何とはなしに、きつねとコーラ。

管理人のきつねとその相棒のべっつりコーラが、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。

ピサの斜塔、わりと真っ直ぐになりギネス記録も剥奪

ピサの斜塔が斜塔じゃない?

……またイタリアの話です。

世界遺産「ピサのドゥオモ広場」にある有名な観光名所……「ピサの斜塔」といえば誰でも知っていますね。

その名の通り傾いたまま建っている不思議な塔で、同じくドゥオモ広場にある「ピサ大聖堂」の鐘楼なのですね。

鐘楼というのは釣鐘が置かれている建物で、お寺に行くと敷地内にあるアレです。

ピサ大聖堂の鐘楼は55メートルもある塔なのですね。

またこの塔、かつて地元ピサ市出身の物理学者ガリレオ・ガリレイさんが重さの違う2つの玉を落とし、「物が落ちる速度と重さの間には関係がない」ことを証明する実験を行ったことでも知られていますね。

……わざわざそんな大がかりなことしなくても落ちる速さの確認だけならどこでもできると思うのですが、周りのみんなにも見せたかったのですね、きっと。
とりあえずガリレオさんの実験については置いておいて……。

このピサの斜塔が実は真っ直ぐになりつつあるということがきのう21日に発表されたそうですね。

発表したのは塔の補強・修復作業の監視を行っている専門チームで、17年にわたり調査してきた結果、「非常にゆっくりとだが傾きが小さくなってきている」のだそうです。

ピサの斜塔専門チーム……。
そんなのがあったのですね。
どうやらポーランド出身の建築技師、ミケ―レ・ジャミオロスキーさんがピサの斜塔を救うために作ったのだそうな……?

何にでも「専門家」がちゃんといるのですね!

またゆっくりと傾きが小さくなってきている……とありますが、塔がひとりでに真っ直ぐになっていっているのでしょうか……。なんだか色々と気になりますね。

とりあえず、ピサの斜塔について調べてみました。


ピサの斜塔 Torre di Pisa

海軍で栄えた中世ピサ共和国の力を象徴するために建てられた塔……なのだそうです。

ピサ共和国……。
ピサ市は昔、独立国家だったのでしょうか。

とりあえずそれは置いておいて、塔は

高さ:55.86メートル
重さ:14453トン

の鐘楼で、

1173年~1178年(第1工期)
1272年~1278年(第2工期)
1360年~1372年(第3工期

の3度の工期を経て建てられたのですね。

……この時点でかなり疑問に思ったのですが、なんでこんなに飛び飛びなのだろう……。
しかも、着工から完成までなんと200年近くもかかっているのですね。

飛び飛びの工期に、完成までに掛かったやたらと長い時間……。
これはなんだか色々ありそうですね。


傾きすぎて継ぎはぎだらけ

傾いたまま建っているピサの斜塔ですが、実はその傾きは一定ではないのですね。

一時期は傾いている角度が5.5度に達し、1990年~2001年にかけて、安全上の問題から11年にわたり閉鎖されていたようです。

その間に行われた改修工事のおかげで、今では傾きは3.99度にまで回復(?)し、また中に入ることができるようになったのですね。

また鐘楼であるため毎日決まった時間になると鐘が鳴るのですが、本物の鐘を打ち鳴らすと塔の傾きに影響を及ぼす恐れがあるとのことで、鐘の音はスピーカーから流されているのですね。

………なんかそれって……。
「時間になると人が撞くのではなくタイマーで自動的に鐘が鳴るお寺」よりすごい気がします……。
あんまりありがたくないような……。

また、当初の予定ではもっと高い塔にするはずだったのですが、なんと建設中に既に傾き始めてしまったのですね。
そのため最終的に今の高さになったようです。

……つまり、

「本当はもっと高くしたかったけど、なんか途中で傾いてきたしこれ以上高くすると危ないっぽいんで、仕方がないからこの高さでやめておこう」

……となったのですね。

おまけに最上階だけは塔本体の傾きを考慮して「真っ直ぐになるように建てられている」のだそうです。

……つまり、単に傾いているだけでなくて、「塔自体も途中で『くの字』に折れ曲がっている」のですね……。

……なんでしょう……この行き当たりばったり気味な措置は………。

これではたとえ後で塔を真っ直ぐに直したとしても、最上階だけは傾いてしまいます。
せめてそうなることを見越して塔全体は真っ直ぐな形になるように建てるべきだったんじゃ……。


そもそもどうしてこうなった

それにしても疑問です。
この塔はどうして傾いてしまったのでしょう。
地震か何かの災害の影響なのでしょうか。

どうやら1990年の改修工事の前に行われた地質調査でその原因が明らかになったのですね。

調査によると、どうやらピサの斜塔を支えている地盤は場所によって硬さに違いがあるようです。
もともとここは近くを流れる川である「アルノ川」が運んできた土砂によって作られた地盤で、硬さにむらがあるのですね。
ちょうど塔の北を支えている地盤が硬く、南側が軟らかいのだそうです。

……つまり、「軟らかい所と硬い所とに跨って塔を建ててしまったため、軟らかい側が沈み込み、傾いてしまった」のですね。

……これは……。
事前にちゃんと調査しなかったのでしょうか、地盤………。

……もしかして手抜き工事じゃ………?

……なんだか「イタリアの有名な世界遺産」の裏の顔がぽろぽろと崩れ落ち始めた化けの皮の後ろ側に垣間見えてきた感じがしますね。

有名な世界遺産の建物に手抜き工事疑惑!

今だったら週刊誌に叩かれそうですが、当時はまだそのようなものは無かったのですね、きっと。

また建設中には既に傾き始めていたと書きましたが、より正確に言うと第1工期の終わりにはもう傾き始めていたのだそうですね。

……もしかして工期が飛び飛びになってるのって……傾いて、対策を練り直して、補修して、また傾いて……を繰り返していたからなんじゃ……。

というより最初の時点で「イカン傾いてきた。もうだめこれ以上はできない!パス!」……と次の世代に残りの作業を押しつけ、その100年後、技術が進歩したころに「あの頃はだめだったけどもしかしたら今の技術なら建てられるかも!」と建設再開の動きが起こり、また「やっぱり駄目だった……」と次の世代に残りの作業を丸投げして……を繰り返していたのではなかろうか……。(※あくまできつねの見解です)

そして妥協に次ぐ妥協の果てに、着工からおよそ200年後の1372年、めでたく塔は完成したわけですが、厄介なことに傾きはそれからも治まらなかったのですね。
そのため完成から500年以上も経った1935年には薬液を入れて傾きを抑える応急処置が行われたのだそうですね。

薬液というのはセメントなどの液体の建築材料のことですね。
「グラウト」とも呼ばれて建材どうしのスキマを埋めたり、補修したりするときに使うのですね。

地下水が地盤に入り込み、軟らかくすることで傾きが加速したらしく、当時は薬液を注入することで地下水の侵入を抑え、それ以上地盤が軟らかくならないようにしようとしたのですね。

けれど結果は逆効果で、薬液を注入したことによって地盤がさらに弱くなってしまい、塔もさらに傾いてしまったのですね。

さらにそれからも地下水のくみ上げなどが原因で傾きが増していった……のだそうです。
そういえばベネチアの浸水被害も地下水のくみ上げが原因の一端を担っていたような……。イタリアではそういうことって多いのでしょうか。

あれ……でも地下水が入ってきて傾きが加速したなら、くみ上げられて地下水が減ると逆に地盤は安定しそうな気もするのですが……。

……とりあえず……「傾いた」のですね。
それを前提に話を進めます。


傾きを治した結果ギネス記録が剥奪された件

そして1990年、ついに傾き角が5.5度にまで達し、安全上の問題から塔は閉鎖され、大々的な補修工事が行われたのですね。

1173年の着工に始まりとうとう1990年代に突入してしまいました。
800年以上もの長きにわたり「ピサの斜塔の傾き」というバトンは脈々と受け継がれてきたのですね。

この補修工事のやり方に関しては多方面で議論があったようなのですが、最終的には1935年にやろうとしたように「軟らかい側の地盤を補強する」のではなくて、「硬い側の地盤を削る」ことによって傾きを修整したのですね。

なるほど一度失敗したやり方ではなく、逆の方法を試したのか……まさに逆転の発想ですね!
そしてそれが功を奏して現在では一時期5.5度もあった傾きは3.99度まで回復したのですね!やったぁ!

あれ……。
でも、それってつまり、「全体的にまんべんなく沈み込んで真っ直ぐになった」ってことなんじゃ……。

ということは、「塔が真っ直ぐになる代わりに背が少し低くなった」んじゃ……。

……どうなんでしょう、その辺り……。

またピサの斜塔は「世界で最も傾いている建物」としてギネスブックにも載っていたらしいのですが、その後ドイツの教会の尖塔の方が傾いているということがわかったのですね。
……2009年のギネスブックからピサの斜塔は掲載されなくなったのですね。

みんなが一所懸命補修工事を行った結果、傾きは見事小さくなりましたが、そのせいでギネスの座を追われることに……。

こ、これは……。
良いんだか悪いんだかわからない結果ですね。

……それだけ塔が真っ直ぐになって安定してきたということですし、これでいいのかな……。


とりあえず今の所安全

ともあれ、度重なる補修工事の結果、ピサの斜塔は自力でバランスを保つことができるようになったようです。
大規模な改修工事でバランスが修正されたことにより、傾きかけたやじろべえが自力で元に戻ろうとするように、塔にも真っ直ぐになろうとする力が働くようになったのですね。

「少しずつだが真っ直ぐになりつつある」というのはそういうことなのですね、きっと。

冒頭で紹介したジャミオロスキーさんによると、2008年時点で「あと300年は倒れない」のだそうです。
ということはこの「ピサの斜塔の傾き」問題はひとまずこれで一件落着したということなのでしょう。

平安の昔に建てられた建造物の抱える問題が平成の世の終わりにやっと完結しました!

これでみんな安心して塔に登れますね!

……あれ……でも一つ疑問が残ります。
「あと300年は大丈夫」と言いますが、平安時代に建てられた建物にとって、300年なんてあっという間なんじゃ……。

つまり、ピサの斜塔は今の今まで800年以上ずっと補修を加えながら受け継がれてきたわけですね。
それどころかそもそも建設自体が100年おきくらいに3回に分けられ、受け継がれています。

また塔自体、おそらくこれから数百年先もまだ存在し続けるものと思われます。

……2300年頃になって「300年前の補修工事の効果がそろそろなくなってきたんで、また新たに補修します」なんてことになったりして……。

ピサの斜塔……。
永遠に「傾きを補修」しながら受け継がれていくのかも……。