きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

世界最大のカニが殻を脱ぎ捨て、自分の生きた痕跡を作品として残す貴重な映像が凄い

タカアシガニの脱皮映像

きのうヤフーニュースさんを見ていたら面白い記事が目に留まりました。

なにやら和歌山県すさみ町にある、すさみ町立エビとカニの水族館で、タカアシガニの脱皮が撮影されたそうなのですね。


以下その記事です。動画で見られるのですね。

headlines.yahoo.co.jp


こ、これは……。

すごい……こんな風にして殻を脱ぐのですね。初めて見ました。


なんだか角度的に足が抜けなさそうな気がしたのですが、このカニさんは無事に脱皮を終えることができたのですね。

よかったよかった。


こんなふうにタカアシガニの脱皮が撮影されるのは世界的に見てもとても珍しいことなのだそうです。


動画は短くまとまっていますが、実際の脱皮には8時間ほどを費やしたようで、その間もお客さんたちが楽しげに脱皮を見ていたのだとか。

……着替えているところを見られるだなんてなんだか気が散りそうですが、個人的にはカニさんの足元にいるお魚が気になるのですね……一体何をしているのだろうか。でもかわいい……にゃ!


とりあえず……こういう動画を見てしまうといろいろ気になるのですね。

そもそもタカアシガニってどんなカニでしたっけ……。

そういえば世界最大のカニで食べると美味いということくらいしか知らないような……。


……まずはそこから調べてみるのですね。


タカアシガニ

ええと……。

まず、タカアシガニ

動物界-節足動物門-甲殻亜門-軟甲綱(エビ綱)-真軟甲亜綱-ホンエビ上目-十脚目(エビ目)-抱卵亜目-短尾下目(カニ下目)-クモガニ上科-クモガニ科(ケアシガニ科)-タカアシガニ

……に属する甲殻類で、学名を「Macrocheira kaempferi」というのですね。

 

現状「タカアシガニ属」に属しているのはタカアシガニただ一種のみのようですが、他に化石種が4種ほど確認されているようです。


「高足蟹」というその名の通りとても長い足を持つカニで、広げると4メートル近い大きさになるのですね。
また甲羅の大きさだけでも40センチもあり、まさに世界最大のカニの名にふさわしい大きさなのですね。

しかもそれだけではありません。

彼らは世界最大のカニであると同時に、現在生きているものの中では世界最大の節足動物でもあるのですね。


むかしは世界最大の節足動物といえば胴体部分の長さが2.5メートルにもなるプテリゴトゥス科のヤエケロプテルスなどのウミサソリや、2.3メートルの巨大ヤスデ「アースロプレウラ」が台頭していた時代もありましたが、残念ながらウミサソリは既にその子孫と思しきカブトガニを残して絶滅してしまいましたし、アースロプレウラもしかりなので、今どき世界最大の節足動物といえばまさしくタカアシガニなのですね。

私も昔水族館で現物を見たことがあるのですが、そのあまりの大きさに圧倒されてしまいました。


こんなすごいカニが日本にいるなんて!


長年日本の固有種と考えられていたようですが、最近になって台湾にも生息していることがわかったようです。


また食性は肉食に近い雑食……なのだそうです。


………キツネと同じなのですね。

なんだか親しみがわきます。


性格はおとなしく、飼いやすい上に見た目のインパクトが強いので、水族館で人気のカニのひとつなのですね。

また食用にしてもウマイことで知られているのですね。
……大きさの割には食べられるところが少ない、だの、大味でイマイチ美味しくない、だのといろいろ言われているようですが、私個人としては美味しいと思いましたし、感想は食べた人それぞれに任せるとしますが、なんにせよ1つ言えるのは、とりあえず食用にはなる、ということなのですね。


……非常に個人的な感想なのですが、タカアシガニ……なんとなくザトウムシに似ているのですね。

多分胴体が丸くて足が長いから……なのだと思われます。


また足が長いという体型上、どうやら「脱皮に失敗しやすい」という弱点を抱えてもいるようです。

カニや昆虫などの節足動物は脱皮をすることにより成長しますが、場合によっては足などが引っかかり、抜けなくなってしまうことがあるのですね。

どうやらタカアシガニの場合その脱皮の失敗率が結構高いようです。


……ザトウムシは平気なのか知らん。あんなに長い足して。


ザトウムシはともかく、タカアシガニ「クモガニ科」というグループに属しているのですね。

……クモなのかカニなのかはっきりしろとツッコみたくなる名前ですが、世の中には「カニムシ」などという「クモの仲間の虫」もいますから、おそらく「クモ」と「カニ」の間には何らかの切っても切れない縁のようなものがあるに違いありません。


なんにせよタカアシガニカニの中では古い部類に入るそうで、いわゆる「生きている化石」に含まれるのですね。


……そんな生き物を食べてしまって大丈夫なのかという気もするのですが、生きている化石というのは要するに「形態が化石種並みに古い」というだけであって、必ずしも「珍しい動物」であるとは限りませんから、少なくともタカアシガニの場合その辺は問題無いようです。


……それにしても水の中で脱皮して、どうやって甲羅が硬くなるのだろう……。

塩水の中だと「乾く」のか知らん。


気になるエビとカニの水族館

さて、水族館の話にお話を戻すのですね。


カニさんに限らず節足動物というものは脱皮に失敗し、古い殻の中から出られなくなってしまうとそのまま力尽きて死んでしまうことがある、というのはかつて昆虫少年少女だった人たちにとってはお馴染みの基礎知識なのですね。


「脱皮」や「抜け殻」と聞いてまず思い浮かぶのはセミの抜け殻」という人も多いことでしょう。

その独特なフォルムや芸術的ともいうべき完璧な「脱皮姿勢」と殻そのものの透明感、「種類ごとに形が違う」というコレクション性と奥深さ、少し遠出すればあっさりと見つかり、また採集も保存も容易であるという身近さ、そして何より普通の標本と違って「虫を死なせない」という魅力に魅せられ、セミの抜け殻を集めていた人も多いのではないかと思われます。

そういった人たちなら、おそらく抜け殻採集の時、しっかりと中身が空っぽな健全な抜け殻に交じり、ごくたまに殻から抜けられずそのままお亡くなりになってしまった中の人が半分ないしはまるっと入ったままの状態の殻を見つけてしまい、悲しみのあまり涙を流しながら線香を供えたという経験もおありかとおもいます。


……脱皮とはそれくらい危険なものなのですね。

冒頭で紹介したヤフーニュースさんの記事には「命がけの衣替え」なるタイトルが付いていましたが、これはまさに誇張でもなんでもなく、れっきとした事実なのですね。


また上にも書いた「タカアシガニは脱皮の失敗率が高い」という理由のためか、このエビとカニの水族館では今までも何度か脱皮が確認されはしたものの、成功したのは今回が初めてなのだそうです。


……………え…………。


と、いうことは…………、まさか今まで脱皮を試みた子たちは…………。


………恐ろしいことは考えないことにしましょう。

脱皮に失敗しそうになった子たちも、きっと最後は飼育員さんの手助けにより無事事なきを得、今では今回脱皮を成功させたカニさんと共に水槽の中を元気に歩き回っているに違いありません……たぶん。


なんにせよどうやら今現在はタカアシガニの脱皮の季節らしく、エビとカニの水族館の館長さん曰く「春の時期に脱皮をすることが多い。成長のスピードはわかっていないが5年以上かけてこの大きさになる」のだそうです。

………タカアシガニ、もしかして意外と生態が知られていないのでしょうか……食用になってるのに。


ウナギだのマグロだの、生態がよくわからない生き物を食用にしている例は結構あるようなので、とりあえずその辺はツッコまないことにしておくにしても、なんにせよエビとカニの水族館ではしばらくタカアシガニと一緒に抜け殻の展示もするらしいのですね。


……カニのぬけがら……。


なんだかシュールな感じがしますが、カニだって節足動物なのですから脱皮して抜け殻を作るのは当たり前なのですね。


きっと太古の地球ではウミサソリの抜け殻やアースロプレウラの抜け殻などがそこらへんに転がっており、地上の森や海藻の茂みの間で日の光を受けて神秘的な輝きを放ち、風の谷のナウシカ的な絶景を作り出していたに違いありません。

自分の生きた痕跡を、このように芸術作品として地球に彫刻して残してしまう節足動物とはなんともすごい生き物なのですね。ますます好きになったのですね。


ところでこの水族館、なんだか見たことのある名前だと思ったのですが、調べてみたら以前にカブトガニの記事を書いた時に取り上げた場所でした……ありゃりゃりゃ。

blog.kitsune-vetulicola.net


この時は11月22日(良い夫婦の日)にちなみ、エビとカニの水族館にて夫婦間で変わった関係を持つ甲殻類が展示され、その中でもカブトガニは夫婦でべったりとくっついてイチャイチャする習性がある、というような内容だったのですね。


名前からし甲殻類を専門に取り扱っているらしいエビとカニの水族館に、ナゼに鋏角類であるカブトガニがいるのかは謎ですが、きっと「カニ」という名前のよしみでカブトガニマニアの採用担当者さんに採用されたに違いありません。


当時の「良い夫婦イベント」は残念ながら記事を書いた時点でもう終わってしまっていたのですが、今回のタカアシガニ with 抜け殻」は暫く展示が続きそうなので、できればこの水族館に直接行って、自身の目でこのカニさんと抜け殻を眺め、ついでに写真を撮って帰ってこのブログにアップしたいところです。


ですが残念ながらかんじんの水族館がある場所は和歌山県西牟婁郡にあるすさみ町なので……つまり本州のほぼ「最南端」なのですね。

そのため私の住んでいる所からだとエビとカニの水族館は「大阪のかに道楽よりも遠い」のですね。


…………行けないよ!!!!


………やはりこの水族館とカニさんたちを実際にこの目で見るのは当分の間諦めた方がよさそうです……カブトガニの記事にも書いたけど。

残念ですがこればかりは仕方がありません。タカアシガニ with 抜け殻」展示も、テレビやネットの画像や映像で我慢するのですね。


……それにしてもなんかこのブログ、最近節足動物のことばかり書いているような……。