何とはなしに、きつねとコーラ。

管理人のきつねとその相棒のべっつりコーラが、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。

キログラム、定義変更!超精密な分銅がついに引退か

キログラム原器引退?

どうやら、お馴染みの質量の単位である「キログラム」の定義が変わるらしいですね。

今月16日にフランスで開催された国際会議「国際度量衡総会」で変更が決まったのですね。
今回の改定には日本の技術も大きく関わっており、これまでヨーロッパ主導で進められてきた基本単位の改定の歴史に新たなる1ページが加わりそうです。

この「キログラム」、今までは「キログラム原器」と呼ばれるものを基準に定義していました。

キログラム原器は正確に1キログラムの重さがある金属製の分銅で、フランスにある「国際キログラム原器」をはじめとし、「日本キログラム原器」などいくつかの複製があるのですね。

ですが最近になって劣化や汚れ、傷などによりそれぞれの分銅の重さに小さな誤差が生じていることが分かったのですね。
誤差は10万分の5グラム程度だといいますからごく小さなものですが、それでもマイクログラム単位で物を測る時には影響するのですね。

そのため物理的な分銅の重さではなく、光に関する物理定数である「プランク定数」を基準に1キログラムを定義する方式に変えるのだそうです。

これならわざわざ1キログラムの分銅を用意しておく必要は無いのですね。

今回の単位の定義見直しはなんと130年ぶりなのだそうです。

キログラム以外にも、他にもメートル法の基本単位の定義がいくつか変更されるのですね。


メートル法の7つの単位

メートルや秒などの単位は、メートル条約により国際的に統一された単位である「SI基本単位」とよばれるものに属すのですね。

SI基本単位は

・メートル(長さ)
・キログラム(質量)
・秒(時間)
・アンペア(電流)
ケルビン(温度)
・モル(物質量)
カンデラ(光度)

の7つがあります。

これらは18世紀のフランスで、万国共通の国際的な単位として考案されたのですね。

それまでの世界では国や地域によって長さや重さなどの単位がバラバラだったのですね。
同じ国の中で使う分には国ごとにバラバラでも問題はありませんが、グローバル化の波は当時から始まっていたため、国ごとに別々の単位ではやはり不便だったのですね。

そこでこれらのメートル法……SI基本単位が考案されたわけです。

「メートル」は言わずと知れた長さの単位ですね。

「キログラム」も質量(≒重さ)の単位、「秒」も時間の単位としてメートルとおなじく日常生活でもおなじみですね。

「アンペア」は電流を表す単位ですね。こちらはあまり身近ではないかな……強いて言うならコンセントの入出力に「ボルト」と一緒に書かれていますね。
電流を水に喩えるなら、「流れる水の量」がアンペア、「水が流れる勢い(高低差)」がボルトですね。

「モル」は物質量で……物質の「質量数」とグラムで測った質量が同じになる時の物質の粒子(原子や分子など)の個数を一纏めにして1とした単位なのですね。
日常生活で見ることは皆無ですが難しいものではなく、身近な例に喩えると「ダース」のように、「特定の数の物を一纏めにして数える」単位です。

カンデラ」は光度つまり「光の明るさ」を表す単位で、名前はラテン語で「ろうそく」を意味する言葉に由来します。これまた日常で見ることはありませんね。

今回見直されるのはこの7つの「SI基本単位」のうちの4つで、

・キログラム
・アンペア
ケルビン
・モル

なのですね。

でも、具体的に何がどう変わるのでしょうか。
順を追ってみていきましょう。


変更される4つの単位

まずは今回の主役(?)であるキログラムから。

キログラムは18世紀のメートル法制定当初は「水1リットルの重さ」という定義だったのですね。
ですが水はどうしても気化して減ってしまうので、基準にするにはいささか曖昧です。

そこでその後の1889年に合金製のちょうど1キログラムの重さの分銅「国際キログラム原器」が作られ、以後今日に至るまでこの重さを基準にするようになったのですね。

ですがやはり物体である以上、劣化や傷などにより重さが変わってしまうことは避けられません。

また、原器を元に作れる最小の分銅は1ミリグラム、精密なはかりで調べられる重さは0.1マイクログラムまでが限界なのだそうです。
そこまで細かく測ることができるのなら日常生活で使うぶんには全く問題ないのですが、バイオテクノロジー半導体など、ごく細かい重さを測る必要がある最先端技術にとっては、これでは少々大雑把なのですね。

つまり、技術の進歩とともにより細かい定義が必要になってきたのですね。

そこで今回130年ぶりに新しい定義をしようということになったようです。

キログラムの定義は根本的に見直され、なんと「プランク定数」を元にした定義に変更されるのですね。


プランク定数とは

6.62607015×10⁻³⁴ [Js]

という値で、光に関する定数ですね。

「光子の持つエネルギーと光の振動数の比例関係」を表す比例定数で、

ε=hν

(光子の持つエネルギー = プランク定数×光の振動数)

等の式で使用されます。

……なんだか難しい記号が出てきましたがこれ、要するに比例の式「y=ax」のことで、aの部分に使用されるのがプランク定数なのですね。
プランク定数の単位は「Js」……ジュール×秒……つまり、エネルギー×時間です。

エネルギーの単位であるジュールは要するに「kg×m²÷秒²(質量×メートルの二乗÷時間の二乗)ですから、プランク定数が分かっている以上、正確な「メートル」と、正確な「秒」がわかればキログラムも求まるのですね。

……つまり、今回の定義変更によりキログラムはなんと「メートル」と「秒」に依存して決まるようになってしまうのですね。
メートルは今の所「299792458分の1秒の間に光が真空中を進む長さ」と定義されていますから、間接的には「光の速さ」にも依存していると言えます。

つまり、「正確なメートルと秒がわからないと正確なキログラムもわからない」ということになります。


ですが最近の計測技術の進歩により、正確なメートルと秒は既にわかるようになっているため、この定義変更により新たなるキログラムを求めることができるのですね。
(秒とメートルに関してはこの後しばらくしたらまたより正確なものに定義が変わるという話もありますが。)
単位の基準にするには正確な測定が必要なため、日米欧などが最新技術を駆使して計測したのですね。

これによりナノグラム以下の重さを測れるようになるのだそうです。

薬を作る研究で薬を正確に測れるようになったり、環境汚染の原因の一つであるPM2.5の重さ、インクジェットプリンタのインクの雫の重さ、半導体に使われている膜の重さなどが正確に測れるようになることによって、それらの研究が進むと期待されているようですね。


次は電気です。アンペア

これは「電流」の単位ですね。現在の定義では「無限に長く、断面が円形で、断面積が無限に小さい2本の導線を真空中に1メートル間隔で平行に置いたとき、導線の長さ1メートルにつき 2.0×10⁻⁷ニュートンの力を及ぼし合う導線それぞれに流れる電流の大きさ」…………となっています。

……難しい定義ですね。というかわけがわかりません。
おまけになぜかメートルが絡んできています。また「ニュートン」というのは力の単位ですが、これは「kg×m÷秒²」ですから、間接的にはキログラムも絡んでしまっていることになります。

何ゆえ電流にメートルとキログラムが!

これが新しい定義では

「電気素量 e の数値を 1.602176634×10⁻¹⁹ クーロンとした時の値」

……となるそうです。

こ……これは……!!
…………とてもシンプルだ!

「電気素量」というのは、陽子もしくは陽電子が持っている電荷の大きさですね。(eという記号で表します。)

物体が電気を帯びている状態を「帯電している」と言いますが、その時に「どれくらい電気を帯びているのか(これを「電荷」といいます)」を表す単位が「クーロン」です。
全ての物質に含まれる陽子は、名前のとおりプラスの電気を持っているので「プラスに帯電している」わけですが、その帯電量(電荷)が電気素量(1.602176634×10⁻¹⁹ クーロン)なのですね。

早い話が、「陽子一個分の電荷」を電気素量といいます。

陽子や陽電子、電子など、電気を帯びている粒子1個は全て同じ量だけ帯電していますので(電子はマイナスの電荷を持つので符号がマイナスになりますが)、事実上これが電荷の最小単位となるわけなのですね。

また、クーロンは「アンペア×秒」ですから、この値と正確な1秒の長さがわかれば1アンペアの大きさもわかるのですね。


凄い……今まで「キログラム」「メートル」「秒」の三つに依存していたアンペアが、今回の改定で一気に「秒」だけに依存するようになりました!
基本単位はできるだけ他の単位から独立している方が良いのですね、きっと。


次はケルビン……温度の単位です。

何だか見慣れない名前ですが、これは日本でも使われている摂氏(℃)と互換性のあるものです。

全ての物質が凍りつく温度「絶対零度」を0とし、摂氏で測った温度の単位ですね。

つまり、絶対零度は摂氏で表すと「−273.15度」ですが、この「−273.15度」が「0ケルビン」になり、我々のいつも使っている摂氏0度が「273.15ケルビン」となるわけです。

早い話が「摂氏に273.15を足すとケルビンになる」だけです。

つまり、今日の気温は21度なので294.15ケルビン、明日の気温は18度なので291.15ケルビン、というわけですね。

現在の定義では水の三重点……つまり「水蒸気、氷、液体の水が共存できる温度(摂氏0.01度)」を基準にしています。
この熱力学温度(ケルビンで表す温度)の「273.16分の1」が1ケルビンです。
摂氏0.01度は273.16ケルビンですから、その「273.16分の1」といえば当然「1ケルビン」です。


…………なにこれややこしい……。

ケルビンケルビンを定義するというものすごい荒業に出ている気がするのですが……。
卵が先か鶏が先か……ケルビンが先に生まれたのかそれともケルビンがその後に生まれたのか……いやでもケルビンケルビンを定義している以上ケルビンが依存しているのはケルビンだけなんだからこれはこれでシンプル・イズ・ベストなのだろうか……。

……考え出すと無限に続く再帰処理の中に迷い込んでスタックがオーバーフローを起こして脳みそがパンクするまで永遠に抜け出せなくなる恐れがあるので、この辺でやめておきましょう……。


先方も流石にこれはややこしいと思ったらしく(?)、今回の定義変更でケルビンは「ボルツマン定数」を元にした定義へと変わるのですね。

例の如く「定数」を元にしたのですね。おそらくこれでシンプルな定義に変わるのでしょう。アンペアの定義変更のようにきっとすごくわかりやすくなるはず!

ボルツマン定数とは、

1.380649×10⁻²³

……で、熱力学において温度とエネルギーの関係を表すものですね。
単位は「J/K(ジュール÷ケルビン)」です。

先にも書いた通り、ジュールとは「kg×m²÷秒²」ですから、この改定によりケルビンは「キログラム」と「メートル」と「秒」に依存することに……。


……………よけいややこしくなってるじゃん!!


最後はモルです!

某ロケット人間の奥さんの名前……ではなく、これは「物質量」を表す単位です。

簡単に言うと、「物質の粒子(原子や分子など)を『ある個数』一纏めにしたものを1とした単位」で、身近な例では「ダース」みたいな感じでしょうか。

「ダース」は「物体12個を1とした単位」ですね。つまり、1ダース=12個です。
「モル」は「粒子6.02214076×10²³個を1とした単位」で、つまり1モル=6.02214076×10²³個です。

……なんだか途方もない数が出てきましたが、これは原子の重さを表す「質量数」と、メートル法で物質の重さを表す「グラム」が「同じ値になる」個数です。

……ええと……つまり……。

全ての原子には「質量数」というものがあります。
原子の「体重」みたいなもので、その原子に含まれる「陽子」と「中性子」の数を合わせたものです。

原子の中心には「陽子」と「中性子」が集まってできた「原子核」があり、その周りを陽子と同じ数の「電子」が回っているのですね。
陽子の数が変わると原子の種類が変わります。

「陽子」と「中性子」はそれぞれ同じ重さですから、それぞれを同じ重さの基準として扱うことができます。
つまり質量数とは「陽子もしくは中性子一個分の重さ」です。

この質量数により原子核の重さを表すのですね。なんだか上に書いた「電気素量」に似ていますね。
そしてその原子核の重さが、そのままその原子の重さになります。

……じゃぁ電子はどうなるの?と思われるかもしれませんが、電子は陽子や中性子に比べると比較できないほどに軽いので、その重さは無視しても問題ないのですね。


そして同じ種類の原子を「ある数」だけ集めると、その原子の質量数とグラム数が同じになるのですね。

たとえば炭素原子は質量数が12ですが、これを「ある数」集めると12グラムになります。

この時の「ある数」が、6.02214076×10²³個なのですね。

この「ある数」を「アボガドロ定数」といい、「『アボガドロ定数』個を一纏めとして呼ぶときの単位」が「モル」というわけですね。


今までの定義では「炭素12を12グラム集めた時の炭素原子の数」が1モルと定義されていました。

……なぜか炭素が基準なのですね……他の原子も1モル集めれば「質量数グラム」になるのですから他を基準にしてもよさそうなものですが……謎です。
なお、「炭素12」というのは「質量数12の炭素」のことす。炭素の質量数はふつう12ですが、たまに中性子の数が違っていて質量数が12ではない炭素があるためこう定義してあるのですね。


今回の定義変更により、モルは「アボガドロ定数を6.02214076×10²³とした時、これを一纏めにした数」として定義されているのですね。

……なんだかあんまり変わっていない気がするのですが、最新の測定技術によってアボガドロ定数が正確に求まるようになったため、今まで重さを基準に定数を求めていたのを逆に定数を基準にするように変更されたのですね。


定義が変わるとどうなるのか

……気になる実生活への影響ですが、特にないようですね。
キログラム定義が変わったからといってわれわれの体重が増えたり減ったりするわけではありませんね……。

まぁ、元々存在しているおなじ質量の物に対してその定義をどうするかを変えただけなので……質量の値そのものは変わらないのですね。

単純に「細かい精度の測定を必要としている人たち」にはありがたいのでしょうね、きっと。

とりあえず結論としてはわれわれは何も気にしなくてよさそうなので……今迄通りに過ごしていればいいと思います。