きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

カブトガニはクモの仲間。「今更何を」と思ったらトンデモない発見だった

そもそもカブトガニはクモの仲間じゃ……?

先ほどナショジオさんで興味深いニュースを見たのですね。

なにやらカブトガニがクモの仲間だということが判明した、という記事なのですね。

natgeo.nikkeibp.co.jp


……………………………………………………、

………………………………………………えっ?


……………今更何をっ!!!


カブトガニカニと言いつつ実はカニではなく、クモと同じ「鋏角亜門」に属している「クモに近い動物」であることはとうの昔に知られているのですね!

まさかいまだにカニという名前に惑わされ、カブトガニカニと同じ「甲殻亜門」だという認識が世間一般に広まっているのだろうか……。


しかも、あの天下のナショジオさんにまでそのようなバイアスが!?


そ、それは……………、

……由々しき事態なのですね。

 

まさにカブトガニの分類以上の大発見です。


……などと思い記事を読んでみたのですが、どうやらそういうことではないのですね。

「甲殻亜門」「鋏角亜門」などというでかい分類の話ではなく、そのひとつ下の分類階級……「綱」レベルで発見があったようです。

なんとまぁ……。


カブトガニがクモ綱……だって!?

まず、前提として……。

カブトガニ

節足動物門-鋏角亜門-カブトガニ綱-カブトガニ目-カブトガニ

に属する節足動物の総称なのですね。

節足動物というのは体が硬い殻に覆われ、節を持つ生き物で、クモやカブトガニ、エビ、カニ、昆虫などの仲間のことですね。

カブトガニは名前にカニと付いていますが、カニ鍋とかカニ爪で知られるカニ「甲殻亜門(いわゆる甲殻類)」ですから、同じ節足動物門」でも「亜門」レベルで異なる分類なのですね。

……つまり、「カニ」も「カブトガニ」も節足動物」であることに変わりはないが、それ以外はベツモノ、ということなのですね。

「門」だの「亜門」だの「綱」だの、いわゆる「分類階級」については基本の8つの簡単な解説をここにまとめてありますのでよろしければご覧ください。

blog.kitsune-vetulicola.net


ともあれ、カブトガニは「生きた化石」などと呼ばれているだけあって、たいそうな大昔から生きており、また昔は大繁栄していたのですね。

ですが現在では数が減り、3属4種のみが知られているのですね。

カブトガニ(Tachypleus tridentatus)
ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)
マルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)
アメリカブトガニ(Limulus polyphemus)

の4種と、それぞれの属する「Tachypleus属」「Carcinoscorpius属」「Limulus属」の3属なのですね。


なんにせよ大事なのは、4種とも「カブトガニ綱」に属している、ということなのですね。


カブトガニ綱」の正式名称は「節口綱(せっこうこう)」もしくは「腿口綱(たいこうこう)」といい、ここには他にも絶滅グループであるウミサソリが属しているので、ウミサソリ綱」などと呼んでもいいじゃないかなどというツッコミが飛んできそうですが名前がいろいろありすぎてめんどくさいのでここではカブトガニ綱」で統一します。


そして今回の発見は彼らカブトガニカブトガニ綱」の所属ではなく、実は「クモ綱」に属しているのではないかという可能性が出てきた、ということなのですね。


……カブトガニなのに……カブトガニ綱じゃない……。


なんだかとんちのようです。


クモ綱とは「クモガタ綱」とも呼ばれるグループで、その名の通り「クモのなかま」なのですね。

クモ綱の下は「クモ目」「サソリ目」「ダニ目」「ヒヨケムシ目」「ウデムシ目」などに分かれており、それぞれクモやサソリ、ダニ、ヒヨケムシ、ウデムシなどが属しているのですね。


………………そのまんまじゃん。


なんにせよ、研究チームは今話題の(?)分子系統解析……つまり、「遺伝子を解析することにより生き物の分類上の位置づけを求める」技術を使い、クモや甲殻類、昆虫など、53種の節足動物の遺伝子を解析したようです。

そしてその結果を何パターンかの系統樹にまとめ、最も「しっくりくる」分類がどれかを探っていたのですね。


系統樹というのは生物の分類を木のような形の図にまとめたものですが……

……AIを活用していたのか知らん。


そしてそれによると、作った系統樹のおよそ3分の2では、カブトガニは「クモ綱」に属することになっていたのですね。


一体いくつ系統樹を作ったんだとツッコミを入れたくなるのですが、なんにせよつまり、今回の研究によるとカブトガニは今のところ3分の2の確率で「クモ綱」なのですね。

残りの3分の1は他の分類(今迄通り「カブトガニ綱」?)になっているそうなので、もしかしたら違う可能性もまだあるようですが、なんにせよ高い確率で「クモ綱」かもしれないという可能性が出てきたのですね。


この研究結果はことし2月14日付で「Systematic Biology」という科学雑誌に論文として発表されたようです。


2月14日といえばバレンタインであり、またことしは皇居で新種のダニが発見されたと発表されたり、火星探査機のオポチュニティが引退したりとなにかと騒がしい日ではありましたが、同時にこのような論文まで発表されていたのですね。

バレンタイン2019……なんだか色々あります。


本当だとしたらカブトガニの常識をぶち壊してしまうトンデモない発見

……などとバレンタインに対して関心を寄せている場合ではありません!

この発見……かなりエラいことです。


カブトガニは今まで、クモに同じく鋏角亜門であることはわかっていましたが、かんじんのクモその人との分類学的な距離が一体どれくらい近いかについては長年謎だったのですね

ですがこの発見により、クモとの距離は「綱まで同じ」らしいということがわかったのですね。

……これにより、今までは

鋏角亜門-カブトガニ綱-カブトガニ

だった分類が、

鋏角亜門-クモ綱-カブトガニ

になってしまうのですね。

「目」以下の枝がごっそり丸ごと、一気に隣の「綱」の枝にジャンプしてしまいました。

これは会社にたとえるなら開発部AI開発課およびその傘下の係や班その他が、そのまんま営業部の傘下に入ってしまったというのとおなじことになります。


明日から君たちの部長は〇〇開発部長じゃなくて△△営業部長だから。


……などといきなり言われても!
というよりなぜ営業にAI開発課を!?


……これはエラい変化なのですね。


また記事にもありますが、分類が変わるということは、これで今までそうだと言われていたクモとカブトガニの進化の道筋までもが変わってしまうということなのですね。


生物の分類というものはそもそも進化の道筋に沿って枝が分かれていくものであり、従って「綱」や「目」などの分類階級が同じなら、それはつまり祖先が同じということなのですね。


今まではクモとカブトガニの祖先は同じ海産物……じゃなくて海の鋏角動物であり、片方が陸に上がり、もう片方は海の中でそのまま暮らし続けたと言われていたのですね。

その結果陸に上がったものがクモ綱となり、海で暮らし続けたものがカブトガニとなった……とされていたのですね。


鋏角亜門-クモ綱(クモとか)     ← 陸に上がった
鋏角亜門-カブトガニ綱(カブトガニ) ← 海で暮らし続けた


……ですがカブトガニがクモ綱に属しているとなると……話が変わってくるのですね。


「クモ綱の共通祖先」はおそらく「すでに陸に上がっていた」はずですから、要するに「陸に住んでいた」のですね。

そしてそこからクモやカブトガニに分かれたとなると……なんと、カブトガニの祖先も元々陸に住んでいたことになってしまうのですね!


鋏角亜門-クモ綱-クモ目    ←陸に上がってる(ハズ)
鋏角亜門-クモ綱-カブトガニ目 ←陸に上がってる(ハズ)


こ、これは………。


どういうことなんだ…………!!!


カブトガニは元々陸で暮らしていましたが、クジラのように何らかの事情でまた海で暮らすようになった……?


全ての生命は海から生まれ、また海へと還っていく………。


……のかどうかはわかりませんが、とりあえずカブトガニというものは、サソリやウデムシ、ヒヨケムシと同じくらい「クモに近い」仲間であるかもしれないということはわかったのですね。

そしてそのご先祖様はおそらく陸に住んでいたのですね。


……ですがきつね、陸で暮らすカブトガニだなんて想像できません。

と、言うより……。

陸で暮らしていたらもうそれは「カブト『ガニ』」じゃないのですね。


……「カブト『ムシ』」………なのですね。