大量絶滅……だって?
今日は少々マニアックな話を書こうと思うのですね。
どうにも自分は生物がらみの記事を書くのが好きだと気付いて以来、このテのことばかり調べているのですね。
そしてそういうことを調べているとこういうワードがよく出てくるのですね。
大量絶滅というのはその名の通り「たくさんの生き物が絶滅する」ことですね。
古生代のカンブリア紀に始まり今に至るまでの間に、地球上では多種多様な生き物が生まれており、それぞれの地質時代によって生態系が幾度となく作り変えられてきたのですね。
そしてその生態系の改変には、この大量絶滅が絡んでいたのですね。
……つまり、ある時代に存在していた生態系の殆どが何らかの原因によって絶滅すると、生き残った生き物たち……大体は今まではマイナーだったもの……が中心になって新しい生態系が生まれるのですね。
……要するに、「地球の主人公」が交代するのですね。
「第四紀」と呼ばれる時代である現在は……というか、現在でこそ、地球は哺乳類を中心とする「哺乳類の惑星」となっていますが、実は過去に幾度となく「地球の主人公」は変わっていました。
そしてその度に何かしらの大量絶滅があったのですね。
今日はこの大量絶滅について調べていくことで、遠い歴史のかなたに消えていった過去の地球生命たちに想いを馳せるとともに、地球の未来について考えていこうと思うのですね。
記録が残されている時代の区分
まず、前提として……。
地球が誕生してから今に至るまでの歴史は、いくつもの「地質時代」に分かれているのですね。
化石などの生き物の記録が残っており、今から遡って当時を知ることができる時代を「顕生代」と呼びます。
それより昔は記録がないため、どのような生き物がどんな暮らしをしていたのか、それを知るすべがないのですね。
なんにせよその「顕生代」は大きく分けると「古生代」「中生代」「新生代」の3つの「代」からなり、それぞれの代がまたいくつかの「紀」に分かれるのですね。
おそらく「ジュラ紀」「白亜紀」などの名前はみなさん聞いたことがあるでしょう。
恐竜さんたちが生きていた時代の名前なのですね。
1つの「紀」はだいたい数千万年ほどで、それぞれこのようになるのですね。
(下に行くほど最近になります。)
古生代
カンブリア紀 5億4200万年前~4億8830万年前(5370万年間)
オルドビス紀 4億8830万年前~4億4370万年前(4460万年間)
シルル紀 4億4370万年前~4億1600万年前(2770万年間)
デボン紀 4億1600万年前~3億5920万年前(5680万年間)
石炭紀 3億5920万年前~2億9900万年前(6020万年間)
ペルム紀(二畳紀)2億9900万年前~2億5100万年前(4800万年間)
中生代
三畳紀 2億5100万年前~1億9960万年前(5140万年間)
ジュラ紀 1億9960万年前~1億4550万年前(5410万年間)
白亜紀 1億4550万年前~ 6600万年前(7950万年間)
新生代
古第三紀 6600万年前~2303万年前(4297万年間)
新第三紀 2303万年前~ 258万8000年前(2044万2000年前)
第四紀 258万8000年前~現在(258万8000年間)
この中のいくつかはこの後登場しますが、そのほかは特に関係ありません。
とりあえず大事なのは、生き物が多様化していた時代は全部で12個の「紀」があるのですね。
ビッグファイブ
これらの12この時代の中で、今まで5回の大量絶滅があったのですね。
……厳密に言うと細かいものを含めればもっとたくさんの絶滅があったのですが、一番規模の大きな5つをまとめて「ビッグファイブ」などと言ったりします。
……名前が少々ダサいことはこの際気にしないようにしましょう。
それぞれの大量絶滅は
の5つの時代の末期に起きているのですね。
白亜紀末のものとデボン紀末のもの以外、原因はよくわかっていないようですが、大規模な火山活動ではないかと言われているのですね。
とりあえずこのままではイマイチピンとこないので、順を追って書いていきましょうね。
1.オルドビス紀末(4億4400万年前)
最も最初の大量絶滅。
「オルドビス紀(Ordovician Period)」とその次の時代である「シルル紀(Silurian Period)」の間に起きたことから「O-S境界」の大量絶滅と呼ばれているようです。
原因は「6000光年以内の近所の星が超新星爆発を起こし、放射線の一種であるガンマ線が大量に放出され、地球を直撃した」とも「火山噴火によって地球が寒冷化した」とも言われています。
……要するによくわかっていないのですね。
なんにせよこれにより地球上の生物の85%が絶滅し、「地球の主役」のバトンが頭足類をはじめとする軟体動物から節足動物に受け渡されたのですね。
絶滅したのは三葉虫類、腕足類、ウミリンゴ類、サンゴ類、フデイシ筆石類、コノドント類の大半……なのだそうです。
……あれ?
………軟体動物は……?
……まぁいいか。
それにしても絶滅した動物たち……なんだかよくわからない生き物ばかりですね。
とりあえずものすごく簡素ですが説明を書いておきますね。
三葉虫は言わずと知れた「節足動物門-三葉虫綱」に属する節足動物ですね。
恐竜時代に恐竜とセットで登場するイメージがありますが、実際は恐竜時代(三畳紀から先)の直前のペルム紀まで生きていた動物なので、恐竜との共存は史実ではあり得ませんでした。
ダンゴムシを複雑にしたような姿をしており、背中の甲羅が真ん中の「中葉」と左右の「側葉」の3つに分かれているため「三葉虫」と呼ばれるのですね。
(ダンゴムシは複雑なようですが三葉虫と比べると遥かに簡素な作りをしています。進化の過程で無駄が省かれていき、よりシンプルなデザインになったものと思われます。もちろん三葉虫がダンゴムシに進化したわけではありませんが……。)
また大繁栄したグループの1つでもあり、既に1万種以上が確認されているのですね。
甲羅が丈夫な炭酸カルシウムでできているため、化石に残りやすいというのもあるのかもしれませんが……。
体はかなりたくさんの体節に分かれていて、ムカデのようにそれぞれの節に1対ずつの足(付属肢)がついています。
……きつね、最近「トリアルツルス」という三葉虫のフィギュアを手に入れて初めて裏を見たのですが……足の数はムカデもびっくりするほど多いのですね。
現在の節足動物は大きく分けて「甲殻亜門(エビ、カニ等)」「鋏角亜門(サソリ、クモ、カブトガニ等)」「多足亜門(ムカデ、ヤスデなど)」「六脚亜門(昆虫など)」の4つに分かれますが、三葉虫はそれらのどこにも属さない独立した第5のグループらしいのですね。
大変に魅力的な動物だと思うのですが、既に絶滅したグループなので、今ではどこの海を探しても見つけることはできません。
……残念です。
腕足類は二枚貝に似ていますが別物な動物で、「腕足動物門(わんそくどうぶつもん)」というグループに属しているのですね。(二枚貝は「軟体動物門」です。)
体の左右に殻を持つ二枚貝とは違い、腕足類は上下……つまり背中側とお腹側に殻を持っています。
貝殻の後ろの蝶番の部分から「肉茎(にくけい)」と呼ばれる貝の足のような、尻尾のような器官を出して動き回ったり岩や海底にくっついたりするのですね。
また貝殻の縁にびっしり生えた細かい触手を使って水流を起こし、水と一緒に有機物を貝殻に取り込んで食べるのですね。
カンブリア紀に繁栄しましたが、現在ではマイナーとなってしまったグループなのですね。
ですが細々と、確実に命を繋いでおり、現生種では「シャミセンガイ」などが知られています。
……お寿司にしたら美味しいのだろうか……。
肉茎の部分とか、なんとなくおいしそうな感じがするのですね……。
ウミリンゴ類はウニやヒトデなどと同じ「棘皮動物門」に属する動物です。(棘皮動物門-ウミリンゴ綱。)
真っ直ぐ伸びる茎のようなものの先にリンゴのような丸い胴体、そしてそこからさらに放射状にいくつもの触手が伸びている……というなんとも奇妙な姿をしています。
この茎の先を海底にくっつけ、触手を使ってえさを集めて食べていた……と考えられているのですね。
このウミリンゴ類もまた絶滅種なので、残念ながらもう会うことはできないのですね……。
サンゴ類というのは、言うまでもなくサンゴの仲間です。
サンゴとは「刺胞動物門」という「触手に毒針を仕込んだ袋を持つ動物」の仲間で、体の下に石灰質の「骨格」を作り出す動物。
……要するにクラゲやイソギンチャクの仲間で、石灰の土台をつくるやつを「サンゴ」といいます。
サンゴについてはこちらにそこそこ詳しい記事を書いておきましたのでよろしければどうぞ……。
フデイシ類(筆石類)は「半索動物門-フデイシ綱」に属する動物なのですね。
名前のとおり当初は「タダの石」と考えられていたのですが、その後の調査で実は動物だったということが判明したのですね。
……石ころに間違えられるなんて……きっとドラえもんの「石ころぼうし」のように影が薄い外見で身を守っていたに違いありません。
半索動物(はんさくどうぶつ)というのはウミリンゴやウニ、ヒトデなどの「棘皮動物」や、我々を含む「脊索動物(せきさくどうぶつ)」に近縁の動物で、現生種では「ギボムシ」などが知られているのですね。
体の中に原始的な背骨である「脊索(せきさく)」の、さらに原始的な姿と思われる「半索」と呼ばれる器官を持ちます。
どうやら半索動物と棘皮動物の共通祖先から脊索動物が枝分かれし、その後半索動物と棘皮動物とに分かれたらしいのですが……ややこしくなるのでその話はまた今度。
コノドント類はあごの無い口を持つ原始的な魚(無顎類)の仲間です。
……要するに、お魚です。
丸い大きな目と開きっぱなしの穴のような口というインパクト抜群の顔をしており、体はウナギのようにニョロニョロと細長いのですね。
クリダグナサスやプロミッスム等が知られており、一部の愛好家の間では「可愛い」と評判なのですね。
「コノドント」というのはこれらの魚の歯の化石で、長い間持ち主が不明だったのですが最近の研究で魚の歯であるということがわかったのですね。
ちなみに無顎類の仲間は現在では「ヤツメウナギ」や「ヌタウナギ」などが知られています。
どうもこの仲間は細長いせいか「ウナギ」を連想させるようです。
(細長くないものもいますが……。)
……さて、次なのですね。
2.デボン紀末(3億4700万年前)
デボン紀後期、「フラスニアン期」と「ファメニアン期」の境に起こったため、「F-F境界」の大量絶滅というようです。
……なぜにここだけ「デボン紀(Devonian Period)」と「石炭紀(Carboniferous Period)」の中間で「D-C境界」ではないのだろうか……。
……まぁいいや。
ダンクルオステウスなどの「板皮類(ばんぴるい)」と呼ばれる「前半身に骨の鎧を着た魚」の仲間や、「甲冑魚」と呼ばれる鎧のような皮膚を持つ魚、その他大勢の海の動物たちが絶滅したと言われています。
原因はどうやら地球が寒くなったことと、海の中の酸素が少なくなってしまったことにあるようです。
……どうやら隕石が衝突したというデータもあるようなのですが、それが原因なのかはわかっていないそうです。
なんにせよここでも地球上の生物の82%が死んでしまったのですね……。
デボン紀は「板皮類」はじめとする魚たちが大繁栄した「魚の時代」だったのですが、この絶滅により「地球の主役」のバトンが魚から昆虫や両生類に引き継がれたようです。
ダンクルオステウスは最大10メートルはあったとされるジョーズもびっくりの巨大な肉食魚で、当時の海の生態系の頂点に君臨していたと考えられていますが、彼らもやはり環境の激変には耐えられなかったのですね……。
3.ペルム紀(二畳紀)末(2億4800万年前)
最も規模が大きく、最も深刻だった大量絶滅なのですね。
「ペルム紀(Permian Period)」とその次の「三畳紀(Triassic Period)」との間にあるので「P-T境界」の大量絶滅といい、これにより地球上の生物のなんと95%が絶滅したのですね。
原因は「地球規模で海岸線が後退して食物連鎖のバランスが崩れた」「超大陸『パンゲア』の形成が大規模な火山活動を引き起こした」などと諸説あるようです。
なんにせよ大気中に大量のメタンが放出された、というのは確かなことのようで、これにより大気の酸素濃度が下がり、生き物たちは呼吸ができなくなってしまったのですね。
……かつては1万種以上もの繁栄を誇っていた三葉虫はこの時にお亡くなりになったようです……。
一度オルドビス紀末の大量絶滅でも三葉虫は深刻なダメージを受けているので、ペルム紀末の環境の変化により最後の希望が消えてしまったのでしょう。
生涯で2回も大量絶滅の被害に見舞われるだなんてなんとも不遇ですが、それだけ長い間繁栄していたということでもあるのでしょう。
古生代最初のカンブリア紀から6つの「紀」を駆け抜け、古生代最後の「紀」であるペルム紀と共に滅びるなんて……まるで「古生代」を地で行くような生き方だったに違いありません。
ありがとう、三葉虫。君のことは忘れないよ。
君が発明した「複眼」は、今や多くの節足動物たちに採用され、愛用されているよ。
君のおかげでみんな高性能な「眼」を手にすることができたんだ。
……あれ、でも三葉虫は別に節足動物のご先祖様というわけではないはず……。
でも今の節足動物も複眼をもっていて……。
……じゃぁ、彼らの複眼は……?
……三葉虫から受け継がれたのではなく、別に発生した可能性も……?
………三葉虫、特に関係ないのかも……。
それじゃぁ三葉虫の立場って一体……。
……などと感傷に浸っている場合ではありません。
この時に絶滅した動物は他にもいるのでした。
ディメトロドンをはじめとする「単弓類」……哺乳類に進化する途中の爬虫類……もこの時多くが絶滅してしまったのですね。
また、「単弓類」の中でも「気嚢(きのう)」と呼ばれる呼吸器官を発達させていたものや、腹式呼吸を可能とする「横隔膜」を持っていたものは酸素が少ない状態でも呼吸ができたため生き残ったのですね。
「気嚢」を持っていたものはその後「恐竜」へ、「横隔膜」を持っていたものは「哺乳類」へと進化していくようです。
……次世代の主役がここに誕生したのですね。
この大量絶滅で、「地球の主役」のバトンは昆虫や両生類から「爬虫類」や一部の「単弓類」へと引き継がれたのですね。
……あれ?
4.三畳紀末(1億9960年前)
これは「三畳紀(Triassic Period)」とその次の「ジュラ紀(Jurassic Period)」の間なので「T-J境界」の大量絶滅というのですね。
アンモナイトの殆どを含めるじつに76%もの生き物たちが絶滅してしまったと考えられています。
原因はどうやら「中央太平洋マグマ分布領域」の火山活動の活発化と関係があるのではないかと言われているようです。
もしくはカナダに衝突した隕石という可能性もあるようです。
……もしかしたら両方だったのかも……?
なんにせよこれらの変動が原因で単弓類や爬虫類も大型のものが多く絶滅し、当時生まれたばかりだった「恐竜」が勢力を伸ばしていくことになるのですね。
……三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3つをまとめて「中生代」いわゆる「恐竜時代」というのですね。
きっとここから恐竜が出世の階段を上っていったのでしょう………これからは俺の時代だ!
ちなみにアンモナイトというのはとても有名なオウムガイに似た生き物ですね。
タコやイカ、オウムガイに同じく「軟体動物門-貝殻亜門-頭足綱」……いわゆる「頭足類」の仲間です。
この仲間はカンブリア紀の海に暮らしていた「ネクトカリス」という小さなイカのような生き物を起源に持つと考えられており、たくさんの足とそれを制御するための発達した神経系と高い知能、また脊椎動物と同じ構造を持つ眼……いわゆる「カメラ眼」を持っているのですね。
貝の仲間である軟体動物と脊椎動物は全く別の系統の生き物ですが、眼の構造がそっくりなのは不思議ですしまた「収斂進化」の良い例なのですね。
なんにせよ頭足綱の下の「アンモナイト亜綱」に属するものをまとめて「アンモナイト」と呼ぶのですね。
(ちなみにオウムガイは「オウムガイ亜綱」なので、アンモナイトとオウムガイは似て非なるグループです。)
5.白亜紀末(6500万年前)
「K-Pg境界」と呼ばれる最も有名な大量絶滅なのですね。
なぜ「K-Pg境界」というのかというと……「白亜紀」を意味するドイツ語「Kreide」と、その次の古第三期を意味する英語「Palepgene」に由来するのですね。
英語では「Cretaceous-Paleogene boundary」というらしいのですが、なんで両方とも英語にして「C-Pg境界」にならなかったのかは謎です。
……先へ進みます。
この時はメキシコのユカタン半島に巨大な隕石が衝突し、当時地球の生態系の頂点に君臨していた恐竜を絶滅させたのですね。
隕石の大きさは10~15キロメートルと推定されており、その衝突エネルギーは広島型原爆(リトルボーイ)の10億倍だとも言われています。
落下の衝撃により大気中に粉塵……つまり、隕石がぶつかって砕けた地面や隕石そのものの欠片が細かい砂となって舞い上がり、その状態が何年も続いたのですね。
これにより太陽の光が遮られ、地表は「終わりのない夜」を迎えて寒冷化。
生態系を支えていた植物は枯れ、それを食べていた草食動物は死に、さらにそれを食べていた肉食動物も死んでいったのですね。
大きな体を維持するのに大量の食べ物が必要だった恐竜は真っ先に犠牲になったようです。
逆に当時はまだネズミほど大きさしかなかった哺乳類は生き延びたのですね。
これにより地球上の生物の70%が絶滅し、「地球の主役」のバトンは恐竜から哺乳類へと手渡されたのですね。
また、先の三畳紀末の大量絶滅では辛くも生き残ったアンモナイトですが、この時の隕石の影響には耐えられなかったようで、恐竜と共に滅んでしまったのですね……。
アンモナイトはオウムガイよりも後に生まれたグループですが、こちらの方が先に絶滅してしまったのですね……。
生涯に2度も大量絶滅の危機にさらされるなんて、なんだか三葉虫に似ていますね。
大量絶滅には恩恵も
長々と色々と書きましたが、これらを見ていると1つ、わかることがあるのですね。
大量絶滅は多くの生き物たちを滅ぼしますが、その一方で多くの新しい生き物たちを生み出すのですね。
これは絶滅した生き物たちが占めていたニッチ(生息の上での居場所)に大きな空白ができるため、新しい生き物がそこに入り込むことで起こるのですね。
……つまり、この役職についていた人がいなくなったので、新しい人が来て後を引き継いだ、ということなのですね、ごく大雑把にいうと……。
白亜紀後期の隕石により恐竜は絶滅してしまいましたが、そのおかげで哺乳類の天敵がいなくなり、その進化が促され、哺乳類を頂点とした現在の生態系と哺乳類である私たちが生まれたのですね。
(現在の生態系の主が何であるかは昆虫だの哺乳類だの細菌だのと諸説ありますが、とりあえずここではややこしくなるので哺乳類ということにしておきます。)
絶滅した生き物たちにとっては不幸なことですが、一方で今までマイナーだった生き物たちには千載一遇のチャンスが訪れることになるのですね。
また、その顔ぶれが変わるだけで結局生態系は回復し、誰かが「地球生命」も「地球の主役」も受け継ぐわけですから、地球全体にとっては(100%の生き物が死滅するようなことが起きない限り)特に問題はないのですね。
……たぶん……。
誰かがいなくなって別の誰かが入ってくるだなんて、なんだか大きな組織の人事異動や世代交代のようです。
いや、きっと地球そのものが、その上に生活する全ての生き物たちで作る大きな組織なのでしょう。
大量絶滅に限らず私たちは何度も絶滅と回復を繰り返しながら、地球の主役……いや、「地球生命そのもの」というバトンを次の世代というか次の種族に渡していくのですね。
こ……これは……。
大きな大きなリレーです……!
結局私たち地球生命はみんな1つの同じ目的のために走り続けているのですね。
たとえ絶滅してしまっても、今の私たちに命というバトンを渡してくれた昔の生き物たちは一緒にこの地球の上で走っていた仲間なのですね。
そこにはもはや種の壁はないのですね。
それどころか属の壁も……いや、もはや門や界、ドメインの壁すらも存在しないのでしょう。
なんというか、これは……。
もはや一つ、なのですね。