きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

中国で発見!「カンブリアンモンスター」の新たなる「バージョン」!

清江生物相

な……なにやら、中国でとてつもない発見があったようです。

www.afpbb.com


中国湖北省宜昌市長陽トゥチャ族自治県で、5億1800万年前……カンブリア紀の前の方……の動物の化石の産地が見つかったのだそうです。

産地は「清江(チンジャン)生物相」と名付けられ、見つかったのは主に軟体動物の化石だったそうで、発見した西北大学古代生命・環境革新研究グループにより間もなく論文がアメリ科学雑誌「サイエンス」に発表されるのですね。


……こ、こ、こ、こ………これは……!!!!


大発見なのですね!!!


このニュースを見つけた時、私は例のノートルダム大聖堂の火災の記事を書いていたのですが、あまりの衝撃だったので、不謹慎ながらしばらくの間ノートルダム大聖堂の火災の件が頭から吹っ飛んでしまいそうになったのですね。


私に今やっていることを一瞬でも忘れさせてしまうとは……相当なインパクトです。


なんにせよ、既に中国はカンブリア紀の化石が見つかることで知られているのですね。

今の今までは雲南省にある「澄江(チェンジャン)動物群」が有名であり、カナダの「バージェス動物群」とタッグを組んでカンブリア紀の化石産地の二大巨頭を成しています。

 

我らがベッツリコーラもこの澄江動物群の出身なのですね。


そしてそれに加えて新発見の「清江生物相」でも既に化石標本が4351個発見されており、109の「属」が見つかっているのですね。


「属」というのは生物のそれぞれの種類である「種」の1つ上の分類で、「キツネ」「タヌキ」「イヌ」「ネコ」などの「割と大雑把な分類」ですね。

この下に「ホッキョクギツネ」「アカギツネ」「スイフトギツネ」などの「種」があります。


新種の生き物が見つかった場合、発見した人が世界共通の名前である「学名」をつけます。

ですが学名には「属名+種小名(種の名前)」で命名する「二名法」という命名規則がありますから、なんだかよくわからない分類不明な新種の動物であっても、とりあえず「種小名」だけでなく「属名」も決めないといけないのですね。


もっとも恐竜の名前……ティラノサウルスだのヴェロキラプトルだの……を見てもわかるように、古生物の世界では一般に知れ渡るのはあくまで「属名」であり、種小名まで知っているのはせいぜい学者かマニアくらいなものなので、もしかすると大雑把な「属」の方が細かい「種」よりも重要視されているのかもしれませんが。


なんにせよ、この「清江生物相」で発見された属のうち、その半分以上が記録の無い新しい属……つまり、「新種」……いや、「新属」だったのですね。

そして清江生物相における動物の……少なくとも、軟体動物の種類の多さは、これまでに発見された全てのカンブリア紀の軟体動物の化石産地をしのぐと言われているようです。


……どうやら「清江生物相」は「澄江動物群」に勝るとも劣らない大規模な化石産地なのですね。


こ、これは……

………第二の「澄江動物群」の誕生、なのですね。


そういえば名前も「チンジャン」と「チェンジャン」で似ているのですね。清江の名付け親の方々はきっと澄江を意識したに違いありません。


澄江はローマ字表記こそ「Chengjiang」ですが、これはあくまで中国語のピンイン表記なので、実際の発音では「チョンジアン」に近い音なのだというツッコミはこの際置いておくとして……。

 

そもそもカンブリア紀とは

……なんだかいきなりマニアックな領域にみなさんを引きずり込んでしまったのですね。

ここまでお読みいただいたとしても、きっと何の事だかチンプンカンプンだという方もいらっしゃるかもしれません。

そもそもカンブリア紀ってどういう時代でしたっけ。


とりあえず、記事をわかりやすくするために(?)ここではそれを書いていくのですね。


まず、地質学的な時代区分は大きく分けて古生代」「中生代」「新生代」の3つの「代」に分かれます。

それぞれの「代」の中にはいくつかの「紀」があり、「新生代-第四紀」のように表記します。(実際は「-」は入れませんが……ここではわかりやすくするため入れることにします。)


ちなみに「新生代-第四紀」というのはいま私たちが生きている時代です。


新生代」の前の「中生代」というのはいわゆる「恐竜時代」のことで、「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」の3つの「紀」から成ります。


そのさらに前の「古生代」は、さらに6つの「紀」に分けることができます。


その中で一番最初の「紀」が、今からおよそ5億4200万年前から4億8830万年前までの間の時代である「カンブリア紀」です。


「カンブリア Cambria」というのはイギリスのウェールズ地方のラテン語名なのですね。

初めてこの時代の岩石が出土したのがウェールズ地方であったため、このような名前になったようです。


なんにせよカンブリア紀というのは文字通り古生代の土台となっているひじょうに特殊な時代でして、現在の生き物たちのいしずえを築いたと言っても言い過ぎではないのですね。


なぜなら、このカンブリア紀より昔、生き物たちはまだ単細胞か、もしくは多細胞であったとしても海の中でゆらゆらとあまり動かずに生きているだけの海綿動物のような生活をしていたのですね。

もちろん陸には動物どころか植物すらいませんでした。


それがどういうわけかカンブリア紀になると爆発的に進化し、自力で動き回るようになり、他の生き物を食べ、捕食者から逃げ、戦う……という、現在に繋がる「動物」としての生き方が確率されたのですね。


変化に費やした時間はおよそ1000万年。


かなり長い時間に見えますが、生物の進化という観点から考えればあっという間なのですね。


生き物たちのこの急激な進化はカンブリア爆発と呼ばれ、我々の生きる後世に語り継がれています。


また、この時代の動物たちはそのほとんどが、現在の常識から考えるとトンデモだとしか言いようのない奇妙奇天烈な姿をしているため、「カンブリアンモンスター」などと呼ばれ、学者やマニアの間で親しまれているのですね。

もちろんまだ陸に上がった生き物はいませんでしたから、全てが海の動物たちです。


代表的なのが「カンブリア紀のアイドル」とも呼ばれる(?)原始的な節足動物アノマロカリスカナデンシス」で、カンブリア紀と聞いてまず最初に思い浮かべられるのは大抵この動物なのですね。

アイドルとか言いつつ彼らは当時としては規格外の大きさの肉食動物であり、生態系の頂点……文字通りカンブリア紀最強の生物なのですが……。


……ちなみに問題のAFP通信さんの記事の一番最初の写真は「レアンコイリア」という節足動物です。

体の前についた特徴的な付属肢から、当初はアノマロカリスとの関係が噂されていたようですが、最近では単に形が似ているだけで別物だという説が有力です。


写真は見る限りでは澄江で発見されたレアンコイリア、「Leanchoilia illecebrosa」に似ているようです。頭が……丸いのですね。カナダ産の「Leanchoilia superlata」の頭部はカラが後ろに反っているのですね。


でも発見場所が澄江ではなく清江なので、もしかしたら新種なのかも……?


なんにせよ、この時代には既に「節足動物」や「脊索動物」をはじめ、「軟体動物」「鰓曳動物」「環形動物」「腕足動物」など、現在も現役で存在している動物の「門」の殆ど全てが誕生していたのですね。


つまり、今生きている動物の直接のご先祖様が生まれたのが、カンブリア紀なのですね。


反対にそれ以前の時代……エディアカラ紀(旧ベンド紀)……に生息していた動物たちと、現在生きている動物たちとの関連性はよくわかっていないのですね。

おそらく「門」単位で絶滅してしまったため……だと思うのですが……不思議です。


まさか全ての生物の始祖である「原始生命体」がもう一度生まれたということはないと思うので、何かしらの形で血がつながっているとは思うのですが……。


とりあえず、まとめると、カンブリア紀というのは

  • 古生代の最初の時代で、遠い昔
  • 生物が一気に多様化、「動物」という生き方が生まれた
  • 住人は奇妙奇天烈なモンスターだらけ
  • モンスターたちは今の動物のご先祖様

……というような時代なのですね。


そして中国の湖北省でこのたび、この時代の地層が発見され、モンスターたちの化石……特に軟体動物……がワンサカ見つかり、おまけにそのうち半分以上が新種だったのですね。

軟体動物というのは今でいうイカやタコやアサリやアワビやカタツムリの仲間……つまり、いわゆる「貝」のことです。


ようするに、清江生物相から新種の貝の化石がたくさん見つかったのですね。


……これは凄い発見ですね。


カナダのバージェス頁岩からバージェス動物群が見つかった時もそうでしたが、カンブリア紀に関しては定期的にこういう凄い発見があり、その度にカンブリアンモンスターに新しい仲間が加わってきたのですね。


……新しい「地方」、新しい「バージョン」で、新しい「発見」があるたびに、種類がどんどん増えていく「モンスター」……。


…………ポケモン………なのですね。


ポケットモンスター 赤緑」「ポケットモンスター 金銀」よろしく古くて有名な「カンブリアンモンスター バージェス」「カンブリアンモンスター チェンジャン」に始まる「カンブリアンモンスター」略して「カンモン」シリーズに、今回新たに「カンブリアンモンスター チンジャン」がリリースされて加わったに違いありません。

きっとその数も初代の151に始まり毎回毎回どんどん増え続け、現在では間もなく1000を超えるのではないかと噂されるほど歯止めがきかないことになっているに違いない!


ええまあ、当然カンブリアンモンスターはとうの昔に1000を超えているでしょうが……。


我が国のカンブリア地層

それにしても……、自分の国に2つもカンブリア紀の化石の産地があるだなんて、何とも羨ましいのですね。

そればかりか、澄江動物群の雲南省と、今回見つかった清江生物相の湖北省とでは割と距離が離れていますから、もしかしたら間にも3番目の産地が眠っているのかもしれません。


古生代カンブリア紀において中国は殆どが海の底でしたから、海の生き物であるカンブリアンモンスターの化石がそこかしこにうずもれていても別に不思議はないのですね。


中国……。

羨ましすぎるのですね。


ところで、先ほど「中国の澄江動物群とカナダのバージェス動物群とがカンブリア紀の化石産地の二大巨頭」と書きましたが、実はカンブリア紀の化石産地は他にもあるのですね。


私の知る限りでは他にもグリーンランドの「シリウス・パセット動物群」、アメリカ、ユタ州の「ホイーラー頁岩ラーゲルシュテッテン」、スウェーデンの「オルステン動物群」、オーストラリア、カンガルー島にある「エミュー湾頁岩ラーゲルシュテッテン」……など、世界中でカンブリア紀の地層と化石の産地が発見されています。


そしてここ日本にも、実はあるのですね。


茨城県日立市にある「茨城県北ジオパーク」というのがそれで、公式サイトもあります。

www.ibaraki-geopark.com


ここには日本で最も古い地層があり、もしかすると日本列島はじまりの地ではないか……と言われているのですね。


三葉虫などの例外もいますが、カンブリア紀の動物はまだ硬い殻や骨を獲得していないものばかりで、化石として残るためには腐敗が進みにくい、土が軟らかくて体の形がそのまま残る、腐敗する前の早い段階で全身が土に埋まってしまう、などの特別な条件をいくつか満たさなければならないのですね。


それらの条件を満たしているのが上に書いたカンブリア紀の化石の産地なわけなのですが……。


茨城県北ジオパークでも、2015年の時点でカンブリア紀の動物らしき化石が見つかっているそうなので、ここの地層もこれらの条件を満たしている可能性は高いのですね。

今後研究が進んでいけば、もしかしたら「日立動物群」が見つかったりするのかも……しれません。


また、すでにポケモンに喩えてしまっているのでお察しだとは思いますが(?)、今までもカンブリアンモンスターは、それぞれの産地ごとに少しずつ違うものが見つかっています。

つまり、「この産地でしか見つからないここ特有の生き物」というのが少なからずいるのですね。


……つまり、もし本当に「日立動物群」が見つかったとすれば、新種のカンブリアンモンスターが日本で見つかる可能性も十分あり得るということです。


……近い将来、「カンブリアンモンスター ヒタチ」が新しくリリースされ、日本固有の新種がいくつも発見されて「ぜんこくずかん」ならぬ「ぜんせかいずかん」のページがまた新たに増え、カンブリアンモンスター全体、ひいては地質学、系統発生学、進化生物学など、様々な学問において色々な発展がある……と嬉しいのですね。