと入ってしまっているのですが、復元図を見る限りではイヌ科動物みたいな顔なのですね。

……でも尻尾や体形はしっかりネコ科っぽいですから、イヌ科とネコ科のちょうど中間くらいの古いスタイルの食肉目の動物という感じなのですね。


……復元図を描いた人がそういうイメージで描いただけかもしれませんが……。


知っての通り、古生物の復元図というのは同じ生物でも描く人によって大分イメージが変わるのですね。


それは恐竜図鑑などを見比べてみるとわかることなのですね。

きっと昔恐竜好きな少年少女だった多くの人たちが、いつも愛用している慣れ親しんだ恐竜図鑑でお気に入りの恐竜の名前と姿を覚え、その後別の図鑑で同じ恐竜を見てみると全く違った姿に描かれていたため、自分が見慣れた姿とのギャップに思わず「こんなの〇〇サウルスじゃない!!」と叫んでしまった苦い思い出があるに違いありません。


ですが、こういう怪現象は客観的かつ物理的な記録が一部のホネやカラしか残っておらず、その復元は多分にその時代の「新発見」の影響を大きく受け、また復元する人の意図と願望と趣味とこだわりと妄想が入り込む余地がある、古生物の世界では割とよくあることなのですね。


かく言う私も数多の古生物の実に多様な復元図を見ており、その度に「〇〇よ、君の本当の姿は一体どれなんだ」と思わずにはいられないのですね。


………大分話が脱線してしったのですね。

なんにせよこの古代ライオン……じゃない、巨大ライオン……この際もうどっちでもいいか……は、見つかった年代が年代だけに、哺乳類の進化を研究するうえでとても重要な存在となりそうなのですね。


………実はきつね、「内部構造」はともかく、今のところ哺乳類の「進化」についてはあんまり詳しくないので、一体ナニがそんなに重要なのか、いまいちよくわからないのですね。


とりあえず、この巨大ライオンが生息していた時期は丁度哺乳類が進化し、多様なかたちになっていく時期だったらしいです……?


……きっと哺乳類のカンブリア紀、なのですね。


なんにせよ、ご存知の通りイヌ科動物とネコ科動物は両方とも同じ「食肉目(ネコ目)」というグループに属しており、「ミアキス」と呼ばれる動物を始祖としているのですね。


きっとこのライオンは見た目といい時代といい(?)ミアキスがイヌ科とネコ科に分かれる途上の位置に属しているに違いありません。


……この辺あまり詳しくはないので、敢えて断定することは控えますが……。


現生のライオン

さて……。

「古代のライオン」を見ると、どうしても今現在生きているライオンを引き合いに出さずにはいられなくなってしまうのですね。


ライオンというのはそもそも

動物界-脊索動物門-哺乳綱-真獣亜綱-ローラシア獣上目-食肉目(ネコ目)-ネコ科-ヒョウ属


に属する肉食動物で、学名を「Panthera leo」というのですね。


ヒョウ属に属していることからもわかりますが、つまるところライオンはライオンという動物なのではなく、あくまで「ヒョウの一種」なのですね。


ちなみにこのヒョウ属……有名なヒョウ以外にも、ジャガーやトラなども属しています。


一般的には「キツネ属」のことを「キツネ」、「イヌ属」のことを「イヌ」と呼びますから、彼らは例にもれず「ヒョウ」と呼ぶことができそうなのですね。


……ちなみにチーターは「チーター属」、ピューマは「ピューマ属」、ネコは「ネコ属」です。


なんにせよ、この復元図はどこからどう見ても……ヒョウ属には見えないのですね。


そもそも「Simbakubwa kutokaafrik」が本当に学名だとすると、前半部分は属名になるはずですから、本種は「Simbakubwa属」という独立した属だということになってしまうのですね。


きっと巨大ライオンはライオンと言いつつ別の生き物なのでしょう。


このような事例は実は他にもあり、この辺り(ネコ科)では「サーベルタイガー」がわりとよく知られているのですね。


サーベルタイガーとは、そういう生き物がいるのではありませんし、ましてや「トラの一種」でもありません。


実際は「ネコ科-マカイロドゥス亜科」に属する動物の総称なのですね。

このマカイロドゥス亜科にはさらに「メタイルルス連」「スミロドン連」「ホモテリウム連」の3つの連が属しており、それぞれの連の下にはさらにいくつもの属があります。


……要するに、一口にサーベルタイガーと言っても実は何属もいるのですね。


うち代表的なもの……われわれが「サーベルタイガー」と言ってまず初めに思い描くものはスミロドン属」なのですね。


また一口にスミロドン属と言っても、その下はさらに数種に分かれるのですね……。


………なんにせよ、サーベルタイガーとは、タイガーと言いつつトラではない別のネコ科動物なのですね。一体何種類いるんだかはよくわかりませんが。


そもそもサーベルタイガーは「亜科」という大きな分類群であり、トラは「ヒョウ属-ティグリス種」という単一の「種」ですから、分類階級が根本的に違うのですね。


……つまり、この2つを同時並列的に並べて扱うこと自体がそもそもよろしくないかと……。


哺乳類進化について調べてから読んだ方がいいかもしれない……

……なんだかよくわからない記事になってしまったのですね。


とりあえず、このニュースはきっと哺乳類の進化についていろいろ学んでから見た方が面白いのかもしれません。

 

残念ながら自分の知識の無さが前面に出てしまうニュースとなってしまったのですね。


……というわけなので、ちょっと色々調べてみようと思います。

幸いなことに手元には先日大哺乳類展2に行った時に買った特製図鑑があるのですね。


これがきっと哺乳類の進化の謎についても答えを出してくれるに違いありません(?)


古生物……イロイロと奥が深いのですね。

復活させていいのは最近の動物だけ?ジュラシックパーク的な技術の罠

絶滅種をよみがえらせる研究

Extinct……。


最近この英単語をよく見るのですね。

古生物の論文やレッドリストのカテゴリやなんかを見るようになったからかもしれません。


Vetulicola is an extinct genus of Early Cambrian deuterostome chordate ……みたいな記述をよく見るのですね。


この単語、英単語らしく子音ばかりでできているせいか、音の響きがなかなか独特で、個人的には好きだったりします。


いやまぁ、単語の意味自体は縁起でもないものですから、あんまり好きにはなれませんが……。


さて、朝日新聞さんに毎週月曜日に掲載される「科学の扉」という記事があるのですね。

これは文字通り今話題の科学技術について色々と書かれている記事なのですが、毎回面白いので、ついつい読んでしまうのですね。


けさも例にもれず面白い記事で、それによるとなんと、マンモスやタスマニアタイガーなどの絶滅した動物をよみがえらせる研究が進んでいるのだそうです。


………Extinct animal をよみがえらせる研究……なのですね。


本日は偶然にも(?)地球環境の保全生物多様性について考えようという記念日アースデイです。

……何だか偶然とは思えないのですね。


電子版があるのでいちおうリンクを貼っておきますが、残念ながらログインしないと読めないのですね……。

www.asahi.com


それにしても……こ、これは…………

………ジュラシックパーク……なのですね。


きっと近い将来「よみがえった恐竜専門の動物園」である「ジュラシックパーク」の如く、「よみがえった古生物専門の動物園」である「ネオジーンパーク」がどこかの離島にオープンし、世界中の注目を集めるに違いない!


これはいろんな意味ですごい研究です。

色々と妄想を膨らませながら読んでみたのですね。

 

映画のような夢の技術

絶滅動物をよみがえらせる技術……と一口に言っても、その内容は多岐にわたるようです。

ひとまず記事では、以下3通りの方法が紹介されていたのですね。

  • クローン技術
  • ゲノム編集技術
  • iPS細胞


……なんだか見たことのあるような技術ばかりなのですね……最近のトレンドではありませぬか。


クローン技術は実際の絶滅種の動物から取り出した細胞の核を、今生きている動物の卵子に移植して育てるのですね。

上手くいけば今生きている動物の卵子が絶滅種の動物になるのですね。

これは今まで何度か実験が行われていますが、いろいろ問題があるらしく、大抵短命に終わってしまっているのですね……。


ゲノム編集技術は遺伝子解析済みの絶滅種によく似た動物(マンモスに対してアジアゾウなど)の遺伝子を書き換え、絶滅種の遺伝子にしてしまうことで、その動物を誕生させよう、という技術のようです。

……つまり、中身を書き換えてしまうのですね。

要するに「マンモスの設計図はわかっているから、アジアゾウの設計図を書き換えて、アジアゾウをマンモスに改造してしまおう」ということのようです。

……既存の種を改造して絶滅種にするってなんだか奇妙な感じがしますが、これで一応マンモスがよみがえるかもしれないのですね。


対するiPS細胞を使ったやり方は、絶滅種の細胞からiPS細胞を作り、さらにそれを卵子に変えてしまうことで、その動物をよみがえらせようという方法のようです。

卵子は全ての動物の発生の最初の形ですから、この部分が再現できれば必然的にその後の発生も再現できるのですね。


ここで紹介されていたのはこの3種類だけでしたが、同じ目的を達成するために、これだけ色々な技術が使えるとは……。


……ベッツリコーラもよみがえらないか知らん。


……などと淡い期待を描いてみたものの、これ、ちょっと問題があることに気付いたのですね。


というのも、少なくともこの3種類の技術を見る限りでは、動物をよみがえらせるためにはその動物の細胞そのもの……ないしは少なくともゲノムのデータが必要なのですね。


つまり、逆に言えば細胞や遺伝子が残っていない遥か太古の動物をよみがえらせることはできないのですね。


……当たり前か……。


遺伝子を収めている記録媒体であるDNAは、どんなに保存状態が良くても数百万年もすれば分解されてしまうという話もありますから、数万年くらい前の動物ならともかく、何億年も昔の動物をよみがえらせることは物理的にできないのですね……。

www.discoverychannel.jp


こちら、ディスカバリーチャンネルさんの記事です。

この記事では「恐竜に近い生き物(というか恐竜の子孫)である鳥の遺伝子などを改造することで、恐竜にそっくりな動物を作り出せる」というまさに上で書いた「ゲノム編集技術」を使った方法について述べているのですね。

ですが1億数千万~6600万年前に栄えた恐竜そのものを直接よみがえらせることはできないそうです。


……恐竜ですら不可能なら、5億年以上昔に生きていたベッツリコーラはさらに望みが薄いのですね……。


近い動物の遺伝子を改造するにしても、ベッツリコーラの系統はそもそもがカンブリア紀末の時点で途絶えており、直接の子孫もいないため、近い動物そのものを探すのが不可能なのですね。


う~ん……夢がありそうな技術ではありますが……同時に限界も見えてしまうのですね……。

 

懸念もある?

さて、上に書いたような「物理的な限界」以外にも、色々な問題点が同時に指摘されています。


まず立ちはだかるのは倫理面の問題なのですね。


……つまり、「人間がこんな風に命を作り出すなんてそれでいいと思っているのか!」……ということなのですね。


またそれ以外にも、そもそも今の環境に合わないから絶滅したのであり、絶滅した動物を今の環境下でよみがえらせてもちゃんと生きていけないだろう、とか、逆に今の世の中を昔の動物たちが闊歩することにより、現在の生態系を壊してしまうのではないか、とか、そういった類の問題もあるのですね。


……たとえば、サバンナの王者ライオンは、氷河期が終わったせいでライバルであったスミロドンが絶滅したため、今日のような王者になることができたのですね。

もしここでスミロドンをよみがえらせてサバンナに放ったとしたら、今度はライオンが王者の座を追われてしまうのですね。


……もちろんスミロドンが狩ることができるのはマンモスなどの氷河期の生き物ですから、マンモスを復活させずにスミロドンだけ復活させたとしても、結局はまた絶滅してしまうのは目に見えているのですが……。


また、コスト的な問題もあるようです。

記事によると、2017年にイギリスの科学雑誌(名前は出ていませんでしたがたぶん「ネイチャー」だと思います)にとある論文が発表されたのですね。

それによると、なんと「野生動物を保護するための予算を絶滅種の復活のために使えば、現存する野生動物が危険にさらされる」というのですね。


……つまり、「死んだ奴らをよみがえらせるカネがあるんなら、そのカネを使って今生きている奴らを助けろよ!」……ということなのですね。


確かに、絶滅種をよみがえらせるために現存種の保護がおざなりになってしまっては、これこそ本末転倒なのですね……。

 

よみがえらせていいのは最近の動物だけ?

こ、これは……

……紙面に書かれていた懸念だけで、私が思っていたことを全部言われてしまったのですね……。


きっとみんな同じことを考えているのでしょう。


おそらくよみがえらせていいのは、今の環境下で絶滅した動物たち……つまり、「つい最近まで生きていた」動物たちだけなのですね。


何万年も前の、今とは全く違う環境下で生きていた生き物の場合、たとえよみがえらせることができたとしても、どの道今の環境では暮らしていけません。

今の環境に適応できずにまた絶滅してしまうか、もしくは逆に今の生態系を壊してしまうという結末になってしまうのですね。


ならば、それこそジュラシックパークのように完全に人間の保護下で育てればいいではないかという声も聞こえてきそうですが、それでは結局タダのペットで終わってしまうのですね。

野生下でまた暮らすことができないのなら、一体何のためによみがえったというのでしょう。


その暮らしぶりを含めて全てを元通りにすることにより、初めて動物をよみがえらせたと言えるのではないでしょうか。


体だけをよみがえらせるのなら確かに今の技術でできるのかもしれません。

ですが暮らしぶり含めてすべてをよみがえらせるためには、環境そのものを元通りに作り変えてしまう必要があるのですね。

極端な話スミロドンだけをよみがえらせたとしても、野生下ではマンモスなどの大型草食動物がいなければ彼らは食べるものが無くて生きていけないのですね。


両方復活させるにしても、氷河期に生きたマンモスやスミロドンをよみがえらせるためには、もう一度「氷河期」が来なければならないのですね。


それはおそらく不可能でしょう。


かといって動物園で飼おうとすると、それはもはや野生動物とは言えなくなってしまいます。


現存する個体は人が飼っているもののみになり、野生化ではすでに絶滅している状態……それを「野生絶滅(EW)」というのですね。


この技術……確かに夢がありますが、色々な問題もはらんでいます。

実際にはおそらくかなり限定的な使い方しかできないのですね。


とりあえず、研究を進めるのならばまずはマンモスやスミロドンなどの「古生物」と呼ばれるような古い生き物ではなく、タスマニアタイガーキタシロサイピンタゾウガメなどの「ごく最近まで生きていた生き物たち」を復活させることを考えるのが先ではないでしょうか。

 

人様を格付けするオソロシイAIアプリ。新たなる格差社会が生まれつつある?

AIと人との関係を考えるコラム

朝日新聞さんの記事に、「シンギュラリティーにっぽん」というのがあるのですね。

AIが自らより優れたAIを作り出すことができるようになる日……つまり、AIが人類を超えてしまう時のことを「シンギュラリティーと呼びますね。

シンギュラリティー2045年には来るのではないかと予言されていますが、それが間近に迫った昨今において、AIと人とはこれからどのようにして付き合っていけばいいのか、AIは果たして希望なのかそれとも悪魔の道具なのか……といったことを考えていくのが、この「シンギュラリティーにっぽん」という記事なのですね。


……わかった風なことを書きましたが、実はこの記事、あんまり真面目に読んでいなかったのですね。

AIは使い方次第で社会をより良く変えていくことができるとは思いますが、今までの発明品とは違ってその力があまりにも大きすぎるため、AIがもたらしてくれる利益よりも使い方を誤った時の悲劇の方が怖いのですね。


そして人間というものは新たなる発明が世に出た時、ほぼ確実に誤った使い方をしてしまうものだということは、既に歴史が耳タコになるほど証明してくれているのですね。


AIに関してもおんなじで、社会を良くするために使おうとする人がいる一方で、悪いことに使おうとする人が必ず出てきてしまうでしょう。

そうなった時のリスクがどれほどのものなのか、考えると夜も眠れなくなるくらいに恐ろしいので、こういうリスクを前面に押し出した類の記事はなるべくならあんまり読みたくないのですね……。


……ですが、今朝の新聞に載っていた「第1部 未来からの挑戦3」はついつい引き込まれる内容で、あろうことか最後まで読んでしまったのですね。……やめておけばいいのに……。


案の定オソロシイことが書かれていて、おかげで頭の中がこの記事のことで一杯になってしまったのですね。

問題の記事は電子版にもあるので、このリンクで読むことができるのですが、あいにくと会員制なのですね……。

www.asahi.com


かんじんの内容をかいつまんで説明すると、どうやら「人の『信用度』を点数化するAIアプリ」なるものが既に登場しており、また今後もしかすると普及するかもしれないのだそうです。

AIの判定には個人情報をたくさん入力する必要があるとのことなのですが、それによって「信用度の点数で人が差別される世の中になるのではないか」という懸念が広がっているのだそうです。


…………こ、これは……………

…………非常に危ないのですね。


もう概要を見ただけで危険な臭いがプンプンするのですね。


「AIは下手に使うと格差を広げてしまう」ということは前から言われています。


「格差」というのはお金だけでなく、文字通り色々な格差なのですね。


つまり、「お金持ちをさらにお金持ちにするために使うことができる」という意味以外にも、「特定の民族や人種、宗教、性別、出身地などの立場に対して、誤解や偏見などをさらに拡大してしまう」などという意味があるのですね。


そして今度はそこに「『信用度』によって格差が生まれてしまう」という問題が新たに加わったようです。


……とりあえず、長くなりそうなので目次を置いておくのですね。

 


性悪説が根強い中国では普及?

さて……この見るからにオソロシイシステムですが、なんとお隣の中国では既に結構普及しているのですね。


中国ではかの有名なアリババさんの子会社が作った「ゴマ信用」なる「信用度採点アプリ」があるようで、少なくとも記事を見た限りでは割と一般に浸透しているようです。

このアプリは使った人の「信用度」を350~950点の間で採点するそうなのですが(ナゼニ数字が中途半端?)、得点が高い人はアパートや自転車を借りたりホテルに泊まったりするときの保証金が要らなくなったり、飲食店で割引してもらえたりと色々ウレシイ特典があるのですね。

また個人の信用度が「見える」ようになったことにより、ビジネスがスムーズに進んだり、みんながルールを守るようになったりと、いいこともたくさんあったそうです。


どうやら中国では性悪説……つまり、「人など信用できぬ!」という考え方が根強いらしく、相手が信用できる人かどうかは切実な問題なのですね。


……そこで「一目で相手が信用できる相手かわかる」この「信用度採点アプリ」が普及したのですね。


ただ、案の定懸念もあるそうで、これによって「信用度で人を階級化する階級社会」が生まれてしまうのではないか、と言われているのですね。


……それ、一番最初に気にするべきところなんじゃぁ……。


アプリの企画段階で反対意見は出なかったのだろうか………。


日本にもある!?

このシステム、今のところ日本ではあまり普及していないようですが、驚いたことに、日本にもあることはあるのですね。

みずほ銀行さんとソフトバンクさんが出資している「Jスコア」なるシステムがそれなのですね。

これは1000点満点で個人の信用度を測るようで、作っている会社も「J.Score」さんというのですね。

 

…………そのまんまじゃん。


なんにせよ「ゴマ信用」も「Jスコア」も、もともと金融機関でお金を貸す相手の信用度を見るために開発されたものなのですね。


金融機関にとっては相手の信用度は大事な問題だとは思うのですが、それを一般社会に適用するのは違うと思います。

金融機関で言う「信用できる」と、一般で言う「信用できる」は別物です。


つまり、「お金を貸していい相手」と、「友達になっていい相手」は違いますね。

「お金をちゃんと返してくれる人」と「人格的に優れていて、また自分と合っている人」は別物ですね。


……ですが既に「ゴマ信用」に関しては、「友達になっていい相手」を判断するのにも使われているようです。

当のアリババ会長の馬雲さんも、いずれ母親が「うちの娘と交際するなら、ゴマ信用のスコアを見せて」という時代が来る、と言っているのですね。


……つまり、あくまで「金融機関における信用」だけでなく、「一般的な信用」を判断するのにも使うことが前提なのですね。


なんか違うんじゃ……という気もするのですが、我らが「Jスコア」がそうならないと、一体誰が言いきれるでしょう?


日本のみんなの反応

とこで、問題の「AIが人を採点するシステム」の普及に関してですが……。

記事では今のところ(日本では)賛成している人が35%、反対している人が65%いるという結果になったと書かれています。

IT決済サービスのネットプロダクションズさんがことしの2月に722人を対象にネットで行ったアンケートの結果なのだそうですが、圧倒的に反対派が多いのですね。


たったの722人って……統計学的には割と少ない気がするのですが……


……まぁいいか。


なんにせよ今のところ過半数が反対しています。

理由としては「監視されているようで気持ち悪い」とか「個人情報の共有に抵抗がある」などというのがあるようです。


……つまり、自分の情報をドコでナニに利用されているかわからないというのが問題なのですね。


要するに、人を信用できるかを採点するシステムのはずなのに、そもそもそのシステムを運用している側が、みんなから信用されていないのですね。


……こ、これは……

完全に人を採点する資格なし、なのですね。


なんとも滑稽な話です。

企業自身は自分にはみんなに大事な個人情報を提供してもらい、また人を採点する資格があるとお考えのようですが、みんなの考えは違っているようです。


それに気づかないなんて、大企業の傲慢さが如実に見て取れる展開なのですね。


個人情報の提供を求め、人様の信用度を採点する前に、まずは運営している企業側が自分たちの「信用度」を示すべきなのですね。


そもそもこの採点は正しいのだろうか

さて……、このシステム、「点数で格差が生じる」だの、「個人情報を大企業に持って行かれる」だの、様々な問題をはらんでいるということはわかりました。

ですが大事なことを一つ忘れているのですね。


そもそもAIの採点は正しいのでしょうか。


………全ての根本にして、また一番不正確な問題なのですね。


AIというのは人間の脳の働きの一部をコンピュータで再現したものですから、人間と同じく、自らが学習した知識(データ)に基づき物事を判断するのですね。

そして学習したデータに偏りがあると、判断する内容にも偏り(=偏見)が生じてしまいます。


また、ナニを学習させるかを決めているのはほかならぬ人間ですから、そもそもAIにデータを学習させる時点で、作り手側の独断や偏見が入り込んでしまうのですね。

そして、自分でデータの偏りに気付くことができず、教わったことを鵜呑みにするしかない素直なAIは、その独断や偏見をもスポンジのように吸収してしまうのですね。


偏見のある先生に教わった生徒は、同じ偏見を受け継いでしまいます。

生徒が素直であればあるほど、その度合いも大きくなります。


つまり、AIは「絶対にミスをしない完璧な機械」ではなく、「誤解も偏見も持ち合わせていて、時には過ちを犯す不完全な機械」なのですね。


………人間と全く同じなのですね。

元々のお手本が人間の脳ですから、当然かもしれませんが。


確かにAIは人間よりも素早く、基準通りに正確に物事を判断してくれるかもしれませんが、そもそもその基準そのものに誤りがあれば、判断結果も間違いになってしまうのですね。


つまり、本当にちゃんと「信用度を数値化」できるのか、そもそもそれが疑わしいのですね。


極端な話、場合によっては「信用できる人」に低い得点を付け、逆に「信用できない人」を高く評価してしまうかもしれません。


百歩譲ってAI側に不備が無かったとしても(そのようなことは絶対にありえないとは思いますが)、そもそも相手が本当に「信用できない人」だったとしたら、アプリの質問にも正直に答えないと思います。


世間一般ではウソを簡単に吐くような人のことを「信用できない」というのですね。

………そんな人がアプリの質問に対して素直に本当のことを答えるでしょうか。


おそらく自分の得点が高くなるように、あの手この手でウソの限りを尽くすでしょう。


そんな間違った情報を元にアプリがその人を採点し、結果求まったスコアが高得点だったとしても、それは本当にその人が「信用できる」ということにはならないのですね。


人の仕事を奪うよりも……

ところで、「AIは危険な道具である」とはよく言われますが、その理由は一般的にはだいたい「AIが人の仕事を奪ってしまうから」なのですね。


また「AIが反乱を起こして人類を滅ぼす」などというSF的な話もありますが、それに関して私は相当に懐疑的なのですね。

詳しい理由はこちらの記事に書いてありますのでそれを見て頂くとして……。

blog.kitsune-vetulicola.net

 

……なんにせよ、AIは使い方を誤れば危険である、という考えは私も同じなのですね。

ことにこの「信用度採点アプリ」に関しては相当危険だと思うのですね。


ですがその理由は「人の仕事を奪う」でも「人類を滅ぼす」でもありません。

他にもっと危険な理由があるのですね。


先ほども書いた通り、AIの判断基準はそれを作った人の独断と偏見で決まってしまうのですね。

「独断と偏見」とはすなわち乱暴な言い方をすると「物事を自分の都合のいいように解釈する」ということなのですね。


そして「信用度採点アプリ」を作っているのは今のところ大きな会社……つまり、ごく限られた、一部の人たちだけなのですね。

(精度の高いAIを作るには膨大な量のデータを集めなければなりませんから、どうしても大きな会社ほど有利になってしまうのですね。)


……つまり、「信用度採点アプリ」は現状では「一部の人たちに都合のいい基準で人の信用度を判断する」ということになります。

 

……この後技術やデータが一般に浸透し、零細企業でも同じようなアプリを作れるようになる、というなら話は別かもしれません。

ですがおそらく最初に開発を始めた大企業は技術もデータも独占したがるでしょうし、絶対に中小企業に渡したりしないでしょうから、結局は最初にアプリを作った大企業が全てを握ることになってしまうと思われます。


……では、家庭用ゲーム機の製造よろしくごく一握りの人たちだけがこんなアプリを製造し、またそれを世の中に普及させたらどうなるでしょうか。


個人情報がごく少数の会社だけに握られてしまう、などというGAFAの問題みたいな現象が起こるのはホンの始まりにすぎません。


普及すればするほど、一部の企業だけが、「自分たちに都合のいい」判断基準を持つアプリを運用することで、いかようにも社会を「自分たちに都合のいい方向に」作り変えてしまうことができるようになる可能性があるのですね。


なぜなら、アプリが普及した時点で、おそらくアパートを借りることからお店の割引きまで、既に「信用度」が高いと利益を得られる社会になってしまっているのですね。


信用度が高いとそれだけ有利になれるのですから、当然みんな「そのアプリの」信用度を上げることに必死になるでしょう。


また信用度を上げるためには高得点を出す採点基準を満たす必要がありますから、みんなその基準を満たそうとして必死に頑張るでしょう。


……必然的に、みんな「アプリを作った企業の基準」を正解とみなして行動するようになるでしょう。


まるでその基準が「法律」であるかのように。


……ですが、その基準は「アプリを作った企業」が自身の独断と偏見で……つまり、自分たちの都合のいいように決めたものです。法律のように専門家の人たちがみんなで話し合って決めたルールではありません。


そうすると………どうなるでしょうか……。


これは実質的に特定の企業が、「正しい行動」……つまり「正義」というものを定義し、みんなにそれを守らせているということになりませんか?


早い話が、特定の企業が「正義とは何か」を決めてしまい、自らが「正義を司る存在」「絶対正義」になってしまうということです。


当然その企業に影響力(というかもはや実質的な権力)が集中し、まるで「法の番人」ででもあるかのように振る舞うようになってしまうでしょう。最高裁判所でも国営機関でもない、一民間企業が。


こ、これは………

国内にもう一つの政府ができてしまうのですね。


アプリが3つあれば、当然3つできるでしょう。


多くなればなるほど価値基準はお互いに相殺され、結果バラバラになりますから、それぞれのアプリ(≒それを作った企業)の影響力はそれだけ小さくなるでしょう。


しかし、もしアプリが1つしかなかった場合、その基準が絶対になってしまうのですね。

そしてその基準はあくまで「法律の専門家がみんなで話し合って決めた基準」ではなく、「一民間企業の(法律の専門家でもなんでもない)開発者が、独断と偏見で決めた基準」なのですね。


実質、国が一民間企業とその価値観に支配されてしまうことになるのですね。


…………これは恐ろしすぎるのですね。


AIを研究している人たちは、往々にしてAIをみんなのために使いたいと願っているのだそうです。

ですがどんなに研究者の皆さんがそう考えていても、AIを自分たちの利益のためだけに使おうとする人たちは必ず出てきてしまうのですね。

私は基本的に性善説を支持していますし、みずほ銀行さんやソフトバンクさん、J.Scoreさんがそんな悪いことを考えているとは思いたくありません。

ですがこればかりは既に歴史が幾度となく証明してしまっているので、残念ながら「そんなことはありえない。みんなAIを社会のために使おうとするはずだ」と言い切ることはできません。

たとえ今の代では社会のためにAIを使おうと考えていても、代が変わればどうなるかわかりません。


……下手をするとAIは原子力以上に「両刃の剣」になりかねないようです。


誤った使い方で「裏側の刃」が暴走してしまわないよう、人類全体のモラルが求められているのですね。

ハイテクよりアナログ?様々な可能性を秘めたハサミのロボット

テッポウエビのハサミロボ

昨日は色々なサイトさんからいろいろとブログのネタにできそうな面白いニュースが舞い込んできたのですね。

結局シリーズものを優先して(?)アリに寄生して操るキノコ、「タイワンアリタケ」の記事を書いてしまったわけなのですが、実は他にもあったのですね。

wired.jp


なんと、テッポウエビのハサミを人工的に再現したロボットを作ってしまった人がいるというのですね。

ハサミロボを作ったのはアメリカのテキサスA&M大学の機械工学者デイビッド・スタークさん。

実際にテッポウエビをGETし、その脱皮後の抜け殻を元にして機械のハサミを作ったのだそうです。

そしてこのハサミロボを使うと、水中で効率よく大量のプラズマを発生させることができるようになるそうで、それによって海底工事などに一役買いそうなのだそうです。


………その発想は無かった、のですね。


まさかテッポウエビのハサミを機械で再現する人がいるとは……。


テッポウエビ

色々と書いてしまいましたが、そういえばテッポウエビの認知度ってどれくらいなのでしょうか……。

これをモチーフとしたキャラクターが、ウデッポウ」なる名称でポケモンにも登場していたりするので、結構知られているかと思ったのですが、もしかしたらマイナーかもしれないので、とりあえず改めて一度これがどんなエビなのかを書いてみるのですね。


テッポウエビとは広い意味では

動物界-節足動物門-甲殻亜門-軟甲綱(エビ綱)-十脚目(エビ目)-抱卵亜目(エビ亜目)-コエビ下目-テッポウエビ上科-テッポウエビ

……に属する甲殻類のことなのですね。


またより狭い意味ではその中の

テッポウエビ科-テッポウエビ

に属する「Alpheus brevicristatus」という学名のエビのことなのですね。


このテッポウエビ属含める4つの属では、片方のハサミが大きく発達しており、またこのハサミを素早く閉じることにより衝撃波を発生させ、遠くの獲物を気絶させたり敵を追い払ったりできるのですね。


この能力が「テッポウエビ」という名前の由来なのですね。


実際は単にハサミで水を押し出しているだけではなく、どうやら水中の圧力の変化により水が瞬間的に沸騰して気泡が生じ、またそれが衝撃波を出しながら消滅する「キャビテーション(空洞現象)」なる現象が起こるのだそうです。

また「キャビテーション気泡」というこの泡はプラズマ衝撃波とともに「ソノルミネッセンス現象」なる発光現象を引き起こし、同時に210デシベルもの騒音を出すのですね。(本物の鉄砲は150デシベル程度らしいので、かなりなものです……。)


……なんだか用語が専門的すぎてよくわからないのですが、プラズマとは物質に熱などのエネルギーを加え続けた結果、個体→液体→気体の変化を通り越してもはや原子そのものがバラバラになってしまった状態のことをいうのですね。

どうやらテッポウエビのハサミは水中でパチンと閉じるだけで4400度もの高温を発生させることができるようですから、それによって水が変化してプラズマ化してしまうのでしょう。たぶん。


こ、これは………。

とても手の平サイズの小さなエビの仕業とは思えないのですね。


まさかテッポウエビのハサミにこのような秘密があったなんて!

私も知りませんでした。てっきりハサミを閉じる勢いで水を発射する程度だと思っていたのですね。


ですが、「あまりの速さで水が沸騰する」って……ちょっと既視感があります。


これは……腕の一振りで水を沸騰させ、その拳で貝殻をも砕くあの甲殻類………「モンハナシャコ」を彷彿とさせるのですね。

同じ甲殻類どうし……どこかでつながっているのだろうか。


……などと思ったら、やっぱり出てきたのですね。

記事の中ほどには、同じく強烈なパンチでキャビテーション気泡を発生させるシャコを研究し、それを再現した「Ninjabot」なるロボットを作った人のことが書かれています。


に、忍者……?


……ネーミングは置いておき、とりあえずシャコの拳をロボットにしたのですね。

シャコの名前こそ書かれていませんが、拳を持っていて、こんなトンデモなことができるシャコなんて、モンハナシャコに違いありません。


いやはやシャコにせよテッポウエビにせよ……すごすぎるのですね。


ところで、日本では単に「テッポウエビ」といえば「Alpheus brevicristatus」を指すようですが、今回引用したWIREDさんの記事には「世界の海には数百種のテッポウエビが生息する」と書かれているのですね。

……おそらく「テッポウエビ科」全般、もしくは「ハサミが鉄砲になっている4属」を指している可能性があります。


なんにせよこのハサミはこれらのエビたちには共通の能力であり、またこのテッポウエビのハサミを、機械的に再現して作ってしまった人がいる、というのが今回の記事の内容なのですね。


………こんなものを再現してしまうこの人もすごいのですね……。


ロボットハサミの使い道って……

さて……テッポウエビのハサミがどれほどすごいものなのかはよくわかりました。

詳しい仕組みはよくわかりませんが、すごいハサミだということはわかりました。

そしてそれを機械で再現してしまったこの人もすごいのですね。


……ですがこれ………一体何に使えるのでしょうか………。


記事にはハサミが出すプラズマを使って岩盤を掘削することができるのではないか……また、水を浄化することができるのではないか……とあります。


今でもレーザーを使ったりして水中でプラズマを作る方法はありますが、それだと効率が悪いので、代わりにハサミが使えるのではないか、ということのようです。


……レーザーの代わりに、ハサミ………。


何だかものすごく原始的になって……いや、シンプルになっている気がするのですが……。


……とりあえず、水中での掘削や溶接などの工事に使えるというわけなのですね。

しかも、ハサミの方がレーザーよりも効率がいいって……これはなんだかレーザーの立場がないのですね……。


またそれ以外にも、プラズマを使って水を分解し、過酸化水素を作ることができるのだそうです。

過酸化水素は水を汚す物質を壊すため、プラズマで水をきれいにすることができる、ということなのですね。


………プラズマクラスター……なのですね。


これは次世代の浄水場などで活躍しそうですが……プラズマの出所はハサミなのですね。


浄化槽の中でひたすらロボットのハサミがジョキジョキ動いてるって……社会科見学で浄水場を訪れた子供たちがスタッフの人に「おじさんあのハサミは何を切っているの?」などと質問してしまいそうです。


こ、これは……

………シュールすぎるのですね……。

それでなくとも「ハサミで水をきれいにする」という発想そのものがこれらの説明を聞いていなければ「???」となるレベルのものなのですね。

 

いやはや未来の浄水場は今の常識から考えると想像を絶する姿に成り果ててしまっているに違いありません。

 

無限の可能性を持つハサミ?

なんにせよ、ハサミロボには様々な可能性があるのだということはわかりました。

記事では例として水中での工事や水の浄化などが挙げられていますが、実際はまだまだイロイロとカスタマイズができるようで、つまるところ他のことにも使えそうです。


きっとそのうち偉大な発明家たちによってさまざまな用途のハサミが開発され、いつかテッポウエビ「生き物にサンキュー」で紹介されるに違いない。


……番組終わってしまったのですね。残念です……。


ちなみにこのテッポウエビのハサミ鉄砲、人間が撃たれても大して痛くないそうです。


あくまで他の小さな生き物と戦うためのものなのですね……。


ですがハサミそのもので直接挟まれると案の定かなり痛いらしいので、テッポウエビに触る時は要注意なのですね。

アリに感染する「タイワンアリタケ」 恐ろしい寄生キノコだけどワクチンがある?

アリに寄生するキノコの話

先日このような記事を書いたのですね。

blog.kitsune-vetulicola.net

blog.kitsune-vetulicola.net

両方ともヤフーニュースさんに連載されているデイリー新潮さんの「えげつない寄生生物」という記事について書いたものでした。

今のところ3回掲載されており、近々19日に4回目が出る……とのことだったのですが、そういえば今日はもう19日になってしまったのでした。


と、言うわけで、ヤフーニュースさんを見てみると案の定以下の記事が掲載されていたのですね。

headlines.yahoo.co.jp


……はい、4回目です!

ちなみに新潮さんの記事は以下なのですね。

www.dailyshincho.jp


……こっちの方が画像が見やすいです。


1回目と2回目でゴキブリに寄生するハチのことを、3回目でカマキリに寄生するハリガネムシのことを書いていたので、今回も寄生生物は動物だろうと勝手に思っていたのですが……違いました。

なんとまさかのキノコだったのですね。


………記事では「カビ」と呼ばれていますが、それだとなんとなくきちゃない感じがするので、この記事では「キノコ」で統一しようと思います。

そんなことを言ったらカビという生き物に対して失礼な気もしなくもないのですが、記事にもあるようにカビとキノコの間に生物学的な区別はないため、名称の字面上の抵抗が無ければ(?)どちらで呼んでも構わないのですね。


なんにせよ、「キノコ」と呼べば少なくとも恐ろしい寄生生物がなんとなくおいしそうに思えてくるのですね。


タイワンアリタケ Ophiocordyceps unilateralis

さて………。

毎回一緒についてくる物語とイラストが寄生生物の世界観を見事に表してくれているのですね。

このキノコが一体どれほど「えげつない」かは問題の記事を見ていただくとして……。


記事によるとアリに感染していたのは「子嚢菌類(しのうきんるい)」と呼ばれる菌類(真菌)の一種なのだそうです。


子嚢菌類とは

真核生物ドメイン-菌界-子嚢菌門

に属する菌類の総称で、胞子を作る時に「子嚢」と呼ばれる嚢の中に詰め込むことで知られているのですね。


なんと、6億年前~5億年前、つまりエディアカラ紀の中盤からカンブリア紀にかけての間に既に出現していたようです。


また子嚢菌というのは「門」ですから、動物にたとえるなら「脊索動物」「節足動物」「軟体動物」などと言うのと同じくらい大雑把な分類なのですね。

この下にさらに「亜門」があり、「綱」があり、「目」があり、「科」があり、「属」があり、それからようやっと「種」にたどり着くわけなのですが、問題のキノコはどうやら学名「Ophiocordyceps unilateralis」という種類のようです。

「えげつない~」の記事には種類までは書かれていませんでしたが、なんと我らがはてなブログさんの中に、8年も前に書かれたこのキノコについての記事があり、そこではしっかり種類を名指しで特定してくれているのですね。

horikawad.hatenadiary.com


「Ophiocordyceps unilateralis」の生態を、わかりやすくイラストで解説してくれています。

おまけにBBCさんの動画まで引用してくれており、大変にわかりやすくまた大変気に入りましたので、まことに勝手ながらリンクを貼らせていただくのですね。


……動画を見るのは少々注意が必要かもしれませんが……。


またこのキノコ、残念ながら和名は無いのかなと思ったのですが、調べてみると「タイワンアリタケ」という名前が見つかりました!

以後、この記事でも「タイワンアリタケ」と呼ぶのですね!


カビ、キノコ、細菌

ところで、「えげつない~」の記事で「タイワンアリタケはカビかキノコか」ということに触れているのですね。

また同時に「真菌と細菌がどうの」とも言っています。


この辺ちょっとややこしいので、一旦整理するのですね。


まず、キノコやカビの仲間を「菌類」もしくは「真菌」と呼びます。


……面倒なのでここでは「真菌」に統一しましょう。


似たような言葉に「細菌」というのがあり、真菌と細菌は往々にして混同されがちなのですね。

ともすれば「菌」という生き物がおり、その中にさらに「真菌」と「細菌」という分類があるのか……などと思われることも結構多いようです。


ですがこの2つは同じ仲間ではなく、ドメインレベルで全く異なる生き物なのですね。


ドメインというのは「域」とも呼ばれ、生物の分類階級の1つなのですね。

分類階級は大きなものから順に


ドメイン(域)-界-門-綱-目-科-属-種


となっていますが、もっとも大きな分類階級であるドメインは、生物をその細胞レベルの構造の違いで分類したもので、今のところ3つのみが確認されています。

………なのですね。


「細菌」ドメインはそのまま細菌のことで、「古細菌」と合わせて「原核生物」などと呼んだりします。


対する「真核生物」は、細胞内に細胞核と呼ばれる細胞小器官をもつ生き物のことです。


「細胞小器官」というのは、細胞の中に何種類かあって、それぞれ様々な特定の機能を担当する部品のことで、要するに「細胞の内蔵」なのですね。

この中で「細胞核」というのは細胞の生殖や遺伝情報の保持など、かなり重要な役割を持つ器官なのですね。


これを持っているものが「真核生物」なのですね。


「真核生物」ドメインの下にはさらに植物が属する「アーケプラスチダ」や、動物や真菌が属する「オピストコンタ」といったグループがありますが、大事なのは「真菌」が「真核生物である」ということです。


……つまり、こういうことなのですね。


生物-細菌ドメイン ←これが細菌

生物-真核生物ドメイン-オピストコンタ-菌界 ←これが真菌、つまり、カビやキノコ

生物-真核生物ドメイン-アーケプラスチダ ←これが(狭い意味での)植物


……こうしてみると、細菌と真菌のちがいは一目瞭然なのですね。

キノコやカビは細菌とは違いますし、植物でもありません。むしろ分類上では動物に近い生き物なのですね。

記事には「真菌は細菌と違って、細胞内に核を持つ」とありますが、真菌に核があるのは真菌だからではなく、真核生物だからなのですね。


ちなみにわれわれ多細胞生物は全て真核生物です。

 

また、カビとキノコの違いに関しては……単に「子実体ができるかできないか」の違いでしかないのですね。

子実体とは胞子を作る器官であり、植物でいうところの「花」にあたるものです。


早い話が、われわれが「キノコ」と呼んでいるアレです。


つまり、カビとキノコの区別はあくまで「見た目」の違いであり、分類学的な違いではないのですね。


……イルカとクジラ、ワシとタカ、ガとチョウの違いみたいなものなのですね。


調べてみると大きな子実体ができているものをキノコというわけなので、マツタケやシメジなど、本来は「キノコ」と呼ばれる種類の菌類であっても、子実体を作る前の菌糸だけの状態では「カビ」と認識されることもあるようです。


……本当に適当なのですね。

このような適当な分類にも関わらず、「カビ」と呼ぶか「キノコ」と呼ぶかで聞く人の食欲の度合いが大きく変わってしまうのですから大変です。


「今バカマツタケを栽培してるんだけど、まだカビなんだ。もう二三日したらキノコになってくれると思うから収穫でき次第ごちそうするよ」


……などと言われたら、「キノコになった後」でもなんとなく食べたくないのですね。


……どちらで呼んでも変わらないのなら、とりあえず「キノコ」と呼んでおいた方が食欲が減退しなくてよさそうです(?)


またキノコに毒キノコとそうでないキノコがあるのと同じように、カビにも毒があるものとそうでないものがいるのですね。


……カビとキノコが同じものであるのなら、そうなるのは当然かもしれませんが……。


身近なところでは、日本酒を作るのに使われる麹カビ「Aspergillus oryzae」や、泡盛を作るのに使われる「Aspergillus awamori」には毒がないため、食品に入れても大丈夫なのですね。

ですが、同じ「アスペルギッルス属」のカビでも毒をもつものがおり、それらのカビを食品に使うのはご法度なのですね。


気門から感染するタイワンアリタケ

………大分話が逸れてしまったのですね。

我ながらどうしてこうなるのだろうか。


なんにせよタイワンアリタケは「真菌」であって「細菌」ではないということや、また「キノコ」か「カビ」かという呼び名については分類学的には「どちらでもいい」ということがこれでわかったのですね!


また真菌は卵でも種でもなく「胞子」という粉をばらまいて増えていきますが、タイワンアリタケの場合はアリさんがこの胞子を吸い込むことで感染してしまうのですね。


……空気感染………なのですね。


先の「えげつない~」の記事ではその過程も詳しく書かれています。


どうやらタイワンアリタケの胞子はアリの「気門」から体の中に侵入するようです。


私たち哺乳類は鼻から空気を吸い込み、肺で酸素を取り出して血液にとかし、その酸素を血液が体の隅々まで運ぶことで呼吸していますね。

ですがアリなどの昆虫の呼吸器系は「気管」と呼ばれるシステムになっています。


気管はその名の通り「空気が通る管」で、私たちの体の中にもあるアレです。

私たちの場合、気管は肺の中だけで終わっていますが、昆虫の場合はまるで血管のように体中に張り巡らされているのですね。


そして昆虫が吸い込んだ空気は血液にとけるのではなく、直接気管の中をとおって体の隅々にまで酸素を運ぶのですね。


……つまり、血液を介さずに直接吸い込んだ空気を体中に送る構造になっているのですね。


では血管はどうなのかというと、昆虫含める節足動物は「解放血管系」といって、心臓となる動脈以外の血管は存在せず、心臓からあふれ出した血液は直接体の中の隙間をめぐる仕組みになっているのですね。

また当然ですが酸素は運ばず、栄養のみを運ぶようになっています。


……つまり、「酸素の循環系」と「栄養の循環系」とが完全に別々になっているのですね。


昆虫は体が小さいため、一旦血液に酸素をとかすよりも、直接空気ごとめぐらせた方が効率がいいのですね。


そしてこの気管の入り口のことを「気門」といい、昆虫ではお腹の横に各体節に対応する形で付いているのですね。

 

………きつね、「えげつない~」のイラストの説明を見て気門の位置がなんかヘンだと思ってしまったのです。

イラストでは気門が胸の横にまでついています。


確かお腹の横だけだったような……?


ですが調べてみたらアリさんの場合は胸の横にもあるのですね……。

アリ同じ仲間であるハチもそうらしいです……?


……と、いうより、昆虫はもしかして全部すべてそうなのだろうか……。


……ちっとも知りませんでした。私の知識はこういう肝心なところで抜けがあるのですね。


なんにせよ、おかげで気門に対する理解が深まりました。

私の気門に対する知見に新たなる光明をもたらしてくれたイラストに感謝なのですね!

 

……などという私の個人的な感謝の話は置いておくことにして……。


タイワンアリタケの胞子はこの気門に吸い込まれることで感染するのですね。

昆虫の気管は全身を巡っていますから、ここに胞子が入るとあっという間に全身にまわってしまいそうです。

われわれにたとえて言うなら直接血管の中に胞子が入ってくるのと同じなのですね。


………怖すぎなのですね……。

免疫細胞で撃退できないのだろうか……。


恐ろしい寄生キノコだけど「ワクチン」が存在する?

とりあえず、最後に「子実体」を作って胞子をばらまくことによって他のアリたちに感染する、と記事にはあります。

逆に言えば感染したアリが巣に戻って普通に生活していても、他のアリたちにキノコがうつってしまうことはないのでしょう。


また最後はタイワンアリタケの生育に適したジメジメと温かい場所にある植物に噛み付き、そのまま死んでしまうとのことです。

記事にはこのアリを解剖したとありましたが……あんな小さいもの、一体どうやって解剖するのだろうか……。


と、いうより、アリが植物に噛み付いた時点で既に頭の中がタイワンアリタケの細胞で一杯になっているって……怖すぎるのですね……!


おまけにひとつのキノコから数えきれないほどたくさんの胞子がばらまかれるわけですから、そのうち森じゅうが胞子だらけになってしまい、アリが全滅してしまいそうですね。


ですが、アリさんたちには朗報なことに、実際にはそうはならないようです。


アメリカ、ペンシルバニア州立大学の昆虫学者デイビッド・ヒューズさんの研究によると、どうやら森の中にはタイワンアリタケの活動を抑制する別の菌類が生息しているようです。


……この菌類は新種らしく、まだ名前が付けられていないのですね。


なんにせよヒューズさんの研究によれば、その「ワクチン菌」により、タイワンアリタケの胞子は6.5%程度にまで抑えられてしまい、森中に拡散することはないのだそうです。


……なんだか夢のような話なのですが、きっと自然界のパワーバランスを保つための仕組みなのですね。

おそらくワクチン菌がいなければタイワンアリタケの感染力が強くなりすぎてしまい、アリさんたちが全滅してしまうに違いありません。


タイワンアリタケ……恐ろしいキノコですが、実際にアリに感染するのはごくわずかだけなのですね。


もしかするとアリさんたちがタイワンアリタケの感染で死亡する確率は、人間が交通事故に遭う確率よりも低いのではなかろうか……。


そう考えれば、不思議とタイワンアリタケもそんなに恐ろしいキノコではない気がしてきますね。

まぁもともと特定のアリにしか感染しないキノコなので、哺乳類である私たちにとってはそもそも恐ろしくもなんともないのですが……。


……哺乳類に感染するこんなキノコが発見されたら、絶対に近づきたくありませんけど!

命と食べ物の大切さを思い出せる? 名古屋の水族館の特別展にお寿司が

水族館で寿司ネタの展示……だって?

先日、国立科学博物館の特別展示に行ったという記事を書いたのですね。

 

blog.kitsune-vetulicola.net

blog.kitsune-vetulicola.net


この特別展示がどのようなものだったかはこちらの記事を見ていただくとして……。

とりあえず、あれ以来私は「特別展示」という言葉にいささか敏感になっているようです。


そのおかげで今日ヤフーニュースさんでこのような記事を見つけてしまったのですね。

news.yahoo.co.jp


曰く、愛知県名古屋市にある名古屋港水族館にて、「寿司ネタ大集合~水族館が斬る!寿司のいろいろ~」と題して現在特別展示が開催中なのですね。

そしてその内容は「寿司ネタとその水族を一緒に展示する」というものなのだそうです。


……つまり、クルマエビやマダイ、スズキといった「水族館でお馴染みであり、またお寿司屋さんでもおなじみの生き物たち」の、実物と寿司(の食品サンプル)を一緒に展示しているのですね。


………こ、これは…………

…………見に行きたいのですね。


と、言うより、名古屋港水族館でしたらお正月に名古屋に行った時に一度見に行ったことがあるのですね!

あの時は単に普通の水族館として中を見て回り、イルカショーを見て、例の如く記念メダルを買っただけだったのですが……まさかあそこが、このような展示を始めたとは……!


……う~ん……、展示は6月2日(日)までだといいますから、見に行くのでしたらその間に行くべきだとは思うのですが……。

いかんせん上野ならともかく、名古屋港までだなんてさすがにそう簡単に気軽に行ける距離ではないのですね……。


………残念です。


調理の動画とオリジナルな寿司も!

さて、問題の展示ですが、単に寿司ネタと生きている魚を一緒に並べているだけではないのですね。

当然ちゃんと丁寧に飼育員さんの熱意と遊び心が注ぎ込まれた(?)解説が書き込まれ、寿司ネタだけでなくその魚についてちゃんとよく知ってもらえるようなつくりになっているのだそうです。


また、寿司ネタは本物のお寿司を使うわけにはいかないので、地元のメーカーさんにお願いしてお寿司の食品サンプルを作ってもらい、それを展示しているのですね。


中にはなんと水族館オリジナルの創作寿司と、その制作過程を動画で解説したコーナーもあるようで、「創作寿司 完全新作!水族館寿司」なるタイトルが付いているのですね。


普通に考えるとまずお寿司にしないであろうような生き物を使い、この水族館独自で「新作」を作り上げ、実際にスタッフで食べてみたのだそうです。

……もちろんさすがにお客さんに出すわけにはいかないそうなのですが、制作過程や味の感想などが動画で詳しくまとめられているのですね。


……他のところと同じく、創作寿司の模型もあるのか知らん……。


またこの特別展示を企画した飼育展示部の岡本仁さんによると、一番おいしかったのはユムシという生き物で作った軍艦なのだそうです。


……これ、問題の水族館公式サイトのページにも動画が載っているのですね。

www.nagoyaaqua.jp


「あまりにも映像がグロいのでお見せすることができません!」

…………一体どうなったのだろうか……。


ユムシはなにやらシンプルな外見をした動物で、日本では釣り餌として普及していますが、あまり食用にはなっていないのですね。

………でも食べてみるとけっこうおいしいらしいのですね。


分類学的にはユムシ動物門」という私の知らない動物門に属しているようですが、岡本さんによるとどうやらミミズやゴカイ……つまり環形動物門」……に近い生き物なのだそうです……。


環形動物門は軟体動物門(つまり貝の仲間)とも近い系統ですから、おそらくユムシ動物門もそれらの「同盟」の中に入るのでしょう。

実際に貝のような味がするとのことなので、きっと間違いありません。


なんにせよ、お寿司の展示……こんなことまでやるとは……!

ユムシ寿司はちょっと食べてみたいのですね……!


食べ物=生き物、生き物=食べ物

それにしても、お寿司と魚を一緒に展示するだなんて、今まで誰かがやっていそうで誰もやっていなかった斬新な企画なのですね。

きっとみんな思い付いてはいても……いや、むしろやりたいと思ってはいても、何らかの事情によりできなかったものと思われます。


おそらくそこには「食べ物と生き物を同時に展示するなんて」という水族館業界のタブーのようなものがあったに違いありません。


しかし、岡本さんたち名古屋港水族館の勇気ある行動により(?)それらの「前例」は見事に打ち砕かれてしまったのですね。

おそらく今後は水族館だけでなく動物園、はたまた昆虫館や植物園までもが、今までのフラストレーションを解放し、名古屋港水族館に続けと言わんばかりに「料理+生き物」を組み合わせた展示を雨後の竹の子のごとくそこかしこで続々と開催するに違いない!!!


こ、これは……

…………水族館や動物園業界に新たなる旋風を巻き起こす大革命なのですね。

きっと十数年後には食べ物と生き物を一緒に展示するのはごく当たり前の光景になってしまうに違いありません。

 

革命の火蓋は……切られた。


でも、それはいいことだと思うのですね。


そもそも食べ物と生き物を同時に展示することにより、食べ物とはもともと生き物であるという認識を新たにし、命を大切にしようとする、というのがこの展示の狙いなのですね………たぶん。


われわれ肉を食べる動物は……いや、植物しか食べない動物であっても、基本的に生き物は他の生き物を食べることで生活しているのですね。

つまり、われわれが言う「食べ物」とは、すなわち元はといえば「生き物」なのですね。


どんな動物でも他の生き物を食べますし、またどんな動物でも他の生き物に食べられる可能性があります。

たとえ生きている間は無敵で、生態系の頂点にいる動物、いわゆる「頂点捕食者」であっても、死後は誰かに食べられるかもしれませんし、植物のコヤシになるかもしれないのですね。

また、最後はほぼ確実に微生物によって食べられ、分解されるでしょう。


……つまり、「食べ物=生き物」であり、また同時に「生き物=食べ物」でもあるのですね。


……中にはミネラル(鉱物)だけを食べて生きていられるとか、自分で栄養を作り出せるとか、そういう変わり種もいますが、この際そういうのは置いておくとして……。


……それにしても、岡本さんがおっしゃったことはちょっと衝撃的なのですね。

魚を切り身の状態でしか見たことがない子供がいる………だって!?

………そういえば、「切り身=魚」であり、魚が切り身の姿のまま海の中を泳ぎ回っていると思っている子もいる……という話も聞いたことがあるのですね。


なんにせよ、昨今は都市化によって生き物と触れ合う機会が減ったためか、「食べ物=生き物である」という実感がなかなか得られにくくなっているのだと思うのですね。


昨今コンビニやスーパーどころか個人までもが、割と手軽に食べ物を捨ててしまういわゆる「食品ロス問題」が社会問題として顕在化している背景にはそのような事情もあると思われます。


今回「寿司と魚」……つまり、「食べ物と生き物」とを結び付けて展示した名古屋港博物館の特別展示は、私たちに「食べ物とは生き物なのだ」という当たり前なのに忘れてしまいがちな事実を改めて思い起こさせてくれるのですね。

そういった意味では、おそらくこの展示は時代が望んでいたものであり、今の時代に合っている……いや、今の時代ならではのもの………むしろ、今の時代に無くてはならない類のものなのではないでしょうか。


私の妄想通りに(?)これからもこういう展示が各地で増えていってくれれば、みんなが大切なことを思い出してくれ、また食品ロスの問題も少しは無くなっていくのではないか……と思うのですね。


ともあれ、さすがに「食べ物を扱っている展示」です。

水族館館内のレストラン(そう、館内レストランがあるのでした!)では、今回の展示とコラボしたメニューも出されているようで、これまた非常に興味をそそるものなのですね。


私は多分、行くことができないと思いますが、近所にお住いの方や、遠距離でも平気だという方は是非行ってみるとよいのではないでしょうか。


……などと書くとまたしても宣伝のようになってしまいますね。

中国で発見!「カンブリアンモンスター」の新たなる「バージョン」!

清江生物相

な……なにやら、中国でとてつもない発見があったようです。

www.afpbb.com


中国湖北省宜昌市長陽トゥチャ族自治県で、5億1800万年前……カンブリア紀の前の方……の動物の化石の産地が見つかったのだそうです。

産地は「清江(チンジャン)生物相」と名付けられ、見つかったのは主に軟体動物の化石だったそうで、発見した西北大学古代生命・環境革新研究グループにより間もなく論文がアメリ科学雑誌「サイエンス」に発表されるのですね。


……こ、こ、こ、こ………これは……!!!!


大発見なのですね!!!


このニュースを見つけた時、私は例のノートルダム大聖堂の火災の記事を書いていたのですが、あまりの衝撃だったので、不謹慎ながらしばらくの間ノートルダム大聖堂の火災の件が頭から吹っ飛んでしまいそうになったのですね。


私に今やっていることを一瞬でも忘れさせてしまうとは……相当なインパクトです。


なんにせよ、既に中国はカンブリア紀の化石が見つかることで知られているのですね。

今の今までは雲南省にある「澄江(チェンジャン)動物群」が有名であり、カナダの「バージェス動物群」とタッグを組んでカンブリア紀の化石産地の二大巨頭を成しています。

 

我らがベッツリコーラもこの澄江動物群の出身なのですね。


そしてそれに加えて新発見の「清江生物相」でも既に化石標本が4351個発見されており、109の「属」が見つかっているのですね。


「属」というのは生物のそれぞれの種類である「種」の1つ上の分類で、「キツネ」「タヌキ」「イヌ」「ネコ」などの「割と大雑把な分類」ですね。

この下に「ホッキョクギツネ」「アカギツネ」「スイフトギツネ」などの「種」があります。


新種の生き物が見つかった場合、発見した人が世界共通の名前である「学名」をつけます。

ですが学名には「属名+種小名(種の名前)」で命名する「二名法」という命名規則がありますから、なんだかよくわからない分類不明な新種の動物であっても、とりあえず「種小名」だけでなく「属名」も決めないといけないのですね。


もっとも恐竜の名前……ティラノサウルスだのヴェロキラプトルだの……を見てもわかるように、古生物の世界では一般に知れ渡るのはあくまで「属名」であり、種小名まで知っているのはせいぜい学者かマニアくらいなものなので、もしかすると大雑把な「属」の方が細かい「種」よりも重要視されているのかもしれませんが。


なんにせよ、この「清江生物相」で発見された属のうち、その半分以上が記録の無い新しい属……つまり、「新種」……いや、「新属」だったのですね。

そして清江生物相における動物の……少なくとも、軟体動物の種類の多さは、これまでに発見された全てのカンブリア紀の軟体動物の化石産地をしのぐと言われているようです。


……どうやら「清江生物相」は「澄江動物群」に勝るとも劣らない大規模な化石産地なのですね。


こ、これは……

………第二の「澄江動物群」の誕生、なのですね。


そういえば名前も「チンジャン」と「チェンジャン」で似ているのですね。清江の名付け親の方々はきっと澄江を意識したに違いありません。


澄江はローマ字表記こそ「Chengjiang」ですが、これはあくまで中国語のピンイン表記なので、実際の発音では「チョンジアン」に近い音なのだというツッコミはこの際置いておくとして……。

 

そもそもカンブリア紀とは

……なんだかいきなりマニアックな領域にみなさんを引きずり込んでしまったのですね。

ここまでお読みいただいたとしても、きっと何の事だかチンプンカンプンだという方もいらっしゃるかもしれません。

そもそもカンブリア紀ってどういう時代でしたっけ。


とりあえず、記事をわかりやすくするために(?)ここではそれを書いていくのですね。


まず、地質学的な時代区分は大きく分けて古生代」「中生代」「新生代」の3つの「代」に分かれます。

それぞれの「代」の中にはいくつかの「紀」があり、「新生代-第四紀」のように表記します。(実際は「-」は入れませんが……ここではわかりやすくするため入れることにします。)


ちなみに「新生代-第四紀」というのはいま私たちが生きている時代です。


新生代」の前の「中生代」というのはいわゆる「恐竜時代」のことで、「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」の3つの「紀」から成ります。


そのさらに前の「古生代」は、さらに6つの「紀」に分けることができます。


その中で一番最初の「紀」が、今からおよそ5億4200万年前から4億8830万年前までの間の時代である「カンブリア紀」です。


「カンブリア Cambria」というのはイギリスのウェールズ地方のラテン語名なのですね。

初めてこの時代の岩石が出土したのがウェールズ地方であったため、このような名前になったようです。


なんにせよカンブリア紀というのは文字通り古生代の土台となっているひじょうに特殊な時代でして、現在の生き物たちのいしずえを築いたと言っても言い過ぎではないのですね。


なぜなら、このカンブリア紀より昔、生き物たちはまだ単細胞か、もしくは多細胞であったとしても海の中でゆらゆらとあまり動かずに生きているだけの海綿動物のような生活をしていたのですね。

もちろん陸には動物どころか植物すらいませんでした。


それがどういうわけかカンブリア紀になると爆発的に進化し、自力で動き回るようになり、他の生き物を食べ、捕食者から逃げ、戦う……という、現在に繋がる「動物」としての生き方が確率されたのですね。


変化に費やした時間はおよそ1000万年。


かなり長い時間に見えますが、生物の進化という観点から考えればあっという間なのですね。


生き物たちのこの急激な進化はカンブリア爆発と呼ばれ、我々の生きる後世に語り継がれています。


また、この時代の動物たちはそのほとんどが、現在の常識から考えるとトンデモだとしか言いようのない奇妙奇天烈な姿をしているため、「カンブリアンモンスター」などと呼ばれ、学者やマニアの間で親しまれているのですね。

もちろんまだ陸に上がった生き物はいませんでしたから、全てが海の動物たちです。


代表的なのが「カンブリア紀のアイドル」とも呼ばれる(?)原始的な節足動物アノマロカリスカナデンシス」で、カンブリア紀と聞いてまず最初に思い浮かべられるのは大抵この動物なのですね。

アイドルとか言いつつ彼らは当時としては規格外の大きさの肉食動物であり、生態系の頂点……文字通りカンブリア紀最強の生物なのですが……。


……ちなみに問題のAFP通信さんの記事の一番最初の写真は「レアンコイリア」という節足動物です。

体の前についた特徴的な付属肢から、当初はアノマロカリスとの関係が噂されていたようですが、最近では単に形が似ているだけで別物だという説が有力です。


写真は見る限りでは澄江で発見されたレアンコイリア、「Leanchoilia illecebrosa」に似ているようです。頭が……丸いのですね。カナダ産の「Leanchoilia superlata」の頭部はカラが後ろに反っているのですね。


でも発見場所が澄江ではなく清江なので、もしかしたら新種なのかも……?


なんにせよ、この時代には既に「節足動物」や「脊索動物」をはじめ、「軟体動物」「鰓曳動物」「環形動物」「腕足動物」など、現在も現役で存在している動物の「門」の殆ど全てが誕生していたのですね。


つまり、今生きている動物の直接のご先祖様が生まれたのが、カンブリア紀なのですね。


反対にそれ以前の時代……エディアカラ紀(旧ベンド紀)……に生息していた動物たちと、現在生きている動物たちとの関連性はよくわかっていないのですね。

おそらく「門」単位で絶滅してしまったため……だと思うのですが……不思議です。


まさか全ての生物の始祖である「原始生命体」がもう一度生まれたということはないと思うので、何かしらの形で血がつながっているとは思うのですが……。


とりあえず、まとめると、カンブリア紀というのは

  • 古生代の最初の時代で、遠い昔
  • 生物が一気に多様化、「動物」という生き方が生まれた
  • 住人は奇妙奇天烈なモンスターだらけ
  • モンスターたちは今の動物のご先祖様

……というような時代なのですね。


そして中国の湖北省でこのたび、この時代の地層が発見され、モンスターたちの化石……特に軟体動物……がワンサカ見つかり、おまけにそのうち半分以上が新種だったのですね。

軟体動物というのは今でいうイカやタコやアサリやアワビやカタツムリの仲間……つまり、いわゆる「貝」のことです。


ようするに、清江生物相から新種の貝の化石がたくさん見つかったのですね。


……これは凄い発見ですね。


カナダのバージェス頁岩からバージェス動物群が見つかった時もそうでしたが、カンブリア紀に関しては定期的にこういう凄い発見があり、その度にカンブリアンモンスターに新しい仲間が加わってきたのですね。


……新しい「地方」、新しい「バージョン」で、新しい「発見」があるたびに、種類がどんどん増えていく「モンスター」……。


…………ポケモン………なのですね。


ポケットモンスター 赤緑」「ポケットモンスター 金銀」よろしく古くて有名な「カンブリアンモンスター バージェス」「カンブリアンモンスター チェンジャン」に始まる「カンブリアンモンスター」略して「カンモン」シリーズに、今回新たに「カンブリアンモンスター チンジャン」がリリースされて加わったに違いありません。

きっとその数も初代の151に始まり毎回毎回どんどん増え続け、現在では間もなく1000を超えるのではないかと噂されるほど歯止めがきかないことになっているに違いない!


ええまあ、当然カンブリアンモンスターはとうの昔に1000を超えているでしょうが……。


我が国のカンブリア地層

それにしても……、自分の国に2つもカンブリア紀の化石の産地があるだなんて、何とも羨ましいのですね。

そればかりか、澄江動物群の雲南省と、今回見つかった清江生物相の湖北省とでは割と距離が離れていますから、もしかしたら間にも3番目の産地が眠っているのかもしれません。


古生代カンブリア紀において中国は殆どが海の底でしたから、海の生き物であるカンブリアンモンスターの化石がそこかしこにうずもれていても別に不思議はないのですね。


中国……。

羨ましすぎるのですね。


ところで、先ほど「中国の澄江動物群とカナダのバージェス動物群とがカンブリア紀の化石産地の二大巨頭」と書きましたが、実はカンブリア紀の化石産地は他にもあるのですね。


私の知る限りでは他にもグリーンランドの「シリウス・パセット動物群」、アメリカ、ユタ州の「ホイーラー頁岩ラーゲルシュテッテン」、スウェーデンの「オルステン動物群」、オーストラリア、カンガルー島にある「エミュー湾頁岩ラーゲルシュテッテン」……など、世界中でカンブリア紀の地層と化石の産地が発見されています。


そしてここ日本にも、実はあるのですね。


茨城県日立市にある「茨城県北ジオパーク」というのがそれで、公式サイトもあります。

www.ibaraki-geopark.com


ここには日本で最も古い地層があり、もしかすると日本列島はじまりの地ではないか……と言われているのですね。


三葉虫などの例外もいますが、カンブリア紀の動物はまだ硬い殻や骨を獲得していないものばかりで、化石として残るためには腐敗が進みにくい、土が軟らかくて体の形がそのまま残る、腐敗する前の早い段階で全身が土に埋まってしまう、などの特別な条件をいくつか満たさなければならないのですね。


それらの条件を満たしているのが上に書いたカンブリア紀の化石の産地なわけなのですが……。


茨城県北ジオパークでも、2015年の時点でカンブリア紀の動物らしき化石が見つかっているそうなので、ここの地層もこれらの条件を満たしている可能性は高いのですね。

今後研究が進んでいけば、もしかしたら「日立動物群」が見つかったりするのかも……しれません。


また、すでにポケモンに喩えてしまっているのでお察しだとは思いますが(?)、今までもカンブリアンモンスターは、それぞれの産地ごとに少しずつ違うものが見つかっています。

つまり、「この産地でしか見つからないここ特有の生き物」というのが少なからずいるのですね。


……つまり、もし本当に「日立動物群」が見つかったとすれば、新種のカンブリアンモンスターが日本で見つかる可能性も十分あり得るということです。


……近い将来、「カンブリアンモンスター ヒタチ」が新しくリリースされ、日本固有の新種がいくつも発見されて「ぜんこくずかん」ならぬ「ぜんせかいずかん」のページがまた新たに増え、カンブリアンモンスター全体、ひいては地質学、系統発生学、進化生物学など、様々な学問において色々な発展がある……と嬉しいのですね。