「絶滅種」のカメさん発見?
今月2月の19日、なにやらとんでもない発見があったようです。
南米エクアドルにあるガラパゴス諸島のフェルナンディナ島で、絶滅したと言われていたリクガメの一種が見つかったというのですね。
……ガラパゴスって………。
………日本じゃなかったのですね。
てっきり有名な携帯電話の産地の名前かと思っていました。
……冗談です。
ちなみにガラパゴス諸島(Islas Galapagos)とはスペイン語で「カメの島」という意味なのですね。
島という閉ざされた環境であるため、独自の動植物が繁栄しており、かの有名な生物学者チャールズ・ダーウィンさんが生き物の進化の研究と調査を行ったことでも有名です。
また、この島のこういった性質は俗に「その環境に適応しきったその環境独特のもの」といった意味で「ガラパゴス化」などという言葉が使われるようになったゆえんとなっておりますね。
それはともかく、今回見つかったのはフェルナンディナゾウガメ(Chelonoidis phantasticus)と呼ばれるカメで、名前のとおりこの島の固有種なのですね。
このカメは100年ほど前にすでに絶滅したと言われていたのですが……それが見つかったなんて、これはすごい発見なのですね。
見つかったのは大人のメスで、年齢はおそらく100歳を超えているとのことなのですね。
さすがカメさん……長生きです。
またこのカメさんは直ちに保護されたらしく、現在は同じくガラパゴス諸島の別の島であるサンタクルス島の、ガラパゴス国立公園にいるのですね。
最後の希望か、それとも最後の1頭か
それにしてもこのカメさん……。
フェルナンディナゾウガメが絶滅したとされている時代と、このカメさんの年齢とがおおむね一致しているのがひじょうに気になるのですね。
フェルナンディナゾウガメが絶滅したと思われるのが100年ほど前、このカメさんの年齢も100歳ほどですから、このカメさんが生まれたころに、フェルナンディナゾウガメは絶滅したと言われ始めたということになります。
もしかしたら大人のカメがいなくなり、フェルナンディナゾウガメが絶滅したと言われたまさにその時、このカメさんは子供もしくは卵の状態でどこかにひっそりと潜んでいたのかもしれません。
フェルナンディナゾウガメ含むガラパゴスゾウガメは、一度に卵を20個ほども産むそうですから、もしかしたらこのカメさん以外にも生き残っているフェルナンディナゾウガメがいるのかも……?
……もしかしたらまだ希望が残っているのかもしれませんね。
……もちろんフェルナンディナゾウガメという種を存続させるための希望です。
あれ……「希望」……そして「カメ」……?
………「最後の希望」……なのですね。
きっと「時の揺りかご」に「託されて」おり、「災いの影と共に目覚める」に違いありません。
ともあれ、このカメさんが発見されたことにより、おそらく今後、他の個体の存在などの詳細な調査が始まるものと思われます。
……と、いうより、始まらなければ困ります。
でなければ永久に他の仲間を見つけることができないのですね。
ですがその調査により他の個体も見つけることができれば、これは大いなる進展なのですね。
……まさか逆に最悪の事態が判明するなどということはないと思います。
……つまり、このカメさんが「最後の1頭」だった、ということには間違ってもならないでしょう。
……なったりして……。
ロンサム、再び?
……フェルナンディナゾウガメの仲間たちの状況は定かではありませんが、今回発見されたカメさんはなんだかあの伝説のゾウガメ、ロンサム・ジョージを思い出すのですね。
ジョージさんはピンタ島に住むピンタゾウガメ(Chelonoidis abingdonii)の最後の1頭と言われており、同じくサンタクルス島のチャールズ・ダーウィン研究所で保護されていたのですね。
チャールズ・ダーウィン研究所は上記のガラパゴス国立公園の管理も行っており、ゾウガメなどの希少動物を保護しているのですね。
ジョージさんも50年近く前の1971年の冬に、ピンタ島でカタツムリを研究していた人によって偶然発見され、保護されたのですね。
その当時すでに「ピンタゾウガメは絶滅した」と言われていましたから、なんだか今回と状況がそっくりなのですね。
なんにせよどうやら当時からジョージさんは「最後の1頭」であったようです。
悪と戦う正義のヒーローが実は「~一族の最後の1人」だった!などという設定は特撮やファンタジーなんかでよくありますし、この「俺が死んだらもう後がない」という責任重大感と「選ばれし最後の1人」という「ヒーローっぽさ」がなんだかかっこよく、同時に大いに厨二っぽいので、それ故に人気の設定であるのかと思われるのですが、これ、現実だったらえらいことです。
こんな状況、冷静に考えれば「選ばれし最後のヒーロー」どころか、「俺が死んだら後がない」の方が全面的に押し出されてきてしまい、どっからどう考えても「一族を守らねば!」と保身に走るのが現実的でしょう。
……つまり、こうなってはもはや「悪と戦う」どころではなく、「悪が世界を征服しようが何だろうがそっちのけで逃げ回り、自身の身の安全と一族の繁栄とを第一に考える」というどっからどう見ても「こんなのヒーローじゃない!タダのフヌケだ!」な展開になってしまうのですね。
……現実的に考えれば、「最後の1人」とはそうやってヒーローのイメージを崩してしまうほど由々しき事態なのですね。
もちろんジョージさんはそもそもヒーローではありませんから、そのような「ヒーローのイメージが崩れる」問題は起きませんが、希少生物の最後の1頭であるという時点で「俺が死んだら後がない」ことに違いはないため、周囲の(保護をする)人たちは間違いなくその種を復活させようと奔走しなければならないのですね。
実際にジョージさんのお世話をしていた研究者の皆さんも、何とかして子孫を残そうとあの手この手を尽くして下さったのですね。
ただ、そのような努力もむなしく、ジョージさんは子孫を残すことなく2012年に亡くなってしまったので……これでピンタゾウガメは絶滅してしまった……と言われているのですね。
……ジョージさん以外にも他の「最後の1頭」が見つかれば、話は別かもしれませんが……。
なんにせよ、今回保護されたカメさん(まだ名前が決まっていない?)は今のところ「最後の1頭」ではない……ようです。
詳しい調査はこれからでしょうし、結論を出すにしてもそれを待たなければなりませんが、私としては実は他の個体もまだ結構な数が存在しており、種の回復は「まだ間に合う」状態であることを望むばかりです。
間違ってもこのカメさんが「最後の1頭だった」などという結論にならないよう祈るしかありません。