きつねの備忘録
私のブログにはタイトルが【】で始まり、「~についてのメモ書き」で終わる「メモ書きシリーズ」とでも呼べそうな記事がいくつかあるのですね。
これは私がいろいろ気になって調べたり整理したりしたことをメモがてら書いているものなのですね。
ですが、内容は我ながらどれもこれも一体誰がこんなの読みたがるんだとツッコミを入れたくなるようなマニアックなものばかりなのですね……。
おそらく誰も喜ばないと思うので、そろそろみんなが喜びそうなもっと一般的なことを書きたいのですが……。
とりあえず、今日は生き物の「種」のさらに下の分類について書くのですね。
タイトルの通り「亜種」と「品種」と「変種」の違いなのですね。
……ほら、言ってるそばからもうマニアックな匂いがしてきました。
この3つ、「種の下の分類」というところは共通しているようなのですが、違いがイマイチわからないのですね。
というわけで調べてみるのですね。
いったい誰がこんな記事を読むのか見当もつかないのですが、気になったので書いておくのですね。
いちおう目次も貼っておきましょう。
種について
まず、「種」の定義を先におさらいするのですね。
私が今回気にしているのは「種」のさらに下の分類ですが、そもそも基本である(?)「種」がわかっていなければこれについて調べるのは難しいと思うのですね。
と、いうわけで、まずは「種」です。
「種」というのは生き物のそれぞれの種類を表す分類単位で、系統樹のもっとも末端の枝に当たる部分なのですね。
キツネにたとえるなら「ホッキョクギツネ」とか「アカギツネ」とか「フェネックギツネ」というのが「種」なのですね。
……ちなみに単に「キツネ」というのは「属」といって、「種」のさらに上の分類となるのですね。
現在の分類では学名(世界共通で使われるラテン語の名前)は「属の名前+種の名前」で表記される、いわゆる「二名法」というスタイルをとっているのですね。
キツネ属全般はラテン語でそのまんまキツネを表す「Vulpes」という名前で表記され、その後にそれぞれの種類の名前が付くのですね。
つまり、
ホッキョクギツネは「Vulpes lagopus」
アカギツネは「Vulpes vulpes」
フェネックギツネは「Vulpes zerda」
……なのですね。
キツネに限っては「〇〇ギツネ」という日本語の名前(和名)も「種の名前+属の名前」になっていますから、なんとなく学名に似ているのですが、他の動物の場合は必ずしもこうなっているとは限らないのですね。
たとえば「ライオン」と「ヒョウ」は和名ではそれぞれ別の名前ですが、実際は両方とも「ヒョウ属」なので、学名だとそれぞれ「Panthera leo」「Panthera pardus」となるのですね。
……「レオヒョウ」と「パルドゥスヒョウ」……なのですね。
またキタキツネも和名から連想されるような「Vulpes 〇〇」という名前なのではなく、「Vulpes vulpes」の亜種ということになっていますから、実際はもっと複雑な名前になるのですね。
……これに関しては下に書きますが、なんにせよ「種」を正確に知るためには和名を見るよりも学名を見た方が手っ取り早いのですね。
……他の分類階級に関してはこちらのメモ書きに書かれているのでよろしければどうぞ……。
実は「種」についてもこの中で触れているのですね。
ですがあまり詳しくは書いていませんでした。
犬種とかなんとか書いているくせにその「犬種」が一体ナニを表すのかについてはスルーしていたのですね。
おまけに「種」の定義が書かれていません。
一体どれほど他の個体と共通していると「同じ種」になり、またどれほど違うと「違う種」ということになるのでしょうか。
とりあえず、「結婚して子供をもうけることができる」のが「同じ種」であり、それができなければ「別種」という扱いになるそうなのですが……。
……これ、厳密な定義方法は実はよくわかっていないのですね。
私が知らない……のではなくて、専門家の間でも意見が分かれているらしく、また生き物によっても種の定義方法が変わるようなのですね……。
…………考えてみれば当然なのですね。
そもそも生物というのは時間の経過(世代交代)とともに緩やかに変化していくものであり、その流れは途切れることなく川の流れのようにアナログにつながっているのですね。
つまり、ココまで変化したら別種で、ココまでなら同じ種類……という「線引き」はそもそも存在しないはずなのですね。
でも「みんな同じ種」だと便宜上よろしくないので、「これとこれは別」「これとこれは同じ」と後からとりあえず分類しているだけなのですね。
……………いけません、「種」の定義を理解しないとその以下の3つもわからないと思っていたのですが……そもそもその「種」の定義でつまづくとは……。
………とりあえず、ここはこれ以上追求しても何も出て来そうにないので、諦めて次に行くのですね。
亜種、変種、品種
先ほど「種は系統樹の末端」と書きましたが、実際には「種」のさらに先に(つまり、さらに下の分類として)「亜種」が挿入されることがあるのですね。
「亜種」というのは一言で言うと「同じ種類なんだけれども微妙に違う」ということなのですね。
先ほど例に出した「キタキツネ」は、いわゆる「普通のキツネ」である「アカギツネ」の亜種にあたり、学名は「Vulpes vulpes schrencki」というのですね。
……亜種を表す場合は二名法の「属の名前+種の名前」の最後にさらに「亜種の名前」を付けるのですね。
キタキツネはアカギツネではありますが、北海道や東北地方、樺太などのみに住むこの辺りの固有の亜種なのですね。
そして他の場所に住むアカギツネとは「微妙に違っている」のですね。一体ナニがそんなに違うんだかよくわかりませんが……。
なんにせよこの「亜種」と「種」の違いはかなり微妙らしく、別種と思われていた生き物がその後同じ種類の亜種であったり、逆に同種の亜種だと思われていたものが全くの別種であったりということが判明することもあるようです。
……そういえば日本に住む亜種のキツネにはもう1つ、本州の「ホンドギツネ」がおり、こちらは「Vulpes vulpes japonica」と「アカギツネの本州の亜種」と考えられていますが、もしかするとアカギツネとは別の種類である可能性もあるらしいのですね。
……とりあえず、この辺になるとさすがに分類が微妙になってくるようです。
ただ一応名目上では「種の下に亜種がある」ということになっているのですね。
ここまではわかるのですが……似たようなのに「変種」だの「品種」だのがあります。
……一体何が違うのだろうか……。
亜種
とりあえず、毎度おなじみWikipediaさんに「亜種」の定義が書かれていました。
せっかくなので引用するのですね。
ええと……。
どうやら「亜種」というのは「種よりも下の分類で、なおかつ動物学で使われる名前」なのだそうです。
……つまり、動物に対しては「品種」や「変種」は使わない、ということなのですね。
ネコの品種だのウマの品種だのという言葉はよく聞きますが、あくまで正式な分類学では「種」の下には「亜種」しかないようです。
また、動物においては「亜種」のさらに下の分類として「品種」を使うことがあるようです………どっちだよ!
そして「亜種」が存在する「種」では、必ず「種小名と同じ学名の亜種」が存在しており、「原名亜種」などとよばれるのですね。
……つまり、アカギツネの場合はホンドギツネ(Vulupes vulpes japonica)やキタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)などの亜種がいるわけですが、それらの亜種とは違う、「アカギツネ」の基準となる亜種……言ってしまえば「普通のアカギツネ」というのがいるのですね。
そしてその「普通のアカギツネ」を「原名亜種」というのですね。
そして「原名亜種」のアカギツネは「Vulpes vulpes vulpes」という名前なのですね。
……「キツネギツネギツネ」……。
なんだかとってもヘンな感じのする名前なのですが、二名法に基づく命名ではこうなるのでしょう。
ただ、あくまでこれは「基準となるアカギツネの亜種」というだけの話であり、「原名亜種が進化して他の亜種が生まれた」というわけではないようです。
どうやら単に一番初めに登録された亜種が「原名亜種」になるようなのですね。
つまり、もし一番最初に登録された「アカギツネ」が「キタキツネ」だったとしたら、今頃キタキツネが「原名亜種」となっていた可能性だってあるのですね!
なんにせよ、とりあえず「動物の種の下の分類が亜種」と覚えておけば間違いは無さそうです。
変種
さて……、動物の「種の下の分類」を「亜種」ということはわかりました。
Wikipediaには同じく「変種」のページもあるのですね。
ここは無精を承知でリンクを貼ってしまいましょう。
上にも書きましたが……これによるとどうやら「植物の種の下の分類」を「変種」というようです。
………つまり、「植物版亜種」が「変種」なのですね。
「亜種」に同じく「種」との境目が結構曖昧で、どこまで違えば別種になり、またどこまでの違いなら同種の変種扱いになるのか、結構議論が分かれているようです。
とりあえず、「植物の種の下の分類が変種」と覚えておけば問題は無さそうなのですね。
品種
さて……お次は最後、品種なのですね。
名前に「品」という字が付いているところからして、なんとなくこれは人為的に交配させてつくられた「種の下の分類」という感じがするのですね。
つまり、「人が作った亜種または変種」というところでしょうか。
……でも「国際藻類・菌類・植物命名規約」によって定められた物なのだそうなので……学術的には藻類、菌類、植物に対してしか使わないということなのかも……。
また動物に対して使うこともありますが、それはあくまでも「一般では」ということのようです。
つまり、正式な学術の世界では動物の種の下にあるのはあくまで「亜種」であり、「品種」は使われないのですね。
………なんだかこれも動物か植物化によって定義がちがう気がするのですね……。
なんにせよ、たとえばイヌの場合、チワワもゴールデンレトリバーもみんな学術的にはオオカミ(Canis lupus)の亜種であるイエイヌ(Canis lupus familiaris)であり、「種」も「亜種」もまったく同じ生き物なのですね。
それでも違いがあるのはおそらく「亜種」のさらに下に「品種」というものがあるからだと思うのですが、それはあくまで一般社会での話で、学術的にはどれもこれも同じ「Canis lupus familiaris」という動物なのですね。
…………なんだか不思議なのですね……。
あれだけいろいろ変わっているのにみんな同じ亜種で、さらに種はオオカミと同じなのですね。
結局どういうことなのか
まとめると……、それぞれの違いはこういうことなのですね。
亜種
動物に対して使う、学術的な「種」の下の分類の呼び方。
植物における「変種」と同じもの。
変種
植物に対して使う、学術的な「種」の下の分類の呼び方。
動物における「亜種」と同じもの。
品種
植物に対して使う、学術的な「種」の下の分類の呼び方で、基本的には「変種」と同じもの。
ただしこの語が意味する範囲は「変種」よりも広く、より広い意味では「動物の亜種のさらに下の分類」を指すこともある。
また、品種改良などで「人為的に生み出されたもの」というニュアンスが強い。
……ということになるのですね。たぶん。
また全てに対して言えるのは、亜種・変種・品種が違ったとしても「種」は同じであるため交雑は可能だということなのですね。
つまりオオカミとイヌが結婚してもちゃんと子供が生まれるのですね。
ライオン(Panthera leo)とトラ(Panthera tigris)のように種が違っても子供が生まれる場合はありますが、その場合生まれてきた子供に生殖能力は無いので、それ以上世代を重ねることはできないのですね。
……オオカミとイヌの子供はちゃんと次の子孫を残せるので……この辺がライオン・トラカップルとは違うのですね。
なんにせよ種、亜種、変種、品種……。
改めて分類学の奥深さを感じさせるワードなのですね……。
私がこのブログで扱っているのは今のところ動物だけなので……とりあえず「亜種」を覚えておけば問題は無さそうです。