きつねとべっつりコーラのブログ。

きつねとべっつりコーラの2匹が、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。生物多め。

あのNHKのAI番組に出てる松尾豊先生の本を読んでみたよ

松尾先生の本

先日NHKさんのAI番組「人間ってナンだ?超AI入門」のシーズン2が、今月の10日からスタートするという記事を書いたのですね。

……つまり、昨日が第1回目だったのですね。

……まだ見ていませんが録画してありますので暇ができ次第見てみようと思います。


……それで、今回の記事もその関連なのですね。
あの記事を書いたあと、しばらくしてこんな本を買ったのですね。

f:id:kurokitsune:20190111224231j:plain


人工知能は人間を超えるのか~ディープラーニングの先にあるもの~」

……なんだか意味深なタイトルです……。

著者を見るとわかると思いますが、「人間ってナンだ?超AI入門」に出演している松尾豊先生の本です。


某サイトで「AI初心者が最初に読むべき本」などというものを紹介していたのですが、その中に含まれていたこともありつい買ってしまったのですね……ブックオフで(松尾先生ごめんなさい)。


どうにか読み終わりましたので今日はこの感想を書いてみようと思うのですね。

読書感想文……苦手だけど!


超AI入門の原作本?

この本では、タイトルにもなっている「AIが人間を超える日が来るのか」ということについて解説しているのですね。

AIに関する一般と専門家との間の認識のずれから始まり、AIのこれまでの歴史の変遷や現状、はてはこれからAIがどのように人間社会に浸透していくのかをわかりやすく説明してくれています。
また最終的には一般で語られている「AIが人間を滅ぼすのではないか」という懸念、いわゆる「AI脅威論」は現実には起こり得ないから気にしなくていいという結論を出しているのですね。

……「AIをわかりやすく解説」……と書きましたが、実際はこれ、事前知識がないといささか読むのは難しいかもしれません……。

私は事前に「人間ってナンだ?超AI入門」のシリーズ1を見てある程度の知識を得ていたため、そこそこ楽に内容を理解することができましたが、もしかしたら全くの初心者の人にとっては難しいかも……?


ですが頑張って最後まで読むと、AIについて様々な「誤解」があったことに気づき、またこれから「AI社会」を有無を言わせず迎えるにあたってどうすればいいのか、そのようなことが色々とわかるのですね。

こ……これは……。

「人間ってナンだ?超AI入門」のコンセプトと全く同じような気が……。

……もしや「人間ってナンだ?超AI入門」の原作本なのではなかろうか……。
実際に「人間ってナンだ?超AI入門」で出てきたフレーズや章タイトルなどが割とよく出てきます。

きっとNHKさんはこの本を基にして「人間ってナンだ?超AI入門」という番組を作成したに違いない。

本なのでビジュアルが少なく、ほとんどが文字ばかりなので、わかりやすさでは「人間ってナンだ?超AI入門」の方が上かも……。
ですが「人間ってナンだ?超AI入門」では触れられていないようなAIの「コアな」事情も色々と書かれているので、そこはおそらく「漫画と小説どっちがいいか」を議論する程度のことなのでしょう。


また、最後の方でAIやわれわれの未来を予測している章があるのですが、そこではAIの発展に伴いこれから進んでいくであろう企業やビジネスモデルの進化を生物の進化になぞらえて説明しているのですね。

……「企業」だの「ビジネスモデル」だの、きつねの苦手な要素がふんだんにつまっていたので、この辺は正直ちょっとわかりづらいと思ったのですが、生物に喩えてくれているのはすごくありがたいのですね。


生物の話になりますが、今からおよそ6億2000万年前のエディアカラ紀に化石に残るほど大型化した多細胞動物は、当時はカイメン動物や大人のホヤのように海の底でゆらゆらしているだけの「植物のような」静かな暮らしをしていたのですね。
つまりこの時の動物はまだ「ただそこに存在しているだけ」であり、活発に動き回ったり他の動物を食べたりなどはしなかったのですね。
生活スタイルも基本的には「海中に漂っている有機物をこしとって食べる」「海底の有機物をかき集めて食べる」という類のもので、そのバリエーションはあまり多くはありませんでした。

生活スタイルのバリエーションが少ないということは、つまり動物自体があまり多様ではないということなのですね。

それがその後、およそ5億4200万年前のカンブリア紀になると、彼らは一気に進化を始めます。
一部の動物は他の動物を食べるようになり、「捕食者」と「非捕食者」の関係が生まれ、今のような「動物的な生き方」が誕生しました。

動物たちが爆発的に多様化していったこの現象は「カンブリア爆発」と呼ばれて有名ですね。
体を硬い殻で覆って武装したり、丈夫なヒレや脚を獲得することにより運動能力を上げたりと、進化にも色々な方向性があったのですが、その現象に一役買っていたのはなんといっても「眼」の獲得なのですね。

史上初めて「眼」を持った動物は「三葉虫」の仲間であったと言われていますが(つまり、地球最古の眼は「複眼」なのですね)、「眼」を持ったことにより、当然ですが視覚情報から周囲の世界を認識できるようになりました。
その結果「眼」からの情報をうまく使って獲物を狩る優れたハンターが生まれ、また狩られる側も「視覚のトリック」を使って相手の目をごまかしたり、トゲで武装するなど「いかにも危険そうな見た目」になって捕食者たちから身を守ったりしたのですね。

また、当然ですが異性との関係にも視覚によって変化が生じます。
つまり、今ではごく当たり前になっている「見た目が〇〇なオスほどメスにモテる」という概念も、この時代に確立したものだったのですね。

また視覚情報や多様で高性能な体を手に入れたことにより、それらを高度に処理する能力も必要になったのですね。

つまり、結果として「脳」が発達していき、カンブリア紀の動物たちはそれまでに比べて格段に「賢く」なったのですね。


さて、話を松尾さんの本に戻しましょう。
この本では昨今のビッグデータの出現により各企業が色々な情報を手にすることができるようになったとあります。
……つまり、「眼」を手に入れたのですね。

そしてその次に起こるのは「脳」の進化なのですね。
ここにAI技術が投入されることによって、産業そのものの構造が爆発的に大きく変わってしまうのではないか……とあります。

AIはそれほど着実に、少しずつではありますが世界に影響を及ぼしつつあるのですね。

……「AIカンブリア爆発」の到来ですね。


……まさかAIの本を読んでいて「カンブリア紀」の「カンブリア大爆発」や「眼の獲得」の話が出てくるとは思いませんでしたが、両者の進化の過程はこうも似ているのですね。

きっと全ての業界における「進化」は、最終的に「カンブリア紀」に帰着していくのだろう。
カンブリア紀」を理解することにより「進化とは何か」の本質が見えてくるに違いない!

こんなことが書けるなんて、松尾先生は生物についても詳しいのですね。
またカンブリア紀に関する本も読んでいらっしゃるのですね。

きっとこの人とならベッツリコーラ含む「古虫動物」の誕生と所属の謎についての話ができるに違いない!
それは無理だったとしても、おそらく少なくとも「バージェス動物群」だの「チェンジャン動物群」だのの話題を振ってドン引きされるようなことはないのだろう。

私個人としては古虫動物などが属するチェンジャン動物群もかの有名なカンブリア紀のアイドルアノマロカリスカナデンシスが属するバージェス動物群も素晴らしく個性的な動物たちであふれており両方とも非常に魅力的に感じるのですがこのような話をするとおそらく普通の人たちはドン引きしてしまうのですね……。
……カンブロパキコーペ含むオルステン動物群もいいかと……カンブロパキコーペ。小さな甲殻類ですが顔面がすごい……。初見で「仮面ライダーファイズ」に登場した量産型仮面ライダー「ライオトルーパー」を思い出したのは私だけではないはず……。

……などというマニアックな話をすると話題がどんどん外れていくのでAIの本に戻さなければ。


AIは今後もどんどん発達していき、最終的には人間の知能と比べても遜色ないできばえのものができると考えられています。

一般的にはそれらのAIが人間を征服して滅ぼしてしまうのではないかといういわゆる「AI脅威論」がまことしやかに語られていますが、この本によるとそのようなことはまずないそうです。
そもそも現在の技術ではそこまで高度なAIを作ることはできませんし、もしできたとしてもAIは生き物ではありませんから、「自分たちの生存のために人間を征服しよう」だとか「滅ぼそう」だとか、そういうことは考えないのですね。
百歩譲ってもしそんなことをAIが考えたとしても、そのためにはAIが自らを複製できなければならず、その時点で色々と技術や物理的な壁にぶつかってしまうようです。

なので「AI脅威論」はあまり気にする必要はないのですね。

それよりもむしろAIを使う側の人間にこそ節度が求められているといいます。

本には「AIはみんなのために使うべきであって、決して一部の企業や団体がそれを独占するようなことがあってはならない」とあります。

実際既にパソコンOSやスマホOSはマイクロソフトさんやアップルさんやグーグルさん、CPUはインテルさんにほとんど独占されてしまっており、これは他のメーカーさんからすると迷惑この上ない話なのですね。
ですがAIはこれらとは違ってほぼすべての産業に大きく影響を与え、我々の生活を根本から変えてしまうような技術であるため、もしAIがどこかの企業や団体に独占された場合はそれが他の人たちにもたらす損害はOSやCPUの比ではないようです。

これからの時代、AIが社会の中心となるのだとしたら、AIを制するものは社会そのものを征服したことになります。

高度なAIを持っている企業や団体に富や情報が集中していき、結果として生まれる格差はおそらく修復できないほど大きなものでしょう。
そのためAIを作る方法や処理の仕組みなどは誰でも触れることができるようにしておく必要があるのですね。

人間にそれができるのか、またどうすればそのようにできるのか考えることこそが、AIが人間を征服するかどうかを議論するよりも重要なことなのですね。

AIとは違い、人間は生き物ですから、ともすれば「自分たちが生き残るために自分たちだけでAI技術を独占してしまおう。それで他のやつらが滅びようが何しようが知ったことか」などという邪なことを考えてしまうのですね。

つまり本当の「脅威」はAIではなく、「AIを独り占めしようとする欲張りな企業や団体」なのですね。


本当の脅威はAIではなく人間だった

AIについて順を追って説明してもらうことにより、AIというものは一般的に言われているほど恐ろしいものではないということがわかってくるのですね。
AIに限らず生き物でも外国人でも宗教でもなんでもそうですが、おそらくわれわれは「よく知らない」ものに対して「怖い」と思ってしまうようです。

ですがちゃんと正しい知識を得て理解することによって、実際はそう恐れるものでもないということがわかるのですね。


以前セアカゴケグモが「タランチュラよりも危険な毒を持つ外来グモ」として大々的に報じられたことがありましたが、あれも同じなのですね。
彼らは今のところ生態系に悪影響は及ぼしていないようですし(ジガバチに狩られるなど、他の生き物には「ごく普通のクモ」として扱われているようです……オカダンゴムシと同じかも)、このクモ自体性格は大人しく、積極的に人を咬むことはまずありません(そもそもこちらから掴んだりしない限り、クモが人を咬むことはありません)。
また咬まれると危険なのは「決まった場所に網を張ってじっとしている」メスだけですから、こちらから近づかない限り咬まれることはありませんし、万が一咬まれたとしても、よほどのことが無い限り命に関わるようなことはありません。

そもそも引き合いに出されている「タランチュラ」自体毒性は弱く、咬まれて死んだ人はいないのですね。
クモの毒というのは獲物である昆虫を仕留めるためのものですから、人間を死なせるほど強力である必要はありません。

自然というものは無駄を嫌いますから、そのようなオーバースペックな毒をクモに搭載することはないのですね。

……こういうことをみんながちゃんと知っていればいたずらに毒グモを怖がる必要もないと思うのですが……。

第一クモという生き物はみんながみんな毒を持っているわけですから、毒グモかそうでないかなどという議論そのものが無意味です。
「普通のクモ」が滅多に人を咬まないということはみんな知っているはずなのに、どうして「毒グモ」だと積極的に咬んでくると思う必要があるのでしょう。


AIについてもまったく同じで、ちゃんと理解してしまえばそれほど怖がる必要はないのですね。

むしろ上にも書きましたが、このような素晴らしい技術を「独り占め」や「悪用」されてしまうことの方がよほど恐ろしいことなのですね。

私はできることなら「性善説」を信じたいですが、実際に歴史を見る限りではOSだのCPUだのゲーム機だの、技術というものは一部の企業に「独り占め」されてしまう傾向にあるようなので、「AIは大丈夫」などと楽観的に考えることはできません。
おそらくこればかりはAIうんぬんではなく法的な整備や人々の考え方を変えることでどうにかしていくしかないのですね……。

……本当にそんなことができるのだろうか……。
せめて「独り占め」されたとしても、その団体が「国際的に運営されている中立的な団体」ならば問題はないのではと思うのですが……。


……Java
プログラミング言語で「Java」というのがあるのですが、これはなんと特定の企業ではなく世界中の有志たちによって管理・運営・バージョンアップされているのですね。
これによりJavaの仕様を独り占めしたり、勝手に改変したりする企業が存在しないわけなのですが……AIでも同じことをすればいいのではなかろうか……。

その辺の事情は……どうなのでしょう。


なんにせよ松尾先生という日本トップクラスの専門家の説明でわかりやすくAIについて解説してくれているので、とても説得力があります。
私も色々と目から鱗でした……これで安心してガレージならぬ自分の部屋で「なんちゃってAI」を作ることができます(?)。

この本……AIに興味がある人は読んでみるといいのではないでしょうか。