きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

幻のハキリバチと人類が再会。研究チームを感動の渦が

世界最大のハチ

小惑星探査機はやぶさ2……略して「はやツー君」の着陸成功の興奮も未だ冷めぬ今日この頃なのですが、昨日の時点ですでにAFP通信さんは新たなニュースをアップロードしてしまっていたようです。


なんと最近ずっと行方不明だったとあるハチと、人類がじつに40年ぶりに再会したというのですね。


問題のハチはインドネシアに住む「世界最大のハチ」で、1981年を最後に目撃情報が途絶えており、研究者の間では絶滅したんじゃないかと心配されていたのですね。

ですが先月1月25日に、長年このハチを研究している自然写真家のクレイ・ボルトさんら4人の研究チームが感動の「再会」をはたしたようです。


もっともボルトさんはこのハチを初めて実際に見たようで、発見後は大喜びで、またとても感動していらっしゃったのですね。

……どうにもその前に数日間森を彷徨い続けていたらしいのですね。

ボルトさんの夢はこのハチを自然保護の象徴とし、インドネシアの人々の誇りとすることだったのだそうですから、きっとこの発見は大きな前進だったのですね。


……このハチは1匹のハチとしてはたしかに大きなハチだが、私の夢にとってもとてつもなく大きな飛躍である。


……のかもしれません。

ともあれ、よかったですね、ボルトさん!


かんじんのAFP通信さんの記事はこちらなのですね。

www.afpbb.com


……ご丁寧にミツバチさんとの比較つきで、問題のハチさんの写真が載っているのですね。

人の親指ほどの大きさがあるといいますが………でっか……。


おまけに何なのでしょう、この巨大な頭部にクワガタみたいな大あご……そしてでっかいタレ目……。


……もはやツッコミどころが多すぎてどこからツッコんでいいのかよくわからないので、とりあえずこのハチの系統樹の上での位置づけから調べてみることにしました……。

同じ分類群に身近なハチがいればそれなりにこの子のことを理解できる……と思うのですね、たぶん。


実は身近な「ハキリバチ」

……「Megachile pluto」……という学名が載っていたので調べてみると、見事に引っかかるのですね。さすが学名……文字通り世界共通の名前です。


……ですが、いかんせん日本語の文献が出てこないのですね。
日本に住んでいないハチだからなのだろう。

英語の文献も読めないことはないのですが、時間がかかりますし、それに私は本日中にこの記事をアップしなければならないので、唯一日本語になっているAPF通信さんの情報を頼りにすることにし、またどうしてもわからない所は「近い分類のハチ」を引き合いに出すことにしました。


で、かんじんの「Megachile pluto」なのですが、インドネシアの北マルク諸島に生息するハチなのですね。

系統樹の上では

動物界-節足動物門-六脚亜門-昆虫綱-膜翅目(ハチ目)-細腰亜目(ハチ亜目)-ミツバチ上科-ハキリバチ科-ハキリバチ属

に属するハチで、早い話が「ハキリバチの一種」なのですね。

そういえば「Megachile」というのは「ハキリバチ属」のラテン語名なのですね。

……おお!

「近い」どころか、「ハキリバチ属のハチそのもの」が日本にいます!
「属」が同じなら、それはもう殆ど同じものとして扱えるのですね。

アカギツネスイフトギツネが両方とも同じ「キツネ属」であり、すなわち両方とも「キツネ」であるのとおんなじです!


ちなみに種小名の「pluto」は……。


プルートー……。


ローマ神話に出てくる「冥界の神様」の名前なのですね。
そのまんま冥王星という意味にもなりますが……。


……某「漫画の神様」が描いた某有名なロボット漫画にも出てきた気が………。


……きっと「神様繋がり」なのでしょう。


なんにせよ日本にいない種類であるためか、どうやらこのハチには和名が無いようで、とりあえずみんな19世紀にこのハチを発見した博物学者さんの名前にちなんで「ウォレスズ・ジャイアントビー」だの「ウォレスの巨大蜂」だの、もしくはその見た目から「空飛ぶブルドッグだのと呼んでいるようです。


……ブルドッグ……。

……なんかしっくりくる……。


……ですがどれも(和名としては)全くしっくりこないので、というか呼びづらいので、ひとまずここでは「ウォレスオオハキリバチ」とでも呼ぶことにするのですね。


ウォレスオオハキリバチ(仮)!

その名の通り(?)この子はハキリバチなのですね。

ハキリバチとは「葉切り蜂」という名の通り、植物の葉っぱを切るハチで、日本には25種ほどが住んでいるのですね。

中でもバラハキリバチ(Megachile nipponica)オオハキリバチ(Megachile sculpturalis)が有名なのですね。


……ただしオオハキリバチはハキリバチと言いつつなぜか葉っぱは切らず、代わりに松やにを集めるので、とりあえずここではバラハキリバチを引き合いに出しましょう。


バラハキリバチは名前のとおりバラの葉っぱをよく切るのですね。
切った葉はどうするのかというと、巣作りに使うのですね。(オオハキリバチは松やにで巣を作ります。)

ハチというとミツバチやアシナガバチスズメバチなど、女王蜂を中心としたコロニーと、群れのみんなが住める巨大な巣を作るものがよく知られていますが、実際このような生活スタイルを持つものは少数派で、大体のハチは単独で生活するのですね。

そしてバラハキリバチやオオハキリバチの場合は手ごろな大きさの竹筒を見つけ、そこに巣を作るのですね。


竹筒に巣を作る蜂はハキリバチの仲間以外にもオオフタオビドロバチなどいろいろといて、どれも素晴らしい職人技の持ち主なのですね。
また仲間ごとに巣を作る方法や材料もいろいろ違っていて面白いのですが、とりあえずここでは触れないことにします。


なんにせよバラハキリバチのお母さんは筒の中に葉っぱを敷き詰め、さながらカプセルホテルのような部屋をたくさん作るのですね。


……などと言われてもイメージするのが難しいかもしれませんが………竹筒の中には「笹だんご」みたいな形の葉っぱでできたコップのような部屋がたくさん入っている、とお考え下さい……。


そして花粉と花の蜜をせっせと集め、それらを混ぜて「蜜で練った花粉団子」を作るのですね。
花粉団子はそれぞれの部屋の中に入れ、その後卵を1つ産んで部屋を閉じ、また次の部屋を作るのですね。


卵から孵った子供たちはこの花粉団子を食べて育ち、大人になると竹筒から出てくるのですね。


きつね、昔こういう竹筒に巣を作るハチの生態が好きで、よく本を見ていました。
卵から孵ったハチの子がさもおいしそうに花粉団子を食べていて、また花粉団子自体すごくおいしそうに見えるので、きっとこれはとてつもなくおいしい食べ物に違いない!とひとりであれこれ考えてニヤニヤしていたのですね。

……どう考えても最初に生まれた一番奥の部屋の子が最初に大人になり、なおかつ最初に筒から出られるのは一番最後に生まれた入り口付近の子だと思うので、この先入れ後出しの「スタック空間」において一番最初に生まれた子は出る時多分しばらく順番待ちで退屈な思いをする羽目になるんじゃないかなどと思うのですが、ハキリバチの世界ではこれが当たり前のようです。


一体中でどうやって暇を持て余しているのだろうか……ひとりチェスでもしているのか知らん。

それではハチのお母さんが花粉団子と一緒にチェス盤を持ち込まなければならなくなってしまうのですね。


なんにせよ……ハキリバチ……。

葉っぱをひじょうにわかりやすく丸く切り取ってしまうので色々と疎まれてしまうようですが、あれはハチのお母さんがわが子を育てるために一所懸命仕事をした跡なのですね。

それにハキリバチもミツバチやマルハナバチなど他のハナバチの子たちと同じく花粉を運び、植物の手助けをしてくれるのですね。

なので少々迷惑かもしれませんが温かい目で見守ってあげてもらえると嬉しい……にゃ!


あれ、松やに……?

なんにせよこのウォレスオオハキリバチも竹筒に巣を………って、あれ………。


……竹筒……

……ではなくて、シロアリのアリ塚内部に巣をつくるハチなのですね。
そしてクワガタを思わせる大きなあごを使って松やにを集め、シロアリから巣を守る……のだそうです……?


……松やにで巣を守る、というのはつまりおそらく松やにを使って巣に仕切りを作ったりフタをしたりする、ということなのでしょうが……これ、バラハキリバチよりもオオハキリバチに近いような……。

そういえばよく見るとウォレスオオハキリバチの顔はこの大あごといいタレ目といい(日本の)オオハキリバチにそっくりです。

バラハキリバチはかわいい顔をしていますが、それとは似ても似つかないコワモテなのですね……同じハキリバチのはずなのに。

……おそらく松やにを使うあごが大きなハチはあごの発達に伴い顔の下側が左右に広がり、結果タレ目になったものと思われます。


……まさか、「亜属」じゃ……?


……引き合いに出すハチを間違えたかしらん。

 

そういえば「ハキリバチ」……。日本でこそ「ハキリバチ」という名前ですが、英語だと「resin bee」……「マツヤニバチ」……というのですね。

……それに、「ウォレスオオハキリバチ」などと呼んでいる時点でもう「オオハキリバチを引き合いに出した方がいい」と自分で言ってしまっているような……。


………しまったっ!!!


……まぁいいか……。


きっと「松やにか葉っぱで巣をつくるハチ」の仲間を、日本語圏では「葉っぱ」に、英語圏では「松やに」に注目してそれぞれ名付けたのでしょう。

おそらく「ハキリバチ属」はその下がさらに「松やに亜属=タレ目亜属」と、「葉っぱ亜属」とに分かれており、ウォレスオオハキリバチおよび(日本の)オオハキリバチは「タレ目亜属」、バラハキリバチは「葉っぱ亜属」に違いない!

そして「ハキリバチ」と「マツヤニバチ」という名前はそれぞれの亜属を象徴しているんだ、絶対そうだ!


こ、これは……!

…………分類を見直した方がいいと思うのですね。


せっかく学名が二名法でシンプルに「属名+種小名」となっているのに、間に「亜属」などというヤヤコシイものを入れてほしくないのですね……。

でもだからといってそれぞれを「属」に格上げし、「ハキリバチ科-松やに属」「ハキリバチ科-葉っぱ属」などとすると当然属名が変わってしまい、さらにヤヤコシイことになってしまうのですね。


とりあえず海外は知りませんが日本では「葉っぱを切る方のハチ」の方が多いはずですし、日本語名のプライドと名誉にかけて敢えてここは両方とも「ハキリバチ属」であり、「ハキリバチ」という呼び名である、ということで通しましょう、そうしましょう。


なんにせよこのウォレスオオハキリバチ……40年も行方をくらましていたというところだけを見るとレア中のレアみたいな感じがしますが、数的には実はまだけっこうたくさん住んでいるらしいのですね。

ですが場所が場所だけに研究が進まず、念のため(?)国際自然保護連合(IUCN)さんがレッドリストの「絶滅危惧種」カテゴリの「危急種」に指定しているようです。
「危急種」の次は「絶滅寸前種」、その次が「野生絶滅種」、さらに上を行くと「絶滅種」になってしまうので、これは結構危険な状態なのですね。

……実際の数はともかくとして。


とりあえず保護はしましょう!

なんにせよ……先日も書きましたが、今や昆虫そのものが「絶滅危惧種」になりつつあるのですね。

つまりこのウォレスオオハキリバチが実際は「危急種」でもなんでもなくてごく普通のハチだったとしても、どのみちやはり保護が必要なのですね。

幸いなことにウォレスオオハキリバチと感動の「再会」を果たしたボルトさんは、上にも書いたようにこのハチを自然保護の象徴にしようと言ってくれていますから、ここを拠点にして(?)インドネシアでウォレスオオハキリバチの……ひいては昆虫や自然環境そのものの保護が始まる可能性もあるのですね。

そしてゆくゆくは例のドイツの勇者様とも協力し、世界的に昆虫保護の気運が高まっていってくれると……私としては嬉しいのですが………。