きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

人類誕生のカギ? ホヤがいろいろと面白い!

ホヤが頭から離れない

最近ホヤがどうにも気になるのですね。

いや……厳密に言うとたぶん2年くらい前から気になっていたのですが、解剖学と分類学に加えて古生物学(?)を学ぶようになってからさらに気になるようになってきたのですね。

おそらく進化を意識するようになってきたせいだと思われます。


……なんだかいきなりマニアックな話になってきてしまいました。

たぶん大体の方が「何言ってんだコイツ!?」と思われたことと思います。


……ですが!
敢えてここで強調しておかなければなりません……ホヤというのはわれわれ人間やキツネを含む脊椎動物誕生の謎を探る上でひじょうに重要な手掛かりとなる生き物なのですね。


今月1日の「チコちゃんに叱られる!」で現在小惑星リュウグウ上空にいる探査機「はやぶさ2」が紹介され、「はやぶさ2」は人類含める地球の生命誕生の謎を探るために宇宙に行ったという話になったのですね。

そしてその目的を知った女優の田中美佐子さんが、「人間って私、ホヤからだと思うの」と発言し、チコちゃんに「ホヤなワケないやろ!」とツッコまれていました。


……おそらく多くの方がチコちゃんと同じように考えたと思うのですが、私は田中さんの発言、あながち間違いではないと思うのですね。


とりあえず、なぜホヤが脊椎動物誕生のカギを握っているのか……それにはまずホヤがどういう生き物なのかを先に知らなければならないと思います。


と……いうわけで!
まずはホヤについて簡単に書いてみるのですね。


脊椎動物誕生の鍵を握る?ホヤとは

ホヤというのは、

動物界-脊索動物門-尾索動物亜門-ホヤ綱

に属する動物の総称で、「ホヤ」という名前の動物がいるわけではないのですね。

ですが日本語で単に「ホヤ」といった場合は、普通は「マボヤ」という種を指すようです。


マボヤは東北を中心として食用に養殖もされていて、そのお味もなかなかのものなのですが、ここではとりあえず「生き物としてのホヤ」について書きたいので、「食べ物としてのホヤ」には触れないことにします。


とりあえず、「ホヤ綱」では漠然としすぎていて解説のしようもないため、以下「マボヤ」について書いていくのですね。


マボヤは

ホヤ綱-マボヤ目-マボヤ亜目-マボヤ科-マボヤ属(Halocynthia属)

に属するホヤで、学名を「Halocynthia roretzi」というのですね。
同じマボヤ属の「Halocynthia aurantium」もまた、マボヤと並んで「アカホヤ」という名前で食用にもなっています。


……綱だの属だの分類階級が今日もまた出てくるのですね。
やはり生き物と分類階級は切っても切り離せない関係にあるようです。

もはや私のブログではお馴染みの用語となりつつあるのですが、知らない方も多いかもしれません。
分類階級に関してはこちらの記事にざっとまとめてありますので興味がある方はどうぞ!

blog.kitsune-vetulicola.net

 

なんにせよ、ホヤ綱の動物というものは海底の岩などにくっついて生活するいわゆる「固着性」の生き方をするのですね。

つまり、一旦海の底にくっつくと、一生そこから離れずにまるで植物のように「生えて」暮らしていきます。

マボヤはその外見から「海のパイナップル」などとも呼ばれており、またそのように「生えて」いるさまからどうにも「植物」であると誤解されるようなのですが、れっきとした動物なのですね。

また、幸いにも「動物」と見なされたとしても、「頭」から突き出た2本の管から水を吸ったり吐いたりして呼吸をしているさまからか「貝の仲間」だと思われることがあるようなのですね。
実際つい百数十年前までは専門家の間でも「軟体動物門」つまり「貝の仲間」として分類されていたようです。

……ですが、ホヤは貝ではありません。
発生学を研究していたロシアの生物学者、アレクサンドル・コワレフスキーさんが1866年に両者は全く別系統の生き物であるということを発見しています。


……さて、これが問題なのですね。


上にごくさらっと「動物界-脊索動物門」と書いたのですが、これがそもそも大いなる発見だったのですね。


脊索動物門というのは「体の中に『脊索(せきさく)』と呼ばれる1本の芯が通った動物」のことなのですね。
この「脊索」の「上」には中枢神経が通り、「下」には内臓があるのですね。
そして「左右」には筋肉があり、自在に曲げることができるのですね。


……なんだかどこかで見たことのあるつくりですね。


そして脊索動物はこの「脊索」のタイプによって、大きく以下の3つに分かれるのですね。

  • 頭索動物亜門(頭の方に脊索がある)
  • 尾索動物亜門(尻尾の方に脊索がある)
  • 脊椎動物亜門(より進化した「脊椎」を持つ)


……ああ、やっぱり……。


「亜門」……というのは「門」の下の分類階級の名前ですから、とりあえずここでは「脊索動物門にはこの3種類がある」とだけ思っていただければ構いません。
重要なのは、この中にわれわれを含む「脊椎動物」が含まれている、ということなのですね。


脊椎動物

動物界-脊索動物門-脊椎動物亜門

以下の動物……条鰭綱、肉鰭綱、軟骨魚綱、哺乳綱、爬虫綱、鳥綱、両棲綱など……の総称ですから、分類上は「動物界-脊索動物門」まではホヤと同じだということになります。

また進化の順番からすると、初めに脊索動物の共通祖先から頭の方に脊索を持つ「頭索動物」が生まれ、次に残りが「尾索動物」と「脊椎動物」とに分岐したと言われています。


……つまり、尾索動物(ホヤ)と、脊椎動物(われわれ)は系統的に見れば「きわめて近い間柄」ということになるのですね。


事実、ホヤはその植物のような形や生き方からは想像もできませんが、生まれた直後はサカナともオタマジャクシともいえるような姿をしているのですね。
もちろんひれや脳を持ち、原始的ですが眼や鼻(嗅覚のセンサー)、耳石(水平センサー)もあります。

これらを駆使し、卵から孵った直後のオタマジャクシ幼生は海の中を泳ぎ回り、どこかくっつけそうな場所を探すのですね。


変態しないと、食べられない。

無事にくっつける場所を見つけたオタマジャクシ幼生は、その場所に頭の先っぽ……ふつうのオタマジャクシの「口の部分」をくっつけて固着するのですね。
その後「変態」し、尻尾や眼が無くなり、体の上に「口」が開いてお馴染みのあのホヤの形になっていきます。

ただ、この間は時間との勝負なのですね。

というのも、オタマジャクシ幼生には口が無く、このままの姿では物を食べることができないのですね。
そのためさっさといい感じの場所を見つけて変身し、一刻も早く「口」を開けなければスタミナ切れで死んでしまうのですね。


……なかなか決断を下せない優柔不断な子は苦労しそうです。

 

無事にくっつき、変態も終わった後はひたすらに海水を吸い込んでは吐き出して呼吸し、ついでに水中の有機物をこしとって食べるという生活が始まるのですね。

なんだか以前書いたカキの生態にそっくりですね。


またホヤは体の殆どが咽頭……つまり、「のど(兼えら)」になっており、一度にかなりの量の水を取り込むことができるようです。

こののどは細かい穴が開いて網状になっており、またその周りには水が通るスキマがあって水を吐きだす管に繋がっているため、のどはまるで急須についた茶こしのように水中の食べ物をろ過することができるのですね。
この茶こしがある限りまるで海水は栄養満点のスープのようなもの……。
スープの中に住んでいる限りホヤは食べ物に苦労はしなさそうですが……


……これだけの生活……生きてて楽しいのかな……。


いや、そもそも楽しいとかそういう感情は無いのかもしれない……。

特に動くわけでもなく、殻を閉じるわけでもなく、ただただ空気清浄器のように海水をろ過しているだけ……。

文字通りただそこに存在しているだけの生き物なのですが……そこがいいとおもうのですね。


YouTubeのホヤ動画、知らない情報が出てくる出てくる……

……いろいろとマニアックなことを書いてしまいました。

きつねはホヤオタクなのかと疑われてしまいそうですが、実は私もホヤのごく一部しか知らないのですね。

……これらの知識ももちろんごく一部です。


あああ……いかぬ……圧倒的に知識が足りぬ!
これではあまりにも物足りない……。

何かよい発生源は無いものか……論文以外で!


などと思っていたところ、さらに輪をかけて知識をもたらしてくれそうな動画があったので見てみたのですね。


こういうマニアックな動画も探せば見つかるのがネットの不思議なのですね。
需要あるのか知らん。

とりあえず、2つぶんリンクを貼っておくのですね。

こちらは平成初期の香りがする動画です。

www.youtube.com


またこちらは昭和の香りプンプンです。

www.youtube.com


両方とも案の定ですがマボヤについて解説していました。


……丁度いいや。


で、複合してみた結果……いろいろと興味深いことがわかりました。


「昭和の動画」では産卵に始まり大人になるまで、ホヤの一生を割とわかりやすく解説してくれているのですね。


ホヤの発生

まず、ホヤは雌雄同体なので繁殖期になるとひとりで卵と精子を同時に排出するのですね。
受精の確率を上げるため、群れ全体で同じタイミングで産卵・放精をするのですね。

……卵と精子を一緒に出したら自分の精子卵子が受精してしまういわゆる「自家受精」が起こりそうなものですが……不思議とそうはならないようです。

……どういう仕組みなのかはよくわかっていないそうですが……一体どういう仕組みなんだ!?

いや、昭和の動画の中でこういわれているので、平成も終わりを迎える現在時点ではもう仕組みも解明されているのかもしれない……?

などと淡い期待を抱きつつも、細い線香の煙のような卵と精子が水中に漂うさまはとても神秘的なので見惚れてしまうのですね……ほやほや。


また受精から48時間でオタマジャクシ幼生が生まれるのだそうですね……早い!?


オタマジャクシ幼生の変態

動画ではオタマジャクシ幼生が海底の岩などにくっつくと、30分ほどで尻尾が本体に吸収され、丸い形になる、とあります。

ここから変態を開始し、「第一形態」から「第二形態」になるわけなのですね。


凄い……まるで進化だ!

なんだか神々しい音楽が聞こえてきそうです。

やはりオタマジャクシというものは種を問わず「第一形態」の王道なのですね。


ただ、変態には10日以上もかかるのですね……。

受精した卵がわずか2日で幼生になることを考えると……変態の方が時間かかるんじゃん!

一体ドコに力を入れているのだろうと言いたくなるのですが、そういえばよくよく考えるとこれはなんだか矛盾している気がします。

せっかく幼生は脊索を持っているのに……敢えてそれを無くしてわざわざ10日もかけて果物みたいな形になるって……。
しかも尾索動物の脊索の象徴である(?)尻尾は30分でおじゃんになるって……。


……ホヤにとって「脊索」って一体何なのだろうか……。

……凄い……まるで退化だ。


循環器系について

また、ホヤの循環系は「解放血管系」なのですね。

つまりサカナや人間よりも、エビや昆虫などに近い構造になっているのですね。

心臓はシンプルな円柱形をしていて、「静脈側」から吸い込まれた血液はそのまま「動脈側」の口から溢れだし、体中のスキマというスキマを流れて酸素や栄養を運ぶようです。

また、昆虫の心臓は内部に弁を持っていて、常に後ろから前へと拍動し、「お尻側から吸った血液を頭側から吐き出す」仕組みになっていますが、ホヤの場合は心臓の拍動の向きが定期的に逆転するのですね……。

その際一旦心臓が止まり、また再開した時には逆向きに動いているようです。

よって動脈と静脈の区別は無く、「心臓弁」にあたるものも無いのでしょう。


……ドンな体だよっ!


などとツッコミを入れたくなってしまいますが、おそらくこうして定期的に血流の向きを入れ替えることにより、心臓の「前側」と「後側」、両方にまんべんなく血液を送ることができるのだろうと思われます……たぶん。


……交流電源ですか!


なんだか脊椎動物から見ても昆虫から見ても理解不能な謎の機構ですが、それにしても一度止まってから逆転するって……。

地球の磁場とおんなじですね。


固着後のホヤ

また動画の途中では固着直後の小さなホヤが出てきますが……本当に小さいです。

こんなに小さなホヤ、うっかりごみと見間違えてしまいそうですね。


見ろ!ホヤがゴミのようだ!


また最後の方では味が珍重されて東北地方では昔から養殖されてきた……との解説が入ります。

確かにホヤは美味いしいと思うのですが……味が珍重されていたのですね……見た目とか食感ではなくて。

……一体どうやってその味にたどり着いたのだろうか。
ウニとかヒトデとかにも言えることですが……アレを最初に食べた人、すごいですね。


また、意外なことに実験動物としても重宝されているのですね。

そもそもが脊椎動物無脊椎動物とをつなぐ「原索動物(頭索動物と尾索動物を合わせたもの)」であり、進化の研究にも欠かせない存在なのですね。


……やはりそうか!

やはりホヤは脊椎動物誕生のカギを握る重要な生き物だったのですね!

きつね、前から知ってはいましたが、この動画で確証が持てました!


食用に養殖されているだけに、サンプルには困らないのですね。
お店で買えるし……。


最近ではこの「原索動物」のさらに前の段階の生き物、もしくはそれらと関係があると考えられている生き物である「半索動物(はんさくどうぶつ)」に注目が集まっているようですが、ホヤの需要もまだまだあるのでしょう。


だが食べ物としては……賛否が分かれる

長々と「生き物としてのホヤ」について書きましたが、ここで「食べ物としてのホヤ」についても少し書いておこうと思います。


ホヤは「酒の味を変える」とも「酒を旨くする」とも言われ、通の間ではお酒のおつまみとして珍重されているのですね。

……私もあれはなかなかの美味だと思うのですね。

黄色くつややかな身は見た目こそなんだかつぶ貝を彷彿とさせ、コリコリとした食感が楽しめそうなのですが、実は意外と軟らかいのですね。

そして舌に乗せるとなにやらキュウリともメロンともつかない形容しがたい不思議な甘みと磯の香りが広がって……う~ん、説明できません。

ともあれホヤは日本酒との相性が抜群なのですね。
食べ過ぎ、飲み過ぎには要注意、かもしれません。

ただ、ミネラルの一種であるバナジウムという金属が大量に含まれているためか元々独特の香りがある上に、鮮度が落ちるとそれが臭みとなり、味も悪くなってしまうため、好き嫌いがはっきりと分かれるのですね。

劣化したホヤは「ガソリンの臭いがする」とも「金属の臭いがする」とも言われていますが、私の言葉で表現するなら「工場の味」がするのですね。

まるで口に入れた途端、昭和の高度経済成長期に恥も外聞もなく有害なガスや液体を垂れ流していた工場が舌の上で稼働を始めるようです……。

まさに口の中で公害をまき散らし、舌の上に深刻なる汚染区域を築き上げてしまうのですね。

やはりホヤは新鮮なうちに……できれば産地で頂くのが良いようです。


また、一番の定番は採れたてのホヤをそのままさばく「お刺身」のようですが、私はあの作業はどうにも苦手なのですね。

新鮮なものはさばく段階でまだ生きていたりしますし、本体から突き出した「水を吸う管(入水孔)」と「水を吐きだす管(出水孔)」、2つの管を切り落とし、包丁で殻を縦に半分に切って割る、という手順はホヤを気持ち悪いと思う人にとっては卒倒しそうになるものらしいです……。

ですが私が気にするのはそこではなくて、単に「殻を半分に割る」というところなのですね。

……半分になったホヤを見ていると、眼も持たず、動くこともできない無抵抗な動物を真っ二つにして殺してしまったという罪悪感が奥の方から込み上げてきていたたまれなくなるのですね……。
やはり動物そのものの姿をしているものを真っ二つに切るのがよろしくないようです……。

きつねが一体何を言っているんだとツッコミが来そうですが、おそらく私にはむき身の方が合っているのでしょう。


なんにせよ、「人間がホヤから」という発言をしたということは、きっと田中さんはホヤが脊椎動物の原始的な姿に近い動物であるということを知っていたに違いありません。
おそらく他の生き物にもかなり詳しいのではないかと思われます。

あ……こ、これは……。
もしかしてきつねとお友達になれるかもしれない……!?

とりあえずきつね、一体なぜにホヤだけでこれだけの文字数を書けるのか、自分でも不思議なくらいです……。