何とはなしに、きつねとコーラ。

管理人のきつねとその相棒のべっつりコーラが、日々の出来事について思ったことや感じたことをただ淡々と述べていくだけのブログ。

フグが雑種化!毒のある場所がわからない!?

ふぐ!

言わずと知れた高級魚ですね。
淡白な味わいの白身でネギを巻き、もみじおろしの入ったポン酢に付けて食べるフグのお刺身……個人的にこれが一番好きな食べ方です。

少ない身の量にはいささか似つかわしくないほど大きなお皿と、そこに薄く貼りつけるようにして盛り付けられたお刺身との調和がまるで一つの芸術作品のよう。
お刺身はきっとお皿の模様の一部に違いない。フグとセットで「今宵ひと皿」に出てきそうですね。

……なんて、今からフグの話をするのは少し気が早いかな?
フグの旬は冬、ですものね。

ですが何やら太平洋の方ではまさに今、フグに異変が起こっているようです。


雑種のフグ、増殖中

雑種です。
犬とか猫とかじゃなくて、フグの。
最近増え続けているみたいですね。水産大学の高橋洋准教授がそれに気づいたようです。

准教授曰く、「フグの雑種は以前からいたが、これほど大規模に出てくるのは魚類全体でも異例」とのこと。

……ええ……!?
以前からいたんですか……知らなかった。

つまりそれが最近急激に増えてきたのですね。

准教授の調査によると、福島、茨城、岩手の三県の太平洋沖で見つかった種類不明のフグ252匹のうち、半数以上の149匹が雑種だったそうですね。

そのうち131匹がショウサイフグとゴマフグの掛け合わさった「雑種第一世代」。
残りの18匹は雑種第一世代と純血ゴマフグ、もしくは純血ショウサイフグが交配して生まれたものだったようです。

それぞれのフグのDNAを調べることでこれらの結果が得られたわけですが、雑種同士の交配で生まれた「雑種第二世代」は今の所見つかっていません。

ショウサイフグ(Takifugu snyderi)は太平洋の方に住んでいるフグのようですね。
ゴマフグ(Takifugu stictonotus)は日本海に住んでいるフグ。

どうやら地球温暖化の影響で水温が上がり、ゴマフグの住む領域が北の方に拡大して二種類が交わってしまったようですね。

二種類は言わずと知れた高級魚のトラフグ(Takifugu rubripes)と同じ「タキフグ属」(トラフグ属)に属する魚で、トラフグに比べるとマイナーなようですが、それでもフグ料理のお店やネット通販などでは流通しているそうです。


このフグは食べられるのだろうか……

ご存知の通り、フグというものは体内にテトロドトキシンという毒を持っていますね。
解毒剤も存在せず、うっかり食べてしまうととても危険なので、必ずフグを食べる前には毒を取り除いておく必要があります。

そして体のどこに、どの程度の濃度で毒があるのかは、フグの種類によって違います。
なのでフグの調理には専門知識と技術が必要ですし、フグの調理をする人は種類ごとに的確に毒のある部位を取り除かなければなりません。
どの種類のフグは何処に毒があるのか、というデータは既に揃っているので、それに従って調理すればいいわけですね。

さて、そうなると一つ、困ったことが起きてしまいます。

雑種のフグの毒は一体どこにあるのでしょう?

先の調査により見つかった雑種フグは、殆どが見た目はショウサイフグにそっくりでした。
けれど見た目が似ているからといって、毒がある場所までショウサイフグと同じだとは限りません。

毒の場所がわからない以上、現状では雑種フグは調理ができません。
なので、見つけたら流通する前に取り除かなければいけません。

あからさまに雑種とわかるフグを取り除くのは簡単ですが、ショウサイフグにそっくりな雑種はうっかり混入してしまいそうですね……。


調理資格が未統一?

先ほどフグの調理には専門知識と技術が必要と書きましたが、実際にはその基準は全国で統一されているわけではなく、地域によって違うのですね。

フグがよく食べられている山口県や東京都などでは試験に合格しなければフグの調理ができないということになっているようですね。
ですが北海道では講習さえ受ければ誰でも調理ができてしまうようです。

都道府県ごとに異なる資格制度では今後の変化に対応できないのではないか、資格を全国で統一した方が良いのではないか、との声もあります。
厚労省は「今はまだ雑種の状況を確認している段階なのでその辺りの事は考えていない。フグ調理の資格の基準を国として示せるかどうかを考えている」というような事を言っているみたいですね。

そもそもなんで今まで統一されていなかったんだと突っ込みを入れたくなりますが……いろいろあったのかな……しがらみが。
う~ん……。そういう政治的な事はきつねにはよくわかりませんね……。

なんにせよ、今フグは激動の時代のただ中にあるようです。
早くこの動乱を治める次世代のフグ調理資格制度が誕生するといいですね。

そしてゆくゆくは如何なる雑種フグであろうとも調理が可能となり、日本中のフグ料理店に浸透していくのだろう。
高級トラフグ並みに美味な雑種が高級トラフグの1/3の値段で食べられるようになる日もそう遠くはないのかもしれない。

そうすれば全国のフグ好きな人たちは泣いて喜ぶに違いない。

ですがいいことばかりではありません。このまま雑種が増え続ければ最悪純血種がいなくなる可能性もあります。
たとえ雑種も食べられるようになったとしても、純血種がいなくなるのでは環境問題としてはかなり深刻です。

なので抜本的な解決策としては「雑種が増えても対応できるようにする」ことではなくて、「そもそも雑種増加の原因である温暖化を食い止める」ことの方が先かと……。
もちろんそんな事をすれば「雑種で低価格フグを食べる」ことはできなくなりますが、純血種を守ることの方が大事ではないでしょうか……。

本当に雑種が安く食べられるのかどうかも不明ですから……。


そもそも雑種は成り立つのか

……既に発生してしまっているものに対してこういうことを言うのもおかしな感じがしますが……、そもそもショウサイフグとゴマフグは交配できるものなのでしょうか。
ちょっと……考えてみました。

ここから先はきつねの独り言ですし、割とマニアックな話になりますから……興味の無い方は読み飛ばした方が良いかもしれません……。

 

ショウサイフグ(Takifugu snyderi)とゴマフグ(Takifugu stictonotus)。

学名を見るとわかりますが、この二種類は「属(Takifugu)」が同じで、「種( snyderi と stictonotus )」が違います。
属が同じで種が違うというのは、キツネにたとえるならアカギツネ(Vulpes vulpes)とスイフトギツネ(Vulpes velox)くらいの差があるということです。

本来なら属が同じでも種が違えば交配はできず、したがって雑種も誕生しないはずなのですが、ライオンとトラ、馬とロバなどの例外もありますね。

ライオン(Panthera leo)とトラ(Panthera tigris)はともに「パンテーラ属(ヒョウ属)」。
馬(Equus caballus)とロバ(Equus asinus)も属は「エクウス属(ウマ属)」と同じですね。
それぞれ種類は異なりますが、交配ができて、合いの子(雑種)のライガーやラバが生まれますね。

今回の場合もその例外なのでしょうか。

異種間交配をした場合、その子供は生殖能力が無くなり、それ以上増えることはないはずです。
ライガーもラバも、いちおう誕生はしますが生殖能力はありません。

そう考えるとフグも、ショウサイフグとゴマフグが交配して「ゴマショウフグ」なんていうのができたとしてもそれ以上増えて居座り続けることは無さそうなものですが……。

でも先の調査では、ゴマショウフグ……じゃないや、「雑種第一世代」のほかに、「雑種第一世代と純血種の子供」が見つかっていますね。

つまり、なぜだか雑種が子孫を残しています。
ゴマショ……じゃなくて雑種が父親になったのか母親になったのかはわかりませんがなんにせよ増えています。

なんでだろう……う~ん…………。

これは……もしかするとゴマフグとショウサイフグは属どころか種まで同じで、両者の間には亜種レベルの違いしかないのではなかろうか……?

亜種……というのは、要するに「種類は同じだけれども微妙に違う」という区分ですね。
ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)とキタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)はともにアカギツネ(Vulpes vulpes)の亜種で、見た目もそっくりですが微妙に違う、日本固有のキツネですね。
亜種になると学名の最後にさらに亜種を示す亜種小名(japonica と schrencki)が付くのでわかりやすいですね。

イノシシとブタを掛け合わせたイノブタという動物には生殖能力がありますが、これはそもそもイノシシ(Sus scrofa)とブタ(Sus scrofa domesticus)が同じ種類の動物の亜種同士だからです。
ブタとイノシシの違いが「微妙」なのかどうかは置いておくとして……。

うん?ということは……、まさかこの一件でショウサイフグとゴマフグが実は同じ種類だったという事が判明して……、学名がそれぞれ「Takifugu rubripes snyderus」や「Takifugu rubripes stictonotus」みたいに書き換えられたり!?
……さすがにそれは無いとは思いますが……どうなんだろう……?

そう言えば別々の動物だと思ったら実は後で同じ生き物だったことが判明して学名が書き換えられる事態って結構あるような……?
ゴマフグとショウサイフグは……どうするんだろう……。

……いろいろと結論がでない……。