きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

40年ぶりに封印を解かれた太古のクモが語る凄い事実

クモの化石

昨日、カブトガニについて書いたのですね。

遺伝子解析による最新の研究でカブトガニがクモと同じ「クモ綱」に分類されるらしいということが新たにわかり、カブトガニの常識が変わってしまう、という内容でした。

blog.kitsune-vetulicola.net


これは元々ナショジオさんのニュースで知ったことだったのですが、その時読んだナショジオさんの関連記事に気になるものがあったのですね。


なにやらクモの進化の謎を探る上で重要な化石がフランスで見つかったようです。

natgeo.nikkeibp.co.jp

2016年の記事と少々古いのですが、とても気になったので読んでみたのですね。


石炭紀の古いクモ、石に埋もれ観察が困難?

発見されたクモの化石は3億5000万年前の石炭紀のもので、どうやら最古のクモに近い姿をしていたらしいのですね。


石炭紀といえば、名前のとおりちょうど現在掘り出される石炭のもととなった樹々が生きていた時代なのですね。

また地上が高濃度の酸素を含む大気に覆われており、それゆえか世界中で巨大な樹々が生い茂り、巨大昆虫が繁栄した時代としても有名です。

中でも原初の巨大トンボ、「メガネウラ」某国民的怪獣映画のライバル怪獣の題材にされるなどかなり知名度が高いのですね。


……その巨大昆虫の時代の片隅にひっそりと生きていたのがこの化石のクモのようです。


ですがこの化石、オオツチグモ並みに巨大なのかと思いきや、実は大きさが10ミリ超と、今現在生きているそこらへんのクモと大差ないのですね。

石炭紀は昆虫含む節足動物が規格外に巨大化した時代ではありましたが、このように「普通サイズ」のものもいたのでしょう。


なんにせよ化石は1970年代半ばとかなり昔にアマチュアの化石掘りの人が発見していたもので、後ろ半分つまり腹部分以外は石に埋まっていたようです。


……見えているのは後ろ半分だけ……。

よくクモの化石だってわかったのですね……きっと見つけた人は相当目の肥えた化石の達人だったに違いありません。


……もしくは単純に、見つかったクモは腹に節があるタイプだったため、とりあえず原始的なクモの仲間だとわかったのかも……。


知っての通り現生のクモの殆どは腹に節が無く、丸い袋のようになっているのですね。

たまにハラフシグモ亜目に属するキムラグモなど節があるものもいますが、これらは原始的なクモの仲間として知られているのですね。


そもそも節足動物というのはカブトガニにせよクモにせよ、元はといえばムカデのように体の各部が節に分かれており、その一つ一つにさらに節の付いた1対の付属肢(足や触角など)がついているというのが基本構造なのですね。

現生のクモの体の節は、ハラフシグモの仲間を除けばもはや「頭胸部」と「腹部」の2つしか無いわけなのですが、そもそも「頭胸部」にも鋏角(クモの牙)1対、触肢(触角みたいなの)1対、歩脚(歩く足)4対の計6対の付属肢があるわけですから、この頭胸部自身、どんなに少なく見積もっても最低6個の体節がくっついて一つになったものであるはずなのですね(厳密には鋏角の前にももう1つあるはずなのでもう少し多いですが)。

カブトガニの体も前半・後半・尻尾の3つにしか分かれていませんが、既に絶滅してしまった古いタイプのカブトガニでは後半部分がさらにいくつかの節に分かれているものもいるのですね。


とりあえず、節と言うものは進化を重ねるごとにくっついて一つになっていくものであるようです。
つまり、逆に言うとそれが残っているタイプのクモは結構古い型のモデルなのですね。


なんにせよこのクモ……殆どが石に埋もれていたため、まともに観察することができず、発見から40年もの長きにわたり永い眠りにつくことになってしまったのですね。


長い眠り覚めて……

さて……長い永い眠りについていたこの化石ですが、このたび(2年前?)、ついに目覚めることになったようです。

それはひとえに技術の進歩のおかげで、石を掘り起こすことなく中身を観測できる最新のCT技術を使ってスキャンしたことで、石の中に体の残りの部分が残っているということがわかったのですね。

石の中にあったのは頭胸部、各歩脚、触肢、鋏角と……要するに丸ごとそのまんま「クモの前半分」が残っていたのですね。

クモは「Idmonarachne brasieri(イドモーナラクネ・ブラシエーリ)」と名付けられたようです。


……つまり、「新種」だったのですね。


そしてこのイドモーナラクネ、体に節がある以外にも、現在のクモには見られないある特徴があったようです。


……出糸突起が無いのですね。


出糸突起というのはクモのお尻にある器官で……別名「糸いぼ」などとも呼ばれています。


決して有名なそうめんのブランドではないのですね。


クモはお尻から糸を出すことで知られていますが、厳密にはこの出糸突起から糸を出すのですね。

種類によっても違いますが、普通は大体3対あるようで、「いぼ」によって出てくる糸の種類が違うのですね。

つまり、「トリモチ糸用のいぼ」の糸は、粘り気がある糸、「ベタつかない糸用のいぼ」の糸は、粘り気が無い……という具合に、このいぼからはこの糸が、そのいぼからはその糸が、それぞれ出てくるようになっているのですね。


……いぼの……糸………?


クモは枝などの間に網を張り、飛んでくる昆虫を捕まえることで知られていますが、実際クモの糸の使い方は何も定置網を作るだけではなく、命綱や投げ縄、巣の補強、卵の保護、果ては鳴子かセンサーのような使い方など、様々な用途があるのですね。

ハエトリグモやオオツチグモなどのように網を張らないクモであっても、命綱に使うために糸を出すのですね。


また網を張るクモも、「タダの糸」である縦糸に対し、トリモチのような粘り気のある成分を含む横糸を掛けるなど、複数種類の糸を使い分けているのですね。


……クモ自身が網にかかることが無いのは、この使い分けのおかげなのですね。
クモは粘り気のある横糸で獲物を捕まえますが、自分は安全な縦糸を伝わって移動しますから、うっかり網にかかってしまうことはないのですね。


ですがイドモーナラクネ、この出糸突起が無いため、現在のクモほど糸を自在に使うことはできなかったようです。

……糸の種類が少なかったのでしょうか……。


クモは進化の過程でまず初めに糸を出せるようになり、その後現在のように自在に使いこなせるようになっていった、ということが今までの研究でわかっているようです。


……冷静に考えてみると、当たり前の順番な気がしますが……。


なんにせよこのイドモーナラクネはその進化の過程のちょうど中間に位置しており、最初期のクモと現在のクモとをつなぐ生き物なのですね。

……つまり、ミッシングリンク」が発見された、ということなのですね!


こ、これは……すごい発見です……!


化石から生物の進化を研究していく時に、進化後の生物Cと、そのご先祖様らしき生物Aは見つかるのに、その間にいるはずの生物Bが見つかっていない、ということがたびたび起こるのですね。

今回ももっと古い時代……3億8500万年前に「Uraraneid(ウララネイド)」というクモのご先祖様が発見されており、そのクモは網を張らずに糸を出すだけだった……巣の補強などに使われていたらしいということが事前にわかっていたようです。

つまり、そのウララネイドと現在のクモとのちょうど中間にいるのがイドモーナラクなのですね。


ウララネイドというのはどうにも現在のサソリモドキとクモの中間のような姿をした生き物だったようで、サソリモドキやサソリ、ヒヨケムシなどと同じく独自の「目(ウララネイド目?)」に属するのですね。

そしてそれがイドモーナラクネのような原始的なクモを経由して、現在のクモ目になったのですね。

イドモーナラクネがクモ目の所属なのかはよくわかりませんが、なんにせよこの生き物が現在のクモに繋がっているということは間違いなさそうです。


……クモ綱の中ではクモ目が最も進化しているのでしょう。


なんにせよ、このイドモーナラクネの発見はまさにクモの研究の歴史に新たなる1ページを刻む凄い発見だったのですね。

 

……あれ……。

 

でも、糸いぼは元々腹の4番目と5番目の節についていた付属肢が変化したものだったかと……。

………節足動物の基本形から考えると、クモの遠いご先祖様のお腹にも付属肢が付いていたはずですが、進化の過程で4番目と5番目のもの以外が無くなったのでしょう。

そして4と5のが糸いぼとなったのだと思われますが………ということは糸いぼ、後から「生えて出てきた」ものではなく、「付属肢が変化してできたもの」なのですね。

つまり、イドモーナラクネに糸いぼが無く、その子孫である現在のクモに糸いぼがあるということは、一旦イドモーナラクネで「第4第5付属肢」が無くなり、その後進化の過程でまた糸いぼとして復活した、ということになるのですね。

 

……なんだかおかしいのですね。

 

イドモーナラクネで一旦「無くなった」糸いぼつまり「第4第5付属肢」が、その後のクモに「ついている」とは一体どういうことなのでしょう。

 

進化の法則からすると、「一度無くなった」ものはもう二度と「生えては来ない」はずなのですね。

となるとイドモーナラクネには第4第5付属肢が付いていたが、糸いぼとしてではなかった……と考えるのが妥当そうですが……実際のところどうなのだろうか……。

それともイドモーナラクネは現在のクモの直接のご先祖様ではなくて、別の系統の生物だったのだろうか……。

つまりこのご先祖様は糸いぼを持っており、さらに糸を操ることができたが、イドモーナラクネに進化して糸いぼが無くなった……そしてイドモーナラクネにならなかったものが現在のクモに………?

 

……なんだか矛盾をはらんだ発見なのですね……これは一体どういうことなのだろうか。

 

……まぁいいか………。


生物好きの好奇心をくすぐるナショジオさんの関連記事

ちなみにナショジオさんの関連記事……まだあるのですね。

中国で史上最大のクモの化石が発見された、だの、ザトウムシがゴキブリよろしく3億年前から殆ど姿を変えていないことが判明した、だの、こうなってはもう、いろいろ気になるのですね。

カブトガニの記事を読んだだけなのにどうしてこんなにたくさん気になるものが出てくるのだろうか……よもやマーケティングを司るAIによって、読者の好みを完璧に分析し、しかるべきリンクを設置しているのではなかろうか……。


……ともあれ、とりあえずザトウムシが気になるので……明日はザトウムシについて書くのですね。

ザトウムシはクモのようでクモではない、あの虫なのですね。

ここ数日、しばらく「クモ綱祭り」になりそうです……。