開かずの横断歩道?
信号無し横断歩道……。
なんか怖いですよね。
渡っていいタイミングがいつなのかもよくわからないですし……。
私の住んでいるところの近くにも一か所あるのですが、道路がせまいうえに車が絶えずビュンビュン行き交っているので、毎回渡るときは結構ドキドキするのですね。
おまけに私が渡ろうと横断歩道の端に立っていてもほとんどの車は止まってくれません。
車が減るのを待っていれば渡れるのですが、混んでいる時はなかなか減りませんし、結果かなり長い時間足止めを食ってしまいます。
外出したり、逆に帰ってきたりするときは殆ど必ずここを通らなければいけないので、毎回このような調子ではなかなかに負担なのですね。
ところが、先日面白いことがありました。
外出した帰りに、例の如くその横断歩道を渡ろうとしていると、お巡りさんのワゴンパトカーが来たのですね。
そして横断歩道の手前で止まってくれたのですね。
当たり前かもしれませんがお巡りさんは毎回こういう時にはちゃんと止まってくれるのですね。
ですが対向車線にはまだこちらに向かってくる車がいます。
せっかくお巡りさんが止まって待ってくれていても、対向車線の車が止まってくれない限り渡ることはできません。
どうなるかと思いながら見ていると、なんと対向車もちゃんと止まってくれたのですね。
くどいようですがこの横断歩道は「ほとんどの車が止まってくれない」はずです。
きっとこの車も、お巡りさんがいなければおそらく絶対に止まらなかったでしょう。
なんにせよせっかく道を開けてくれたのですから、私はお巡りさんと対向車にお辞儀をして、小走りに渡ったのですね。
……ですがふと違和感を感じたのですね……。
……なんで私はこんなに急いで横断歩道を渡っているのだろう。
そもそも横断歩道って「歩行者優先」で、なおかつ渡ろうとしている人がいたら「車は止まらなきゃいけない」のではありませんでしたっけ……。
それに……一体この横断歩道で車が止まる割合ってどのくらいなのだろう……。
いや、そもそもこのような「信号無し横断歩道」で車が止まる割合ってどうなのだろう……。
……なんだかいろいろ気になります。
というわけでちょっと調べてみましょう。
信号無し横断歩道で止まってくれる車の割合
これは……なんと既にデータが出ているのですね。
日本自動車連盟(JAF)さんが調べてくれたようです。
……JAFさん……正式な名前は「日本自動車連盟」というのですね。知らなかった……。
調査は毎年やっているようで、ことしは8月から9月にかけて行われたようです。
全国各都道府県のそれぞれ2か所ずつ……合計94か所の「信号無し横断歩道」を調べたのですね。
渡るタイミングや交通量や制限速度などの条件を同じにした上で、10時から16時までの間、スタッフの方々が止まってくれた車とそうでない車の数を数えたのですね。
……都道府県ごとにやったのですね。
もしかして場所によって止まってくれたりしなかったりするのか知らん。
……と思ったら、どうやらそうらしいのですね。
調査の結果によると、「止まってくれた率」が高いベスト5位はこのようになったようです……。
1位 長野県 58.6%
2位 静岡県 39.1%
3位 石川県 26.9%
4位 島根県 26.5%
5位 鳥取県 26.5%
島根県と鳥取県は便宜上4位と5位ということになっていますが、実際は同じ割合なのですね。
また、全国平均はなんとたったの8.6%だったのだそうです。
それを踏まえたうえで改めて数値を見ると、5県ともかなりの好成績なのですが、冷静に考えてみると1位の長野県ですらも半分程度なのですね……。
それでかんじんの私の住んでいるところはというと……、
…………………2.1%。
……えっ………少ない…………。
全国平均を大幅に下回っています。
これがそのまま当てはまるとするなら……おそらく例の横断歩道の一時停止の割合もこの程度なのでしょう。
……残念です……。
ですがお隣の県は14.4%もあるのですね……何なんだ、この差は……。
……ちなみにワースト1位は栃木県で0.9%だそうです……広島県の1.0%といい勝負だ。こんなんで1位もらったってぜんぜん嬉しくないけど!
横断歩道は歩行者優先?止まらない理由は
しかしなぜこうもみんな止まらないのでしょう……。
横断歩道の手前にあるひし形のマークを見たらすぐに止まれる程度の速さまで減速しなければならず、もし人がいたら止まらなければならない。
……ってみなさん自動車学校で習ったはずなのですが……。
なぜなら道路交通法第38条には
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
……と書いてあるのですね。
ようするに、
横断しようとしている、もしくは横断中の歩行者や自転車がいるときは必ず一時停止をして道を空けなければならない。
歩行者や自転車がいるかどうかよくわからない時は、横断歩道の停止位置の線で止まれるような速度まで減速しなければならない。
……ということなのですね。
つまり、どう考えても「歩行者や自転車が優先」なのですね。
……と、いうことは……!
「歩行者」であるきつねは止まってもらったら堂々と渡ればいいのですね、わざわざ小走りになんてならなくても。
むしろお辞儀なんてする必要もないのですね。
「止まってくれるのが当たり前じゃん!」程度に思いながらふんぞり返って渡っていいのかも……。
しかし……そうするとまた新たなる疑問がわきます。
どうしてこんなにあからさまに法律になっているのにみんなこうも止まってくれないのでしょう。
法律を知らなかったとしても、免許を取る時に自動車学校でちゃんと教わるはずなのですが……。
実はJAFさん、「止まってくれない理由の調査」もしていたのですね……さすが!
これは去年2017年の調査結果なのですが(ことしのは無い!?)、それによると、以下のような理由があるようです。
1位 自分が止まっても対向車が止まらなくて危ない :44.9%
2位 後ろには他の車がいなかったので、自分が通り過ぎれば渡れると思った :41.1%
3位 横断歩道に人がいても果たして渡ろうとしているのかわからない :38.4%
4位 止まったら後ろの車に追突されそう…(された) :33.5%
5位 横断歩道の人に逆に譲られる :19.9%
……なんだ、これ……。
……また、これらは複数回答可能なアンケートだったようで、全ての百分率を足したら100を超えてしまうのですね……なんとまぁ。
急いで渡る必要も譲る必要もない!
……結論を言います。
……といっても見出しの通りなのですね……。
歩行者や自転車は(あくまで法律の上では)信号無し横断歩道で車を先に行かせてあげる必要はありませんし、止まってもらったとしても別に急いで通り過ぎなければいけないわけでもありません。
むしろ止まるべきなのは車の方で、車が止まらない時点でおかしいと考えていいのですね。
……「~してもらって当然だ!」などと思い込むのはきつね、なんだかモンスターカスタマーやクレーマーになったみたいであまり好きではないのですが、こういう場合はそんな風に考えるのも大切そうです。
ですが調査の結果を見るとドライバーさんの方にも止まれない理由があるのですね……2位と3位はなんだか言い訳がましいですが。
ちゃんと法律の通りにみんなが行動できるようにするためには、それらの理由を一つずつ無くしていくしか解決方法がないのかもしれませんね。
……でも「渡ろうとしているのかわからない」って……。
もしかして単純に「手を挙げたら」止まってくれたりして……。