ダイバーとホホジロザメ
例の如く、AFP通信さんの記事を漁っていたのですね。
そうしたらあまりにも衝撃的な1ページがあったので、思わず目が釘付けになってしまったのですね。
なんと、ダイバーと巨大なサメが一緒に泳いでいる写真が載っているのですね。
当然思いました。
……これ、コラだろう。
ですが、内容を読んでみるとどうやら違うようです。
記事はことし1月18日のものですが、これによると1月15日のアメリカ、ハワイのオアフ島沖で、体長6メートルのホホジロザメにダイバーが遭遇したようです。
サメはダイバーたちのボートに体をこすりつけてきたようで、ダイバーの1人、オーシャン・ラムジーさん(Ocean Ramsey……本名なのかな?)によると、「単にどこかに体をこすりつけたかっただけ」なのだそうです。
ラムジーさん曰くサメは「美しく穏やかなメス」なのだそうで、年齢は少なくとも50歳、もしかすると妊娠しているかもしれないのだとか。
また、このサメは以前メキシコのグアダルーペ島の沖で見つかり、ドキュメンタリー番組で取り上げられたという伝説の巨大ザメ、「ディープブルー」なのではないか……と言われているようです。
なんだかすごい光景ですが……これ……。
実は頭の片隅で覚えていたのですね。
ことしの早い段階で、確かに「サメとダイバーが泳いだ」、みたいなニュースがあったのですね。
その時は何気なくスルーしていたのですが……こういうことだったのか……。
さらにこちらには動画もあります。1月20日の記事ですが……これにより私の中の「コラ疑惑」は完全に打ち砕かれてしまったのですね。
……本当に泳いでる!
なんでだろう……どういうわけか宇宙戦艦ヤマトの冒頭の女性コーラスのBGMが勝手に頭の中で再生されてしまうのですね……。
……どこか共通するものがあるのでしょうか……。
しかも……動画の途中でダイバーさんはなにやら自分から手を伸ばし、サメに触ろうとしているのですね。
だ、大丈夫なのだろうか……。
「※良い子は絶対に真似しないように」と画面のどこかで出すべきだったのではないか知らん。
ですがサメは特に怒るでも嫌がるでもなく、穏やかに気にせずそのまま泳ぎ続けるのですね……。
またどういうわけかサメと一緒にイルカが2頭映っていますが、イルカもサメも特にお互いを気にしていないようです。
………大丈夫なのだろうか……。
などとダイバーさんやイルカたちの身を案じてしまうのですね。
……いや、それは私の偏見なのかもしれません。
ホホジロザメは映画などで獰猛なサメとして描かれ、また実際サメによる死傷者も出ていますから、私たちは無意識のうちにホホジロザメは怖いものと思い込んでしまっているのかもしれません。
おそらくメディアや周囲の人々の偏見により「虫=怖いもの」と刷り込まれてしまう昨今の若者の虫嫌い増加と似たような現象が起こっているのだと思われます。
ですが、テレビや映画などで見たことがあっても、実際のサメに出遭う機会は稀ですし、そもそも私たちは本当にサメのことを知っているのだろうか……。
もしかすると、「ホホジロザメ=凶暴」という認識が間違っているのではないだろうか……。
むしろ、もしかしたらこのサメと同じように、大体のホホジロザメは実は大人しい性格だったりするのではないか知らん。
……自身の「常識」に対して疑いを持ったところで、それを確信に変えるために情報を集めることにしましょう。
と!いうわけなので……。
今日はホホジロザメについて調べてみるのですね。
ホホジロザメ
そもそもホホジロザメは……
動物界-脊索動物門-脊椎動物亜門-軟骨魚綱-板鰓亜綱-ネズミザメ目-ネズミザメ科-ホホジロザメ属
に属する魚で、漢字表記は「頬白鮫」、学名は「Carcharodon carcharias」というのですね。
ただ1種で「ホホジロザメ属」を構成し、別名「白い死神」なのだそうです。
……なんだかこの時点で凶悪な香りがプンプンしてきました……。
また和名の表記に関しては「ホホジロザメ」と「ホオジロザメ」の2つがありますが、どうやら「ホホ」の方が標準和名らしいので、この記事ではこちらで呼ぶのですね。
軟骨魚であるためか骨格はかなりシンプルにできており、硬骨魚の末えいである我々からすると「本当に同じ脊椎動物なのか」と思ってしまうほど、その構造はかけ離れています。
……あれ、脊椎動物って何だっけ……。
なんにせよ、問題なのは「性格」なのですね。
ホホジロザメは実は「思っていたよりも大人しいのではないか」というのがこの調べものの趣旨でした。
色々調べた結果、肝心の性格は……「神経質」。
……なのだそうです。
……ちっとも狂暴じゃないのですね。
サメが人を襲う理由と死亡率
また人喰いザメのイメージが強いホホジロザメですが、自ら人間を好んで襲うことはないのですね。
人がサメに襲われて亡くなる例も確かにありますが、年間10件程度だと言われていますし、サメに襲われる確率は一説には「雷に打たれて死ぬ確率より低い」のだそうです。
参考までに私が見つけた各死亡率のデータを挙げてみるのですね。
以下、「1年間に〇〇で死亡する確率」のデータなのですね。
自動車事故 1/90
殺人事件 1/185
火事 1/250
銃による事故 1/2500
溺死 1/9000
洪水 1/27000
航空機事故 1/30000
竜巻 1/60000
隕石(世界) 1/75000
地震 1/130000
落雷 1/135000
隕石(米国内) 1/1600000
食中毒(ボツリヌス菌) 1/3000000
サメ 1/8000000
「パワーボール宝くじ」の当選確率 1/195249054
こちらに元データがあります……英語ですが。
http://www.tulane.edu/~sanelson/Natural_Disasters/impacts.htm
サムネが表示されないや……。
アメリカのテューレーン大学の資料なのだそうです。そのまんま多い順にランキングになっています。
下の方に上と同じ内容の表があります。
……あくまで「アメリカ」でのデータなので、一部日本では数値を変えた方がいいんじゃないかと言いたくなるようなものや、むしろこんなのありえないというようなものもありますが……銃って……。
ダントツ1位は案の定「自動車事故」なのですね……。90分の1だなんて、90年生きていれば1回は死亡事故に遭遇する可能性があるということなのですね。
また「パワーボール宝くじ」というのはアメリカで人気の宝くじなのですね。
なんとサメに襲われて亡くなる確率は、この宝くじに当選するのと並んで低いのですね。
……落雷と隕石の前後関係についてはいろいろ諸説があるようですが、なんにせよサメに襲われて亡くなる確率というのはこうも低いものなのですね。
また、サメは本来人間を「食べ物」として認識していないのですね。
……海の動物と陸の動物ですから、そもそも住んでいる場所が違うため、そのような認識が起こらないものと思われます。
ではサメに襲われる事故は一体どうして起こるのかというと、どうにもサメが人間を食べ物である他の動物と間違えてしまうことが原因のようですね。
サメはあまり目が良くないため、サーフボードの上でパドリングする人や、全身真っ黒のウエットスーツを着た人を見るとどうやらウミガメやアザラシと見間違えてしまうようです。
また怪我をしていたり食べ物を持っていたりすると匂いにつられて来てしまうこともあるのだとか……。
ただ、まだ完全に人を襲う理由が解明されたわけでもないようで、今のところサメに襲われるのを避ける最も良い方法は、最初からサメに近づかないようにすることなのですね。
………そのまんまじゃん。
ディープブルーが教えてくれること
そういえば気になっていたのですね。
ディープブルーとは一体どのようなサメだったのでしょう。
調べてみると、ナショジオさんのサイトに記事があったのですね。映像もあります。
2015年にメキシコのグアダルーペ島の沖で見つかったメスのサメで、全長6メートル、年齢は50歳を超えていたのですね。
……そのまんま今回のサメと同じなのですね。
50歳まで生きられるサメは結構少ないそうなので……もう本人だということにしておきましょう……。
実際はタグを付けて観測していたそうなのですが、今回のサメには残っていなかったのだろうか……。
なんにせよディープブルー、今回に同じく妊娠しており、また今回に同じくダイバーさんたちと一緒に泳いだのだそうです。この時ダイバーさんたちはケージに入っていたようですが……。
……全然怖くありませんね、ホホジロザメ……。
実際メキシコで海洋生物の保護活動を行う非営利団体の代表の生物学者マウリシオ・オヨス・パディーヤさんは、ディープブルーのこの映像が、サメについての誤解を解くのに役に立つと考えていらっしゃるのですね。
……私にも誤解があったのですね。ホホジロザメは全然「人喰いザメ」ではありませんでした。
もうこの記事を書いている時点で大分考え方が変わってしまったのですね……。
上にリンクを貼った「虫嫌いの記事」でも書きましたが、やはりむやみやたらと恐れずに相手のことを理解しようとすることが大事なのですね。
これは相手が虫だろうがサメだろうが人だろうがお化けだろうが、おそらく……いや、間違いなく、共通することなのですね。
海の中をおとなしくのんびりと優雅に泳ぐ新旧の(?)ディープブルーを見ていると、それを実感するのですね。
ただ、あくまで「普通は人を襲わない」サメであっても、何らかの拍子に機嫌を損ねてカブリとやられる可能性は否定できないので、このようにサメと一緒に泳ぐのはやはり「※良い子はできるだけ真似をしないように」と注意書きを付けた上で行うのが良いのではないか……という提案を付け加えておきましょう。