木星でイルカのような雲
……なんだか昨日の記事を引きずっているようですが………。
木星でイルカのような形をした雲が発見されたらしいですね。
「月のウサギ」ならぬ「木星のイルカ」です!
確か何日か前の朝日新聞に載っていたと思うのですが、アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機からの写真に写っていたのですね。
木星の表面には白や茶色の模様があることはよく知られていますが、今回の写真はまさに白い波間を茶色いイルカが泳いでいるような画像でした。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20181207002398.html
見事にイルカの模様ができています。
……こんなにきれいにイルカの形になるのですね!
……イルカじゃなくて魚竜かもしれないけど……。
昨日魚竜の記事を書いたせいかな……。
……いや、むしろ間を取ってこの形状はダンクルオステウスだったりして……?
………なんだか色々と想像を掻き立てられるのですが、まぁいいや。
それにしてもどうしてこのような模様ができるのでしょうか。
ちょっと気になったので調べてみました。
探査機ジュノーが発見
さて、そもそもの経緯なのですが……、正式名称を無人木星探査機「ジュノー」という探査機が、イルカ雲の写真を10月末に撮影して送ってきたのですね。
写真は全部で4枚あるのですね(全部見ましたが)。
この探査機、木星の詳しい成分や重力場、磁場、極地付近の磁気圏、さらには内部構造などを調べるため、2011年8月5日にNASAさんが打ち上げたのですね。
……ちなみに打ち上げには「アトラスVロケット」が用いられたそうです。
名前は木星の英語名「Jupiter(ジュピター)」の由来となったローマ神話の神様「Jupiter(ユーピテル)」……の奥さんの女神様の名前「Juno(ユーノー)」……の「英語読み」にちなむのだそうです。
なるほど木星の傍らに寄り添って観測する探査機(人工衛星)だから奥さんの名前にしたのか……。
さながら財布のひもを握った奥さんが、旦那に寄り添って無駄遣いをしないようその行動を常に監視している恐妻家庭のようです。
きっとユーピテルさんはユーノーさんに尻に敷かれていたのだろう。
また、ジュノーには太陽電池や数々の観測機器のほかに、木星の衛星を発見したイタリアピサ市出身の物理学者、ガリレオ・ガリレイさんにちなんだ記念プレートと、ユーピテルさん、ユーノーさん、ガリレオさんの3体のレゴ人形が搭載されているのですね。
レゴ人形……。
記念プレートはともかくレゴ人形って………。
なんだかこの辺はNASAさんの遊び心が全開な気が……。
と思ったら、どうやら何やらNASAさんとレゴさんが結んだ「教育・アウトリーチプログラム」なるものが関係しているようです……?
これによって探査機にレゴ人形を搭載した……という記事がジュノーの打ち上げ時に既に両社のニュースサイトやツイッターなどで話題になっていたのですね。
……神様夫婦とガリレオさんのレゴ人形なんてあるのですね……どうやら特別な素材で今回のために特別に作った特注品らしいのですが。
よくわかりませんが、搭載に至った経緯にはきっと色々と大人の事情があったのでしょう。
ジュノーは2016年7月5日13時8分に木星を回る楕円形の周回軌道に乗り、そこから木星を定期的に観測しているそうですね。
しれっと書きましたが打ち上げから到着までなんと5年近くもかかっているのですね……。
2021年までの間運用され、使い終わった後は木星の大気圏に突入させて燃やすのですね。
これはどうやらジュノーが木星の衛星にぶつかる可能性を考慮しての処置なのだそうです。
木星の衛星には生命がいるかもしれないと言われていますが、ジュノーには地球の微生物がついているかもしれないらしく、もし衛星にぶつかれば衛星の生態系を地球から来た外来生物で汚染してしまう可能性があるのですね。
なるほど……今話題の「侵略的外来種」問題への対策なのですね。
でもだからといって木星本体に放り込んで平気なのだろうか……。
木星には生命はいないだろうと言われていますが、もしかしたら墜落した探査機経由で入ってきた地球の生物がそのまま居座ってしまったり……はしないかさすがに。
木星はこんな惑星
……さて、探査機についてはいろいろわかりましたが……肝心の謎がまだ解けていません。
どうしてダンクル……じゃない、イルカの模様ができたのでしょうか。
いやそもそも、木星の「あの」部分は一体どうなっているのでしょうか……。
写真を見た限りではあのイルカ、地球の直径の2倍程度の大きさがあります。こんなに大きなイルカがどうして誕生したのか……進化論だけでは説明がつきません。
それを知るためにはまず木星がどのような構造をしているのか、そこから調べてみる必要がありそうです。
まず、木星は言わずと知れた太陽系の第5惑星であり、大きさ・質量ともに太陽系最大の惑星ですね。
また、惑星のタイプとしては地球のように岩石でできた「地球型惑星」ではなく、ガスを主成分とした「木星型惑星」という分類になるのですね。
………そのまんまじゃん。
Wikipediaに載っていた図
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Jupiter_diagram.svg
によると、最も中心にあるのは岩石や氷でできた中心核で、その周りを液体の「金属水素」なる物質でできた層(マントル?)が覆っているようです。
「金属水素」というのはどうやら惑星内部の高圧の環境下で水素が変化して金属的な性質を持つようになったものらしいのですが、とりあえず液体の水素だと思っておけば問題無さそうです。
また外側に行くにつれてヘリウムやネオン、液体の(普通の)水素、気体の水素など、層が幾重にも重なった構造になっているようで、もちろん地表はありません。
強いて言うなら最も表面の液体の水素の部分が地表(というか海面?)と言えそうです。
そして外から見える表面はさらに厚さ50キロほどの雲の層に覆われているのですね。
なんと……星全体を雲海が覆っているのですね……!
そのため外から見える模様の部分はこの雲の層なのですね。
「雲海の星」だなんてなんだかロマンを感じさせる構造ですね。
きっとその下にはまだ見ぬ別の世界が広がっているのですね、きっと。
イルカ模様誕生の秘密はこの雲海にあるようです。
雲海の厚さはちょうど東京から千葉県の館山市までの距離より少し薄い程度なのですね。
木星のサイズから考えるとほとんど表面だけです。
……厚さ50キロの雲海なんて、地球上だったらえらいことですが。
また地球の雲は水の氷や水滴でできていますが、木星の雲はアンモニアの氷でできているのですね。
アンモニア……。
……あのカプチーノみたいなきれいな見た目からしててっきりもっとおいしそうな物質なのだと思っていたのですが、アンモニアなのですね。
……なんかショック……。
ヘンなニオイがしそう………。
せめてメタンにしてほしかった………。
また、この雲、わずかに他の物質が含まれているようで、そのために場所によって微妙に色が違うのですね。
ちょうどコーヒーの中にミルクという他の物質を入れると綺麗な模様ができるのに似ていますが、実際はミルクではなく木星内部から出てきたリンや硫黄などの化合物なのですね……。
様々な物質が混とんと入り混じってできている巨大なガス惑星ですから、きっと雲の内側の惑星本体内部でも複雑な対流や化学反応が起きていて、場所ごとに色々な物質が湧き出しているのでしょう。
地球でも内部は色々と対流を起こしてうごめいていますが、さすがに表面が岩石の殻で覆われているので、雲の動きには直接関係はないのですね。
ですが木星は地球と違って岩石でできた殻が無いため、星の内部の動きが直に雲の動きや模様に影響を与えてしまうようです。
内部の対流や化学反応などの影響で表面に出てきた色々な物質(ガス?)が太陽からの紫外線で変色し、あのように茶色くなるようです。
変色で茶色くなる……。
……なんかきちゃない……。
……ということは白い部分がアンモニアの雲なのかな……。
コーヒーではなくミルクが本体であったか。
いずれにしても、木星は地球の10倍もある巨大な惑星ですが、その割には一日の長さが10時間しかないのですね。
大きさから考えると恐るべきスピードで自転していることになりますが、そのせいで表面は絶えず強い風が吹き、また緯度によって風の方向が変わるのですね。
東、西、上昇、下降……それらの気流が複雑に入り乱れる構造をしているため、あのような複雑な模様ができるのですね。
木星といえばまず思い浮かぶのが巨大な雲の渦「大赤斑」ですが、あれもこれと関係しているのか知らん。
おそらく中身が地球とは違い液体と気体なので、それらの対流の影響と自転の影響とが相まって、地球の常識からすると考えられないような風の流れができるものと思われます。
それによって表面の雲やその模様は色々と刻々と姿形を変えて……うん?
こ……これは……。
……なんだか意外な事実がわかってしまいました。
つまりあのイルカ型の雲の模様もこの複雑な風の流れに由来するもので……、どうしてイルカ型になったのかというと……
……ただの偶然なのですね。
……早い話が、地球の雲が風の影響で色々な面白い形に変化するのと同じなのですね、要するに。
きっと木星の雲も、地球の雲と同じように色々と形を変えるのだろう。なんという意外な事実だ……。
……ちっとも意外じゃない……?
……それもそうですね……。
イメージと違う木星
また、木星の構造は今の所上に書いたように言われてはいますが、実際には詳しいことはよくわかっていないのですね。
今回イルカを発見したジュノーも、その謎を解明するための探査機なのですね。
……あれ……、それじゃぁWikipediaに載っていたあの図は………。
……ただの想像図かよ。
……と、いうことは……、逆に言えばまだ色々な可能性があるわけで、もしかしたらあの雲もアンモニアじゃなくてもっとおいしい物質でできているという望みもまだあるのかも……!
……コーヒーとか。
そりゃないか……。
なんにせよ今回の調べもので、木星という惑星の実態が「予想以上にイメージとかけ離れている」ということがわかりました。
Every day I listen to my heart ひとりじゃない……
の歌の元ネタとなるあの曲のような優雅で美しいイメージを期待していたのですが……アンモニア……。
てっきり木星の大気成分はメタン67%、窒素6%、二酸化炭素21%だと思っていたのですが、アンモニアと水素だったとは……。
これじゃぁ2199年に地球侵略を試みる敵宇宙人がオーストラリアサイズの浮遊大陸を持ってきて木星に基地を建設したとしても、その上で生活するのは相当住み心地が悪いですね。
きっと地球最後の宇宙戦艦がやって来て最初の次元波動砲をぶっ放すのを待つまでもなく、木星基地はあまりの居心地の悪さと大気の臭さと有毒成分によって勝手に壊滅してしまったに違いない。
地球の宇宙戦艦が到着する頃には既に敵宇宙人は戦う気も失せており、むしろ「どうしてもっと早く来てくれなかったんだ」と戦艦の乗組員たちに詰め寄って文句を言うのだろう、絶対そうだ!
なんにせよ世の中には「知らない方が良いこと」がたくさんあるのですね、きっと。