何とはなしに、きつねとコーラ。

管理人のきつねとその相棒のべっつりコーラが、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。

南極に四角い氷山!正体は巨大豆腐かモノリスか?

四角い氷山

南極に四角い氷山が出現したそうですね。

10月16日にNASAの研究員が写真を撮影し、翌日にTwitterで公開した結果、様々な所から反響があったようです。

あまりにも綺麗な四角形なので「2001年宇宙の旅」に登場した「モノリス」ではないか、宇宙人の仕業か、はたまた古代文明の神殿か、いやむしろ南極の冷水の中に浮かぶ巨大な豆腐なのではないか……などと様々な声が飛び交っていたようです。

挙句の果てには

「カオスと混乱の絶えない自然界に、完璧に秩序だった巨大な物体が現れた。」

などという映画のトレーラーにでも出てきそうな素晴らしく的確なコメントがどこからともなく現れる始末。

一体何なのでしょう、この氷山……。
気になったので少し調べてみたのですが、これが意外にも深い内容につながっていました……。


事の発端はNASAの調査

この氷山……他所様のサイトにならって「豆腐型氷山」とでもお呼びしましょうか……はNASAにより発見されたわけですが、そもそもNASAは南極で一体何をしていたのでしょうか。

実は氷山の調査をしていたのですね。
どうやら現在「オペレーション・アイスブリッジ」というミッションが実行されているようで、その一環として飛行機で氷山を調べていたようです。

「アイスブリッジ(IceBridge)」は北極圏のグリーンランド南極圏の氷の状態を、航空機や人工衛星を使って観測する計画なのですね。
調査用の航空機を何機も使って定期的に情報を集めるそうで、北極圏と南極圏に浮かぶ氷山、氷床、棚氷、海氷の様子を3Dで計測して記録するのだそうです。
その目的は極地が地球にどのような影響を与えるのかを解明することなのですね。

氷山、氷床、棚氷、海氷を調べることでそれらの答えが得られるのですね。

……でも、そう言えばこれらって一体どういうものなのでしょう……?
何だかこの事件を読み解くのに必要な予備知識のようでしたので先にそれらの定義を今一度確認してみましょう。


氷山その他大勢

氷山はわかりますね。
氷河や棚氷から分離して海に流れ出た大きな氷の塊で、「氷山の一角」という言葉がある通り、水面に顔を出している部分は一つの氷山全体の10%程度です。

豪華客船「タイタニック号」がこれにぶつかって沈没し、多くの死傷者を出した事故は記憶に新しいですね。


氷河は陸地を覆う巨大な氷の塊で、元々雪だったものが長い年月積み重なって圧縮され、氷となったものですね。
そのうち総面積が5万平方メートルを超える大きなものを「氷床」というのですね。


海氷は海水が凍りついたもので、つまるところ「海に氷が張っている」状態を言うのですね。
「海に浮かぶ氷」という所は氷山に似ていますが、「海が凍ってできたもの」か「陸でできた氷が海に流れ出て来たもの」かの違いがあるのですね。


棚氷(たなごおり)は「氷棚(ひょうほう)」とも呼ばれ、氷河などの陸上でできあがった巨大な氷が、陸とつながったままの状態で海にせり出したものです。
つまり、完全に陸の上にある氷を「氷河」もしくは「氷床」、半分海に掛かっているものを「棚氷」と呼び、ここから分離、独立した氷が氷山となって海に流れていくのですね。

……どうして名前がこれだけ「訓読み」なのかは謎ですが……。


巨大な棚氷「ラーセンC」に世界が注目

南極大陸西部に「南極半島」という半島がありますが、ここに「ラーセンC棚氷」という棚氷があるそうですね。
南極で4番目に大きな棚氷なのだそうですが、この「ラーセンC」、どうやら近年科学者たちの間で注目されているようです。

「ラーセンC」の近くにはもともと「ラーセンA棚氷」「ラーセンB棚氷」という棚氷があったらしいのですが、それぞれ1995年と2002年に崩壊してしまい今はもうないのですね……。
「ラーセンC」は今の所無事なようですが、去年ここで大きな事件がありました。

2017年、「ラーセンC」から分離して新たに氷山が誕生したそうなのですが、それがなんと桁外れに巨大で、アメリカで2番目に小さな州であるデラウェア州ほどの面積があるそうです。
これは過去記録された中では最大級の氷山で、質量は1兆トン以上もあると言われていいます。

……数字が大きすぎてどれくらいなのかよく分かりませんが、研究者たちの間ではこの超巨大氷山は「A-68」と呼ばれているようですね。
観測自体は分離前の2014年頃から行われており、当時から既に「ラーセンC」に大きなひびが入って来ていたので、「近い将来分離するのではないか」と言われていたようです。
それが2017年になってついに「A-68」として分離してしまったのですね。

なんにせよ、大きな氷山が分離したということは、母体である棚氷がそれだけ大きなダメージを受けたということです。
「ラーセンC」からもっと多くの氷が分離すれば、棚氷そのものが今より不安定になってしまいます。

なのでみんな「A-68」が分離したことによって、「ラーセンC」も「ラーセン」AとBの時のように壊れてしまうのではないかと心配しているのですね。

この「A-68」、分離して流れ出した後も研究者たちにより追跡調査が行われており、船などとの衝突事故を起こさないように観察が続けられているようです。


そして真四角すぎる氷山発見

今回「豆腐型氷山」を発見して撮影したNASAのジェレミー・ハーベックさんも、元はと言えば「A-68」の調査を行っている最中にこの氷山を見つけたのですね。

「比較的真っ直ぐなエッジを持つ氷山はよく見かけますが、このように二つの直角を持つ氷山は初めて目にしました。見た目が面白いのと、実にフォトジェニックだと思ったのでイタズラ心で撮影しました」
……というようなことをおっしゃったそうです。

フォトジェニック……というのはつまり日本語で言う「インスタ映え」のことでしょうか……。

ともあれ、「ラーセンC」や氷山の状態を確認するための調査が、結果として「豆腐型氷山」の発見に繋がったのですね。

NASA曰くこの氷山も「ラーセンC」から分離したものだそうです。
氷山の角が鋭いままで、表面が平らであることからごく最近分離したばかりなのではないかと言われています。

気になる大きさですが、長さ2~3キロ、高さ40メートルほどなのだそうです。
アメリカのカリフォルニア州中の全ての水泳プールを何度も満杯にできるほどの量の氷だとも言われているようですが、これでも南極大陸周辺に浮かぶ氷の中ではごく一部なのだそうです。

……1兆トンの超巨大氷山を分離したかと思ったら、その直後に今度はカリフォルニア中のプールを満タンにできる巨大な豆腐ですか……。
「ラーセンC」……恐るべき大きさですね。
そして「ラーセンC」以上に巨大な棚氷があと3つもある南極の広さ……途方もないですね……。


だが意外と普通の氷山だった?

ただこの途方もなく広い南極では、四角い氷山はあまり珍しくないのだそうです。
何かと珍しがられている「豆腐型の氷」ですが、アメリカニューヨーク州立大学バッファロー校の地球物理学者クリスティン・ポイナーさんいわく、氷棚というものはそもそも割れ目や亀裂だらけで、今回のように平坦な豆腐状の氷山は意外と普通に見つかるのだそう。

そもそも「ラーセンC」には長さ数百キロに及ぶ真っ直ぐな亀裂がいくつも走っていて、それに沿って氷が割れたことによりこのような綺麗な四角形になったのだそうですね。

こんなに大きな長方形の氷山は、同じくNASAが調査を進めているグリーンランドではあまり見つからないみたいです。
グリーンランドは南極よりも気温が高く、氷山は割れて小さくなってしまう上に、氷河も南極より小さいので大きな氷山が分離しないのですね。

なるほど途方もなく広い南極では簡単に四角い氷山ができますが、逆に言うと途方もなく広くない場所では四角い氷山はできないのですね。


南極は解けている……?

温暖化の影響で気温は年々上がっていますし、「A-68」のこともあってやはり「ラーセンC」もその内無くなってしまうのではないかと懸念されているようです。

ポイナーさんは「一つの氷山が必ずしも棚氷の安定度を示すとは限りません。棚氷は銀行口座のようなもの。棚氷からしばしば氷山が分離されますが、雪が降ることによって補われていきます」と仰ったそうです。

つまり「A-68」が分離したからと言って、必ずしも「ラーセンC」が壊れるかもしれないと心配する必要は無い、という事なのですね。
ポイナーさんの仰る通り、向こう暫くは問題ないのかもしれません。

またNASAが今調査しているように、「極地が地球にどのような影響を与えるのか」はまだわかっていません。
万が一「ラーセンC」が壊れたとしても、それで地球の他の場所がどうなるのか、正確な事は誰にもわかりません。

ですがやはりわれわれはできるだけ温暖化を抑えるように日ごろから努力をしなければいけませんね。
豆腐型の氷山のためにも、それに何より「ラーセンA」と「ラーセンB」の悲劇を繰り返さないようにするためにも。