新種の「ライオン」の化石
昨日ちょうど絶滅した古生物をよみがえらせるというまるでジュラシックパークのような技術について書いたばかりですが……。
このたびなにやらまたしても新種の古代生物が見つかったようです。
こちらはAFP通信さんの記事なのですね。
それによると、今月19日付で「古脊椎動物ジャーナル」という学会誌に論文が投稿されたようで、その内容はなんとアフリカのケニアで2300万年前の新種の肉食動物の化石が見つかったというのですね。
この動物、「超大型ライオン」などと呼ばれているらしく、スワヒリ語で「Simbakubwa kutokaafrik(アフリカの大きなライオン)」という名前が与えれたのだそうです。
………これ、学名でしょうか……ぽいのですが。
「スワヒリ語で名づけられた」とありますが、学名だとしたら「スワヒリ語由来のラテン語」扱いになるのですね。
学名は一応ラテン語で命名するという決まりがありますが、実際はギリシア語に始まり英語やドイツ語、果ては中国語や日本語まで、いろいろな言語に由来する名前が付けられたりします。
そういう場合は「〇〇語由来のラテン語」という扱いになるので、おそらく今回もそのパターンなのでしょう。
なんにせよ、この巨大ライオン、一説にはどうやらホッキョクグマよりも大きかったのではないかと言われているようです。
……見つかったのはごく一部の歯や骨だけであり、全身骨格ではないらしいのですが……きっと大きかったのでしょう。
……たぶん……。
古代ライオン
さて、巨大ライオン……既に復元図まで描かれているのですね。
……きっと発見された時期そのものはもうずいぶん昔で、今の今までの間に論文を執筆するのと並行して絵師さんが一生懸命復元図を描いていたに違いありません。
毎回「体の一部しか見つかっていない動物」の復元図を見る度に思うのですが、一体どうやって一部だけで全身の復元図を描いているのだろうか……。
………この際そういうことは気にしないでおきましょう。
きっとイロイロな科学的見地から判断した結果、こんな風な姿だということがわかったのでしょう。
ネコ科動物は既に現存種だけでもかなりの数が知られていますし、また同じネコ科なら体のつくりも大体似たようなものですから、そこからある程度類推できるものと思われます。
なんにせよかなり精巧なイラストなのですね。きっとこれを描いた絵師さんならびに研究チームの皆さんがものすごく頑張って仕上げたに違いありません。
ですが……こ、これは………そもそも「ライオン」なのだろうか……。
いちおう巨大ライオンと呼ばれており、また学名にもライオンと入ってしまっているのですが、復元図を見る限りではイヌ科動物みたいな顔なのですね。
……でも尻尾や体形はしっかりネコ科っぽいですから、イヌ科とネコ科のちょうど中間くらいの古いスタイルの食肉目の動物という感じなのですね。
……復元図を描いた人がそういうイメージで描いただけかもしれませんが……。
知っての通り、古生物の復元図というのは同じ生物でも描く人によって大分イメージが変わるのですね。
それは恐竜図鑑などを見比べてみるとわかることなのですね。
きっと昔恐竜好きな少年少女だった多くの人たちが、いつも愛用している慣れ親しんだ恐竜図鑑でお気に入りの恐竜の名前と姿を覚え、その後別の図鑑で同じ恐竜を見てみると全く違った姿に描かれていたため、自分が見慣れた姿とのギャップに思わず「こんなの〇〇サウルスじゃない!!」と叫んでしまった苦い思い出があるに違いありません。
ですが、こういう怪現象は客観的かつ物理的な記録が一部のホネやカラしか残っておらず、その復元は多分にその時代の「新発見」の影響を大きく受け、また復元する人の意図と願望と趣味とこだわりと妄想が入り込む余地がある、古生物の世界では割とよくあることなのですね。
かく言う私も数多の古生物の実に多様な復元図を見ており、その度に「〇〇よ、君の本当の姿は一体どれなんだ」と思わずにはいられないのですね。
………大分話が脱線してしったのですね。
なんにせよこの古代ライオン……じゃない、巨大ライオン……この際もうどっちでもいいか……は、見つかった年代が年代だけに、哺乳類の進化を研究するうえでとても重要な存在となりそうなのですね。
………実はきつね、「内部構造」はともかく、今のところ哺乳類の「進化」についてはあんまり詳しくないので、一体ナニがそんなに重要なのか、いまいちよくわからないのですね。
とりあえず、この巨大ライオンが生息していた時期は丁度哺乳類が進化し、多様なかたちになっていく時期だったらしいです……?
……きっと哺乳類のカンブリア紀、なのですね。
なんにせよ、ご存知の通りイヌ科動物とネコ科動物は両方とも同じ「食肉目(ネコ目)」というグループに属しており、「ミアキス」と呼ばれる動物を始祖としているのですね。
きっとこのライオンは見た目といい時代といい(?)ミアキスがイヌ科とネコ科に分かれる途上の位置に属しているに違いありません。
……この辺あまり詳しくはないので、敢えて断定することは控えますが……。
現生のライオン
さて……。
「古代のライオン」を見ると、どうしても今現在生きているライオンを引き合いに出さずにはいられなくなってしまうのですね。
ライオンというのはそもそも
動物界-脊索動物門-哺乳綱-真獣亜綱-ローラシア獣上目-食肉目(ネコ目)-ネコ科-ヒョウ属
に属する肉食動物で、学名を「Panthera leo」というのですね。
ヒョウ属に属していることからもわかりますが、つまるところライオンはライオンという動物なのではなく、あくまで「ヒョウの一種」なのですね。
ちなみにこのヒョウ属……有名なヒョウ以外にも、ジャガーやトラなども属しています。
一般的には「キツネ属」のことを「キツネ」、「イヌ属」のことを「イヌ」と呼びますから、彼らは例にもれず「ヒョウ」と呼ぶことができそうなのですね。
……ちなみにチーターは「チーター属」、ピューマは「ピューマ属」、ネコは「ネコ属」です。
なんにせよ、この復元図はどこからどう見ても……ヒョウ属には見えないのですね。
そもそも「Simbakubwa kutokaafrik」が本当に学名だとすると、前半部分は属名になるはずですから、本種は「Simbakubwa属」という独立した属だということになってしまうのですね。
きっと巨大ライオンはライオンと言いつつ別の生き物なのでしょう。
このような事例は実は他にもあり、この辺り(ネコ科)では「サーベルタイガー」がわりとよく知られているのですね。
サーベルタイガーとは、そういう生き物がいるのではありませんし、ましてや「トラの一種」でもありません。
実際は「ネコ科-マカイロドゥス亜科」に属する動物の総称なのですね。
このマカイロドゥス亜科にはさらに「メタイルルス連」「スミロドン連」「ホモテリウム連」の3つの連が属しており、それぞれの連の下にはさらにいくつもの属があります。
……要するに、一口にサーベルタイガーと言っても実は何属もいるのですね。
うち代表的なもの……われわれが「サーベルタイガー」と言ってまず初めに思い描くものは「スミロドン属」なのですね。
また一口にスミロドン属と言っても、その下はさらに数種に分かれるのですね……。
………なんにせよ、サーベルタイガーとは、タイガーと言いつつトラではない別のネコ科動物なのですね。一体何種類いるんだかはよくわかりませんが。
そもそもサーベルタイガーは「亜科」という大きな分類群であり、トラは「ヒョウ属-ティグリス種」という単一の「種」ですから、分類階級が根本的に違うのですね。
……つまり、この2つを同時並列的に並べて扱うこと自体がそもそもよろしくないかと……。
哺乳類進化について調べてから読んだ方がいいかもしれない……
……なんだかよくわからない記事になってしまったのですね。
とりあえず、このニュースはきっと哺乳類の進化についていろいろ学んでから見た方が面白いのかもしれません。
残念ながら自分の知識の無さが前面に出てしまうニュースとなってしまったのですね。
……というわけなので、ちょっと色々調べてみようと思います。
幸いなことに手元には先日大哺乳類展2に行った時に買った特製図鑑があるのですね。
これがきっと哺乳類の進化の謎についても答えを出してくれるに違いありません(?)
古生物……イロイロと奥が深いのですね。