何とはなしに、きつねとコーラ。

管理人のきつねとその相棒のべっつりコーラが、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。

JAXA水星探査機打ち上げからいつのまにか1か月も経っていたという話

国際水星探査計画「ベピ・コロンボ

……………宇宙の話ばっか書いてます……。

先月10月20日、水星探査機を載せたロケットが打ち上げられましたね。
ついこの前だと思っていましたが、早いものでもう1か月も経ってしまったのですね。

このプロジェクト、日本とヨーロッパの共同運営で、「国際水星探査計画『ベピ・コロンボ』」という名前なのですね。

水星は身近ではありますが謎が多い惑星で、地球からの観測が困難なため、これまで1974年の「マリナー10号」、2008年の「メッセンジャー」の2基の探査機が送り込まれたのですね。
この2基はアメリカの探査機でしたが、これらに続き実行された探査計画としては3回目となる今回の「ベピ・コロンボ」は日本とヨーロッパの共同なのですね。

歴代の2基の探査機が果たせなかった詳しい調査を行うため、今回新たな探査機が向かうのですね。

今回探査に向かうのは2基……ヨーロッパの探査機「MPO(Marcury Planetary Orbiter)」と、日本の探査機「みお」ですね。
「MPO」は主に地表を調べ、「みお」は磁場を調べるのですね。

到達は7年後だといいますから相当先ですが、水星探査の歴史に新たなる足跡が2つ付けられましたね。

今日はそれを記念して(?)、水星について書こうと思います。
このブログの宇宙関連の記事で名前だけがたびたび出てくる水星ですが、今日は主役です。

……本当は10月20日時点で何か記事を書きたかったのですが、当日はなぜか北海道の流れ星の方が気になってしまったのです……。

調べてみると……水星、意外とおかしなことだらけのとんでもない星でした。


水星(Mercurius)

さて、水星ですが、ご存知の通り太陽系の中では太陽に最も近い場所にある惑星で、ローマ神話の神様「メルクリウス」の名前を持っているのですね。
メルクリウスは旅人と商人の守り神ですね。

また同時に、太陽系の中で最も小さな惑星でもあります。
その大きさはなんと月程度しかないのですね。

水星についてざっとまとめると、

星種    : 地球型惑星
直径    : 4,879.4km(地球のおよそ5分の2、月より少し大きい)
質量    : 地球の18分の1
太陽との距離: 5,791万km(平均)
平均密度  : 5.43g/cm³(地球より少し小さい)
自転周期  : 約58日
公転周期  : 約88日
表面温度  : 太陽側(昼)   大体400度
        太陽と逆側(夜) 大体マイナス200度

……となるのですね。

前回地球から2番目に近い太陽系外惑星「バーナードスターb」の記事を書きましたが、水星はアレと同じく岩石でできた「地球型惑星」に分類されるのですね。

地球住民としてはなんだか親近感がわきますが、太陽に最も近い惑星であるため、地球からは日が沈んだ直後と日が昇る直前にしか見えないのですね。

また水星の公転面(惑星が太陽の周りを回る軌道……公転軌道……を含んでいる平面)は、地球の公転面に対して7度ほど傾いているのですね。
そのため地球からでは両者の公転面同士が交わる時にしか観測ができないそうです。

この時地球からは水星が太陽の手前を横切っているように見えるのだそうですが、公転面が交わるのは7年に一度だけなのですね……。

つまり、地上からは「7年に一度、黄昏と暁」の間にしか観測できないのですね。

黄昏と暁の間にだけ……7年に一度開く扉……。

……なんだかファンタジックな香りがしてきましたね……厨二心をくすぐられそうです。
これらの理由で観測が難しいのですね。

現時点では過去の2基の探査機により少しずつ水星のことがわかりつつあるようですが、それでもまだ謎だらけのようです。
これから書くことの大部分は探査機の観測によりわかってきたことなのですね。


「水の星」といいつつ水はない

名前や由来となった神様の話だけを聞くと、なんだか優雅で豊かな感じがする水星ですが、実際の環境はかなり過酷なのですね。

太陽に最も近く、また昼と夜とがそれぞれ長いため、昼間は灼熱、夜は極寒……表面温度が極端に変わってしまうのですね。

太陽から受けるエネルギーは地球の7倍……つまり、水星の日差しの強さは地球の7倍もあるのですね。

自転周期……つまり、「1日の長さ」は地球時間で58日ですから、単純に考えると(地球時間で)29日は昼だということになります。
地球の7倍の日差しが、29日も続くって……。

しかも実際はそう単純ではありません。水星の自転周期は58日ですが、公転周期は88日です。

自転周期と公転周期が極端に近いのですね。

つまり、「自転周期だけで考えればそろそろ夕方になって日が沈み始めそうな頃」には、すでに太陽と水星の位置関係が変わってしまっています。
日が沈むかと思いきや今度は太陽の位置が変わってしまい、まだ上の方にあるという現象が起きるのですね。

これにより水星ではなんと地球時間で176日もの間日が沈まないのですね。

つまり、実際には「地球の7倍の日差しが、ほとんど半年近く続く」のですね。
これではお昼は灼熱地獄になってしまいますね。

また、水星は楕円軌道を描いて太陽の周りをまわっているため、太陽に近い時と遠い時とでも表面温度が変わるのですね。
太陽に一番近い時はなんと420度にもなるのだそうな……。

この暑さのせいで表面はからからに乾燥してしまい、液体の水は存在しないのですね。

うぅむ……「水の星」という名前なのに灼熱地獄で水が無い……。

これじゃぁ「水星」じゃなくて……「水無星(みなぼし)」ですね。

また水星の公転周期……つまり「1年の長さ」は88日ですから、「日が沈むかどうか」を基準に1日を考えるとするなら、水星の1日は1年よりも長いことになってしまいます。
……地球の常識からするとなんだか奇妙な話ですね……。


水どころか空気もない

水星の大気圧は推定10⁻⁹ヘクトパスカル……大気は殆どありません。

また、この少ない大気自体も太陽から放出されるプラズマ(高温などの強いエネルギーで原子が電子と原子核とに分かれてしまったガス)、「太陽風」のおかげで地表が蒸発(?)してできたもので、その中にはナトリウムやカリウムなど地球では考えられないような物質が含まれているのですね。
太陽風によって生成と宇宙への放散を繰り返しているので、大気の成分は一定ではないようです。

……ナトリウム……金属じゃ……。
金属が気体になっているなんて……。

というか、地面が蒸発して空気になっている……?
空気の成分は常に宇宙に出ていて定期的に入れ替わる……?
地面、無くならないのだろうか……。

……なんだかもうカオスすぎてついて行けませんが、これが水星の現実なのでしょう。

大気が薄いため、パラシュートなどの機器が使えず、探査機を上陸させるのは困難なのですね。
また上陸できたとしても極端に熱い環境で壊れるかも…………。


氷ならあるかも……

昼間は灼熱の水星ですが、夜は極寒になるのですね。
「昼が176日ある」ということは、単純に考えると「夜も176日ある」ということです。

地球の場合は夜が12時間(平均)と短い上に、二酸化炭素などの大気の成分いわゆる「温室効果ガス」が、表面が冷えるのを防いでくれています。
そのため夜になってもそれほど寒くはなりません。

ですが水星は夜が長い上に大気も無いに等しいので、夜の間にどんどん表面が冷えてしまい、マイナス200度近くまで温度が下がってしまうのですね。

逆に言うととそんなに冷たいのだから液体の水は無理にしても氷くらいはあってもよさそうですが、夜の間に冷えた地表も昼にはまた400度に戻ってしまいますので結局乾いたままなのですね。

ただし、どうやら一部、昼にも夜にも温度が変わらない場所があるようです。

水星の表面は無数のクレーターによって覆われており、見た目は月にそっくりですね。
極(北極とか南極とか)の近くにあるクレーターの底には太陽の光は届かず、温度が常にマイナス170度に保たれているようです。

そしてこの部分にはどうやら水の氷が存在しているいうことが、「メッセンジャー」による調査でわかってきたのですね。

……まんざら「水無星」でもないのかも……。
……「氷星」……?


とりあえず磁場はある

見た目は月にそっくりなのに、表面はからからに乾燥した灼熱地獄もしくは極寒地獄な水星ですが、実はもう一つ、面白い特徴があるのですね。

それは「磁場」です。

……つまり、地球と同じく地磁気があるのですね。
アメリカの探査機である「マリナー10号」が観測したようです。

ご存知の通り、地球は現在のところ北極をS極、南極をN極とする地磁気を持っていますね。
磁石のN極とS極はお互いに引かれ合いますから、これにより方位磁針のN極は北極に、S極は南極に向くのですね。

地球の中には「核」と呼ばれる金属でできた芯が入っており、そのうち中心部である内核は固体、その周りにある外核は液体であると考えられています。

そしてこの地磁気、地球の表面からおよそ2900キロほどの深さにある液体の核が対流することで電気が発生し、それが電磁石のように働くことで生まれるのですね。
この対流の向きが変わることによって過去12回ほど地球の磁場の向きが変わってしまったという話は記憶に新しいですね。

……つまり、同じく磁場を持っている惑星には液体の金属の核があるのだと考えられるのですね。

水星も例外ではなく、磁気の規模から推定すると直径の3分の2もしくは4分の3ほどの大きさの核があると考えられているようです。

地球の液体核の大きさは直径の半分程度なので、それと比べると水星の核はとても大きいのですね。
そしてそれの「外核」は、どろどろに溶けた金属なのですね。

ですがちょっと不思議です。
金属が溶けているということは相当な温度のはずですね。

でも水星は小さな惑星だったはずです。
大きさが小さいということは、それだけ早く熱が逃げてしまうということです。
事実、地球の衛星である月では、25億年ほど前に火山活動が終了し、マントルの対流も止まってしまったと考えられています。

月の磁場は現在では極端に弱くなっています。
水星は月よりも少し大きい程度の大きさしかないので、水星もそろそろそうなっていてもおかしくないはずですよね。

太陽に近い灼熱の惑星だから温められて核が固まらないのでしょうか。
いいえ、それは無理です。いくら太陽が近くたって、温められる温度はせいぜい数百度程度……地球の核でも6000度近い温度がありますから、到底足りません。

また、水星特有の地形として、表面に皺のような断崖……高さ2キロ、長さは長いもので500キロを超える崖「リンクル・リッジ」というものがあります。
これは水星ができたばかりのころは熱かった核が、冷えて縮み、表面も一緒に縮んだ跡なのではないか……と言われています。

つまり、水星の核は既にかなり冷えてしまっているのではないかと思われます。
それなのに液体の金属がある………。

……どうやらここは長年研究者を悩ませている謎のようです……。
今回の探査でその謎がきっと解明される…………はず?

……「みお」の磁場探索を待つしかありませんね。


別の場所で生まれた可能性も……

謎なのは内部構造だけではないようです。

水星がどこで生まれたのか、それ自体が大きな謎なのだそうですね。

太陽系の惑星なんだから太陽系……いや太陽に一番近くにあるのだからその場で生まれたのではないか……。
普通に考えるとそう思いたくなるのですが、メッセンジャーが発見した物質を調べた結果、このような熱い場所で生まれたにしては大きな矛盾があることがわかってきたのですね。

メッセンジャーの調査により、どうやら「太陽から遠く離れたところで生まれた星に特有の物質」が大量に見つかったようです。

つまり、どうやら水星は今の場所ではなく、「太陽から遠く離れたところ」で生まれて、その後今の場所に移動してきたようなのですね。

詳しいことはまだよくわかっていないそうなのですが、実は元太陽系外惑星だったりして……。

……ま、まさか……!
昔太陽系外で誕生した惑星が、何らかのきっかけで故郷の恒星系から投げ出され、「恒星間天体『オウムアムア』」よろしく宇宙空間をしばらくさまよい、太陽の重力に引かれて太陽系に組み込まれたのではなかろうか……!
もしくはもともと地球に衝突する予定だったのが、急きょ太陽に引かれて今の軌道に収まったんじゃ……。

……「妖星ゴラス」だったのですね。

……そんなはずはないとは思いますが、少なくとも「太陽系の中の、木星くらい離れたところで生まれ、それから太陽に近づいた」可能性はあるようです。

……あくまでも「可能性」……ですが…………。


水星探査機に期待

……なんだかよくわからなくなってきました、水星。
遠い昔理科の教科書を見ながら「水金地火木~」なんて覚えた時にはただの「One of 太陽系惑星」であり教科書にも載っている「身近な星」だったはずの水星が、実はここまで謎に満ちた存在だったとは……。

当時どういうわけか「『水星の水』と、『火星の熱』が合わさって温泉になる」なんて漫画がありましたが……

あんなのウソだから!!!!
水星水ないじゃん!!!!

いや敢えて現実的に考えるなら……

「『水星の熱』と『火星の氷』」だよ!!!!

……身近なものなのに……いや、身近なものだからこそ、大いなる謎が眠っているということなのでしょうか……。

水星の謎を解くのはとりあえずJAXAさんたちにお任せすることにしましょう……。