きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

感染率が10倍に?カツオとアニサキスの謎の関係

間もなくカツオが旬。寄生虫にはご用心

そろそろ初鰹の時期ですね。

カツオは春と秋に旬を迎えることで知られており、秋のものを戻り鰹、春のものを初鰹などと言うのですね。

これはカツオの春になると黒潮に乗って北上し、また秋に戻ってくるという習性に由来し戻り鰹は脂が豊富で、逆に初鰹は脂が少なくカツオ本来の味が楽しめるのですね。


さて、旬を迎える前に気を付けなければならないことがあるようです。

いつぞや世間を騒がしたあの寄生虫による食中毒の件数が増えてきたらしいのですね。


先日3月13日に厚生労働省が2018年の食中毒の報告件数を発表したそうです。

そしてその原因として最も多かったのが、魚に寄生することで知られている寄生虫アニサキスによるものだったのですね。

アニサキスの報告件数は、2014年時点では79件とかなり少なかったようですが、その後年々増加し、2017年は230件、去年2018年は468件と倍増。2018年と2014年とで比べるとなんと6倍にもなったのですね。

その結果ノロウイルスなどのウイルスや細菌を追い抜き、はれてアニサキス食中毒の原因第1位となったようです。

これはアニサキス史上初めての快挙なのですね(?)。


また魚別にみると最も多かったのがカツオで、2017年は10件しか報告されていなかったカツオのアニサキス中毒の件数が2018年には100件と10倍になっていたのですね。


………アレ、カツオにも感染するんですね……。

てっきり白身魚だけかと思っていました。


……調べてみるとどうやらイカやサバなど白身魚以外の魚介類にも感染するようです。

そうとは知らずに「カツオは大丈夫だよね♪」などと言いながらスーパーで売られていたカツオのたたきを何のためらいもなく口にしていたあの頃……考えてみると恐ろしいですね。


それにしても、どうしてたったの数年でここまで件数が増えてしまったのでしょうか。

特にカツオは10倍と凄まじい増えようですが、一体カツオに何があったのでしょう……。


……それについて知るためにはとりあえずアニサキスについて知る必要があると思われるので、とりあえずその辺りから調べてみたのですね。


アニサキス

今回の主役(?)、アニサキスとは、

動物界-線形動物門-双腺綱-回虫目-回虫上科-アニサキス科-アニサキス

に属する線形動物のことで、学名を「Anisakis」というのですね。


………そのまんまじゃん。


どうやら和名が存在せず、そのまま学名で呼ばれているようなのですね。


また「アニサキス」というのは属名なのですね。

属名というのはキツネやタヌキ、イヌやイタチといったように生き物の大まかな種類を表す名前ですから、必然的にその下にさらに細かい区分である「種」があるのですね。

アニサキスはどうやら現在6種が知られているようで、人間に感染して食中毒(アニサキス症)を引き起こすのは

Anisakis simplex(アニサキスシンプレックス
Anisakis physeteris(アニサキス・ピュセテリス)

2種類だけのようです。

………どうやら似たような症状を引き起こす「シュードテラノバ(Pseudoterranova)」という虫がいるそうなのですが、とりあえずこれはシュードテラノバ属であり、同じアニサキス科であってもアニサキス属ではないので、とりあえずここでは考えないことにしましょう。

なんにせよ我々の宿敵である扁形動物門のエキノコックスもそうですが、このテの寄生虫みんなかなりややこしいライフサイクルを持っているのですね。

アニサキスに関しても例外ではなく、上の2種類の場合はこのようになっているのですね。

  1. 海の哺乳類(最終宿主。上の2種の場合は両方ともクジラ)の糞と一緒に、卵が海中に排泄される。
  2. 卵が育ち、「第二期幼虫」が生まれる。第二期幼虫は海の中を泳ぎ回り、オキアミなどの甲殻類に「食べられる」。
  3. 甲殻類に食べられると、第二期幼虫は育って「第三期幼虫」になる。
  4. 第三期幼虫が感染している甲殻類が、魚やイカなどに食べられる。
  5. 甲殻類の体から抜け出した第三期幼虫は、甲殻類を食べたイカや魚の筋肉に移動する
  6. 食物連鎖の過程で、第三期幼虫は魚から魚へと渡り歩く
  7. 最終的に寄生していた魚がクジラに食べられると、その体内で2回脱皮を繰り返し、成虫になる


…………ややこしいよ!!!


……進化の過程で一体何がどう間違ってこんなにややこしいライフスタイルを確立するに至ったのかは謎ですが、なんにせよ肝心なのは……アニサキス複数の宿主を梯子して寄生するのですね。

そして次の宿主に感染しなければ成長できないのですね。

……食べられることで成長するというのもなんだかアレですが……。

なんにせよ、人間がうっかり食べてしまうのは魚に感染した状態の「第三期幼虫」であり、第三期幼虫は最終宿主(つまりクジラ)に食べてもらうことで、初めて成虫になることができるのですね。

ですが人間に食べられても大人になることはできず、またサカナのような中間宿主でもないため筋肉へも移動できず、結果どっちつかずの状態で消化管内に留まり、数日で死んでしまうか、もしくはそのまま排泄されてしまうのですね。


万が一食べてしまったとしても大体は何事もなく死滅もしくは排泄されてしまい、症状が出ることはないらしいのですね。

ですがさらに万が一、いなくなるまでの数日の間に、アニサキスが胃壁などに咬み付くと、アレルギー反応を起こして腹痛や吐き気がする……これが「アニサキス症」なのですね。


………アレルギーなのか……。


てっきり胃袋に咬み付くために物理的な痛みが生じるのだと思っていました……。

なんにせよアニサキスの本来のライフサイクルでは第三期幼虫はクジラに食べられることが前提であり、人間に食べられるのは想定外の事態なので、きっと食べられたアニサキス本人もどうしたらいいかわからず困ってしまうのでしょう。

これはきっとアニサキスにとって、地球を目指して進んでいたはずの宇宙船が、うっかり火星に不時着してしまうのと同じくらいまずいことなのですね。

正規の宿主以外の体の中に入ってしまうと病気を引き起こしてしまうというのは、エボラウイルスエキノコックスもそうですが割とよくあることなのですね。

……ちなみにアニサキスはクジラの体内では特に何もしないようです。

というより、クジラにとってはアニサキスが消化管に住んでいるのは当たり前らしく、もはやわれわれにおける「腸内細菌」のような状態になっているものと思われます。

……「寄生」か「共生」かの違いがありますが………。


なんにせよアニサキス症……彼らのこの妙なライフスタイルと関係していたのですね。


とりあえず、アニサキスが物理的に胃壁に咬み付いて起こる症状ですから、内視鏡で物理的に摘出してしまえば治るのですね。

すんなり治るところはエキノコックス症に比べればずっとマシなのですね。


それにしても………線形動物なんてぜんぜん縁が無い動物なのですね……。

ほとんどの線形動物は地中などで自分で活動し、寄生はしないそうですが、この仲間にはアニサキスのように他の動物に寄生して生活するタイプのものも少なからず存在しているようです。


また線形動物の種類は数億種を超えると言われているのですね。

寄生するもの以外は最近になってやっと研究が進んできた生き物ですから、文字通りいまだに「少し掘ればザックザックと出てくる」状態であり、詳しい数は不明らしいのですが、もしかすると地球上で最も繁栄している節足動物と言われる昆虫の種類を遥かに上回ってしまうかもしれないのですね。

地球は昆虫の惑星……ではなく線虫の惑星であったか……。


でも……あんなシンプルなつくりの動物……一体どうやって種類を区別するのだろうか……。

私はさっぱり見分けがつかないのですね。


最近になって増えたアニサキスの謎

さて、アニーについてよくわかったところで本題に戻るのですね。

最近になってアニサキス症の報告件数が上がったのは、単に埋もれていたものが表に出てきただけであり、アニサキス症の発生件数自体は以前から変わらないのではないか……。

……などと思っていたのですが、実は実際にアニサキスそのものが増えているようなのですね。

……少なくとも人間がアニサキスが入った魚と遭遇する件数は増えているのですね。

……というより実際に感染している魚の数が増えたのかも……。


どうにも魚の食べ物である小さな甲殻類アニサキスが入っていることが多くなってきた……と言われているようなのですが、詳しい理由はよくわかっていないそうなのですね。


………つまり、魚が感染する件数が多くなり、結果人間に感染する件数も多くなったが、原因はいまいち不明、ということなのですね。

……原因がわからない以上、ここで原因についてあれこれ言及しても仕方がありません。

謎は謎のままにして……とりあえず次に行くのですね。


対策は?

……アニーに関する多くのサイトでも見かけますが……感染予防のための対策としては基本はこの4つに尽きるのですね。

  • 確認する
  • 加熱する
  • 冷凍する
  • 噛み砕く

………なんとも大雑把で原始的な……。

確認はまぁ言うまでもないとして、加熱というのは60度以上で1分以上で良いようです。
また冷凍はマイナス20度以下で24時間以上……なのですね。

極端な高温もしくは低温にさらされると、さすがのアニサキスも死んでしまうのですね。

また彼らは胃壁に咬み付いてアレルギー反応を起こしますが、彼ら自身が毒を持っているわけではないため、死んでしまえば食べても問題無いのですね。

最後の噛み砕くというのは……つまり、加熱だの冷凍だの面倒なことはせず、もう物理的に歯で噛み砕いて殺してしまうのですね……ぶっつりと。

……ただ、アニサキスは割と頑丈なようで、一説によると輪ゴムのような歯ごたえで硬くて噛み切れない……らしいです。

そのためうっかり噛み切り損ねる危険性もあるので、あまり噛み砕くのは推奨できないそうです。

また熱を加えると「輪ゴム」から「少し大きめの小骨」にまで強度が上がってしまうという話もあります。

もっとも熱を加えれば死んでしまうわけですから、その辺は問題無いでしょう。


なんにせよ、こうしてみると加熱するのが一番手軽にできそうですね。

またアニサキスは腹側に好んで感染し、背中側にはあまりいないという話がありますので、柵を買う場合は背中の方を選ぶと良いのだそうです。

……どうしても腹側を食べたい、もしくは背中が欲しいのにもう売れ残っているのが腹側しかない、という場合は鮮度のいいものを選ぶか、それでもだめならやはり加熱するしかないようです。


なんにせよお刺身を食べるのはちょっと遠慮したくなりそうな状況ですが、1匹のカツオにアニーが入っている確率はだいたい2%、多い時でも4%ほどらしいので、そんなに神経質になる必要もないのかもしれません。