センザンコウの親子の撮影に成功?
なにやらイギリスの動物園の人たちがアフリカでセンザンコウの撮影に成功したらしいですね。
映像はいくつかあるようですが、撮影されたのはいずれもオオセンザンコウで、中には親子も混じっているのですね。
撮影したチェスター動物園さんにより今月13日に映像が公開されているのですね。
……私も見ましたが……う~ん、短い……?
これはおそらくかなり貴重な映像なのでしょう。
そもそもセンザンコウ自体かなり珍しい動物ですし、こうして野生の姿をとらえただけでニュースになっているくらいですからきっと短くても当たり前なのかも……?
私も動物園のセンザンコウくらいしか見たことがありませんが、オオセンザンコウはどこの動物園でも飼われていないため、野生のものを撮影するしかないようです。
センザンコウとは
ところで、そもそもセンザンコウとは
動物界-脊索動物門-脊椎動物亜門-哺乳綱-真獣亜綱-真獣下綱-ローラシア獣上目-センザンコウ目(有鱗目)-センザンコウ科
に属する哺乳動物で、世界には
Manis属(センザンコウ属)
Smutsia属(和名不明)
Phataginus属(和名不明)
の3属、合計8種が生息しており、うち4種がアフリカ原産なのですね。きつねも初めて知りました。
オオセンザンコウは「Smutsia属」に属しており、学名を「Smutsia gigantea」といいます。
オオセンザンコウに限らずセンザンコウはどの種類も鱗に覆われたていて、どことなくアルマジロをほうふつとさせますが、アルマジロは
動物界-脊索動物門-脊椎動物亜門-哺乳綱-真獣亜綱-真獣下綱-異節上目-被甲目-アルマジロ科
と「異節上目」に属していますので、むしろアリクイに近い仲間ということになります。
かんじんのセンザンコウは「ローラシア獣上目」なので、どちらかというと馬などの奇蹄目、ウシ、ブタ、クジラなどの鯨偶蹄目、イヌ、ネコ、キツネなどのネコ目、コウモリであるコウモリ目に近いのですね。
……あんな見た目で!
またポケモンが好きな人の間ではアルマジロ、センザンコウともに懐かしの初代から今の今まで登場するキャラクターである「サンド」と「サンドパン」のモデルになっていることでも知られています。
この2種類の関係は「進化前」と「進化後」ですが、おそらくアルマジロとセンザンコウの見た目や、体を丸めて防御するという習性が似ているため、このような設定になったものと思われます。(アルマジロで体を丸めることができるのはミツオビアルマジロ属だけですが……。)
……ですがなぜに分類が「ねずみポケモン」なのか……いまだに解せないのですね。
……それにしても、ウロコがある哺乳類だなんて……まるで伝説の動物「麒麟」を思わせるのですね。
きっと麒麟もセンザンコウ目に属しているに違いありません。
これはビールの缶を見る目が変わってしまいそうなのですね。
また例の如く哺乳類の「目」には「簡単な名前(動物の名前)」と「難しい名前」とがあり、センザンコウ目は別名「有鱗目」とも呼ばれますが、これでは爬虫類の方の「有鱗目」(ヘビやトカゲの仲間)と見事に被ってしまうため、私は「センザンコウ目」と呼ぶことにします。
なんにせよセンザンコウはこの鋭いウロコを使って身を守るのですね。
体を丸めると盾になるだけでなく、尻尾を振り回すことでステゴサウルスの如く敵を撃退できる……らしいです。
……ですが、この「ウロコ」が曲者なのですね。
センザンコウ……今や絶滅危惧種となっており、当然の如くワシントン条約により保護されてはいるのですが……密猟と密輸が後を絶たちません。
……その原因はどうやらこの「ウロコ」にあるようです。
ウロコに薬効……だって!?
どうにもセンザンコウ……薬になると言われているようです。
その肉は食用となり、また皮は革製品の材料になるのだそうですが、ウロコはなんと漢方薬やお守りとして重宝されているのですね。
……肉……美味しいのだろうか。
……まぁ、味はともかくとして、とりあえず食べられるのでしょう。
革製品……もまぁそうなのでしょう……たぶん。
……ですが漢方薬……というのはかなりアヤシイ感じがします。
どうやらウロコは乾燥させて火であぶって使うらしく、このような薬効があるらしいのですね……。
- 惚れ薬
- 膿を出す
- 母乳の分泌を促進する
- 月経を促進する
なので、
腫れものや母乳不足、無月経、リウマチ、関節痛、はてはぜんそくや偏頭痛にまで効果があると言われているようですが……
……これ、本当に効くのかなぁ……。
ちなみに鱗の主成分はタダのケラチンらしいです。
ケラチンといえば動物の毛や爪、ウロコ、くちばしなどの成分なのですね。
つまり、センザンコウのウロコは普通の動物の毛と変わらない成分でできているのですね。
……ますます怪しくなってきました……。
センザンコウのウロコを飲むより、自分の爪をあぶった方がいいんじゃ……。
ですがこれらの目的によってセンザンコウは現在もなお密猟・密輸され続けているのですね。
……そうまでしてみんなセンザンコウが食べたいのだろうか……。
……珍味?
……鮭とばでいいじゃん。
また革製品に関してもそこらへんの牛革その他便利な革でいいじゃないかと思います……。
ウロコのあとが作り出す独特の模様が良いのかもしれませんが、わざわざ希少動物を使う意味がわかりません。
もはや意地を張って「ブランド」に固執しているとしか……。
それにウロコって……どこからどう見ても眉唾物にしか見えないのですが……。
今どき腫物や無月経に効く薬なんて普通に流通しているのだからこんな希少動物をわざわざ密猟する必要性を感じません。
で、獲りすぎた結果、絶滅危惧種に。
身を守るはずのウロコのせいで狙われるなんて……
……何なのでしょう、この怪現象は。
結局効果は無いらしい
それで、肝心のウロコの薬効なのですが、専門家の話によると「科学的根拠はない」のだそうです。
………やっぱり無いんじゃん!!!
ですが買う人がいるのも事実で、どうやら売る側も「効果があるのかは知らないが、売れるから売る」というようなスタンスのようです。
それではあまりにも無責任ですが……まさか本気で病気の人を治せると思っていたりして……。
こ、これは………。
…………双方に非がありますね。
自分や家族や友達が病気になった時、伝統の秘薬に頼りたくなる気持ちはわからなくもないですし、たとえ眉唾でも少しでも治せる可能性があるのならそれに賭けたくなるのも人情だとは思います。
ですが……今どきこのような科学的根拠のない効果を信じ込むのはいかがなものか……。
それがともすれば野生動物の絶滅を招くかもしれないということを知らないのだろうか……。
みんなどうしてこのような迷信をまことしやかに信じ込んでしまうのだろうか……この情報の時代に。
根拠のわからないものを信じるだなんて、そのような危なっかしいこと、きつねには到底真似できません。
……しようとも思いませんが……。
ですがおそらくわれわれが「そのウロコ、効果ありませんよ」「その病気を治すにはこちらの薬をどうぞ」などと言ったところで、迷信に惑わされている人たちはかたくなにその真実を信じようとしないのだろう。
ちょうど今の日本において、自らはバブル期の好景気の恩恵にあやかって実力以上に荒稼ぎし、いまだにそれを「根拠」に「正社員になっておけば一生安泰」などという幻想的な迷信を信じ続けている世代の人たちに対して、若い人たちがどんなに「そんなのはもう幻想だ、あなたの時代はそれでよかったのかもしれないが、今は違う!」などと言ったところで聞く耳持たず、むしろ彼らは相変わらず「お前たちも正社員になりなさい。それ以外の道は許さん」と時代遅れで的外れなアドバイスというかほぼ命令をし続けてくるのと同じように。
こ、これは………!!!
……まさに「バカの壁」……なのですね。
ウゾダドンドコドーン!!!
……自分の信じていたことを否定するのは確かに勇気がいりますが、そこまでかたくなに拒むほどのことでしょうか。
むしろ「今日の常識」が「明日の非常識」になるのはごく当たり前のことですし、そもそも科学というものはそのようにして進歩してきたはずです。
新しい理論が登場し、今まで信じられていた理論が実は間違っていたということがわかると、科学者たちは皆こぞって新しい理論(正しい理論)を支持するようになるのですね。
なんだかドライですが、これこそが人類の健全な進歩のために必要な考え方であり、これが無ければ間違った方向に行ってしまうということは既に歴史が証明してくれています。
歴史オンチのきつねですら知っているのですから間違いありません。
センザンコウ含め今まさに進行し続けている「6度目の大量絶滅」を「complete!」してしまってからやっとそのことに気付くほど人類は愚かな種ではないはずです。
みんながちゃんと「センザンコウのウロコに薬効なんて無い」と知れば、誰も買わなくなりますし、結果として密猟もできなくなります。
やはり大切なのはみんなが生き物に対して正しい知識を持つことなのだと思いますし、みんなが自分から学ぶことができないのならお上か誰かが教育でなんとかするしかないと思うのですね。
たとえそれが自分の信じていたことを否定する内容であったとしても。
一刻も早くみんなが正しい知識を学べるようになり、センザンコウ、その他多くの「いんちき薬のために密猟される動物」たちが安心して暮らせる世界が来ることを願います。
………手遅れになる前に……。